M病院の二か月に一度の受診日だったが、待ち時間に池波正太郎の『鬼平犯科帳』を読んでいた。
池波の小説が面白いのは当然として、いつも感心するのはその比喩。
今日はこんなのがあった。
《…声がかかった。爺いのような塩辛声なのだが、声の主は女である。女といっても七十をこえた凧の骨のような老婆である。》
「凧の骨」とはまた見事な比喩だ。
池波の小説が面白いのは当然として、いつも感心するのはその比喩。
今日はこんなのがあった。
《…声がかかった。爺いのような塩辛声なのだが、声の主は女である。女といっても七十をこえた凧の骨のような老婆である。》
「凧の骨」とはまた見事な比喩だ。