加古川の詩人・評伝作家の高橋夏男さんからお贈りいただきました。
詩を主にする文芸誌「別嬢」115号です。
今号はいつもより分厚いので、何かの特集号かな?と思ったのですが、そうではありませんでした。
単に作品量が多いだけ。90ページもあります。
いつも通りみなさん、誠実な作風で好感が持てます。
わたしが興味を持った詩の中から一篇だけ紹介しましょう。
←クリック。
吉田瑞代さんの「畠のおたから」です。
キチキチっと一つずつ丁寧に、しかも愉快に描写されていてうれしい作品でした。
あ、もう一篇紹介しましょう。
「 こころ 」
不自由な
からだになった
けれども
老いさせたくない
心
生きてきた
今日の嬉しさを
明日の暮らしの力に
喜びかなしみの
思い出は
九十八年の
わたしの宝物
田代光枝
作者の田代さんは98歳ですか!
ならわたしもあと20年ぐらいは書けるか。
高橋夏男さんの連載、坂本遼の評伝文学、「おかんのいる風景」(20)は力作。というより労作と言った方がいいでしょうか。
地味な仕事を長年続けておられて、尊敬します。
今号では、芸術評論家、麻生義の坂本遼批評を中心に書かれていて、その視線が勉強になりました。
《麻生の坂本への評価の適切さには傾聴すべきものがあり、プロレタリア文学・農民文学にこういう考え方が一般化していたら、もっと豊かな実りがあったであろうと思わせられるものである。すなわち麻生は、坂本の詩がすぐれて感動的であることを当時の農民詩と比較し、方法的な観点を入れて指摘した。》
これの内容を例を上げながら叙しておられます。
今号で、ほかに気になったのは、やはり高橋さんの随想、「卒寿の嘆 西川保市さんの手紙に寄せて」でした。
前号と今号、わたしが大好きな西川保市さんの作品がないのです。
その理由の状況が書かれています。
淋しいことです。