中島友子さんという人からお贈り頂いた。
詩集『おくりもの』(中島友子・編集工房ノア)。
出版社からの著者代送ではなく、ご本人からスマートレターで。
奥付を見ると、2019年2月19日発行となっている。
ノアさんからの著者代送が終わって、一息ついたところでわたしに送ってくださったということなのだろう。
著者の中島さんとはこれまで面識がありません。
しかし、神戸新聞の読者文芸欄詩の部で、度々お名前は見ておりました。
お母さんのまさのさんとご一緒によく載っていたのでした。
カバーの絵がいいですねえ。中嶋晃太郎とあります。
あれ?「島」ではなく「嶋」となっている。
お孫さんではないのか?
章扉絵は、中島千尋、中島匡悠となっている。
これはお孫さんでしょう。
ちなみに題字は中島友子さんです。
さて詩。
全編、やさしい言葉で書かれています。
巻頭詩。
「働きもの」
亡母が植えたみかんの木
皮がうすく
実をいっぱいつめたみかん
働きもの
亡母を思う
このように短い詩が多い。そして亡き母、まさのさんのことを思う詩が。
「命の日」という詩がある。
今日は母の誕生日
生きておれば101歳
死んだ子の歳を数えるように
私は まだ
死んだ母の歳を数えている
素朴で そして心にじわ~っと沁みる詩。
このお母さんをわたしの身に置き換えてみると、わたしは子どもや孫に、このように思ってもらえるだろうか?
そんな生活を送っているだろうか?と考えてしまう。ちょっと不安である。
「近づく」という詩がある。
連休が終わり
孫たちが帰っていった
「また おいで」から
「また 来てね」へと
変わっていった亡母の思いに
近づいている
この微妙な言葉の変化は、心の変化なのですね。
なんでもないことのように見えて、さて書き留めるとなると、それほど易しくはないと思うのです。
「日常」という詩。
久しぶりに友人と会う
私が車に乗る時 車から降りる時
小走りで
ドアを開け 閉めてくれた
少し戸惑っていた私に
お茶を飲みながら
「夫が認知症になって四年になる」
と語った
これは短いドラマの中に、微妙な気息が描かれている。
総じてこの人の詩は省略がよく効いており、一読平板かなと思わせられるが、実は奥行きを感じさせるものがある。
易しさに油断してはならない。
巻末に初出一覧表があり、今見てちょっと驚き。
ほぼすべて神戸新聞の読者文芸欄が初出なのだが、そのうち特選作が三篇。
そして、そのうちの二篇をわたしは上に紹介している。わたしも少しは見る目があるのだ(ちょっと自慢)。
中島さん、ありがとうございました。
こんな詩を読むとホッとした気持ちになります。
詩集『おくりもの』(中島友子・編集工房ノア)。
出版社からの著者代送ではなく、ご本人からスマートレターで。
奥付を見ると、2019年2月19日発行となっている。
ノアさんからの著者代送が終わって、一息ついたところでわたしに送ってくださったということなのだろう。
著者の中島さんとはこれまで面識がありません。
しかし、神戸新聞の読者文芸欄詩の部で、度々お名前は見ておりました。
お母さんのまさのさんとご一緒によく載っていたのでした。
カバーの絵がいいですねえ。中嶋晃太郎とあります。
あれ?「島」ではなく「嶋」となっている。
お孫さんではないのか?
章扉絵は、中島千尋、中島匡悠となっている。
これはお孫さんでしょう。
ちなみに題字は中島友子さんです。
さて詩。
全編、やさしい言葉で書かれています。
巻頭詩。
「働きもの」
亡母が植えたみかんの木
皮がうすく
実をいっぱいつめたみかん
働きもの
亡母を思う
このように短い詩が多い。そして亡き母、まさのさんのことを思う詩が。
「命の日」という詩がある。
今日は母の誕生日
生きておれば101歳
死んだ子の歳を数えるように
私は まだ
死んだ母の歳を数えている
素朴で そして心にじわ~っと沁みる詩。
このお母さんをわたしの身に置き換えてみると、わたしは子どもや孫に、このように思ってもらえるだろうか?
そんな生活を送っているだろうか?と考えてしまう。ちょっと不安である。
「近づく」という詩がある。
連休が終わり
孫たちが帰っていった
「また おいで」から
「また 来てね」へと
変わっていった亡母の思いに
近づいている
この微妙な言葉の変化は、心の変化なのですね。
なんでもないことのように見えて、さて書き留めるとなると、それほど易しくはないと思うのです。
「日常」という詩。
久しぶりに友人と会う
私が車に乗る時 車から降りる時
小走りで
ドアを開け 閉めてくれた
少し戸惑っていた私に
お茶を飲みながら
「夫が認知症になって四年になる」
と語った
これは短いドラマの中に、微妙な気息が描かれている。
総じてこの人の詩は省略がよく効いており、一読平板かなと思わせられるが、実は奥行きを感じさせるものがある。
易しさに油断してはならない。
巻末に初出一覧表があり、今見てちょっと驚き。
ほぼすべて神戸新聞の読者文芸欄が初出なのだが、そのうち特選作が三篇。
そして、そのうちの二篇をわたしは上に紹介している。わたしも少しは見る目があるのだ(ちょっと自慢)。
中島さん、ありがとうございました。
こんな詩を読むとホッとした気持ちになります。