昼食時、いつも先に見えるのは原さん。
あとから、中林さんの一団が来店して店内は一気ににぎやかになる、のがいつものパターン。
が、今日は原さん、急ぎの用がある様子。
しかも中林さん、今日はお一人。
ということは、原さんが出て行かれたら、中林さんお一人になってしまう。
淋しいじゃないか!
でも、原さん、行かねばならない。
で、「サー、サー」と腰を浮かせる。
すると中林さん、
「ママ、数珠ない?持って来たって」と。
「サーサー教の教祖様が呪文を唱えてはるから」
原さん「ほんなら、もうちょっとおるがな。そのかわり、あんた、いっつもここで寝るやろ、寝るんやったら、言うてくれ。ほんなら俺行くから。あんたが寝てるのに俺ここにぼ~~っとおるんはかなわん」
中林さん「いや、俺、目覚めた時に原さんがいてくれる思うから安心して眠れるんや」
……
しばらくして。
原さん「イヤガラセかいな。あんた、いっつもやったらもう寝とるのに。ほんなら行こ思てたのに、今日に限ってメガネかけなおして新聞読みよる。もう行くで!」