「そこに有るはず」と思ったが、ない。
昨日のことだ。
なんで?と思って本の置いてあるところを探し回ったがない。
今日、諦めずにもう一度探してみた。
すると店の本棚の隅っこの奥にひっそりと身を潜めているのを見つけた。

天金本です。
『涙の二等分』(賀川豊彦著・福永書店・大正8年刊・一円六十銭)。
どうしてこれを探していたかというと、
今読んでいる本『春いちばん』(玉岡かおる著)です。

この本の主人公が、賀川豊彦の妻、ハル。
今、三分の二ほど読んだところですが、実にいい本です。
そういえば賀川の詩集があったはずと思って探し出したというわけです。
この詩集『涙の二等分』は、9年前に「兵庫県古書協会」が神戸で開いた古書市で求めたもの。
武庫川の古書店「街の草」さんのコーナーで見つけたのでした。
ちょっと高かったですけど迷わず入手したのです。
(調べて見ると今は
電子書籍になってるんですね。)
その事情はわたしの小随想集『ひとり勝負』(2015年2月刊・私家版)に載せてます。
追記 『春いちばん』を読み進めていたら、出てきました。『涙の二等分』が。355ページに。
《そんなハルに、たけうちが一冊の本を差し出した。賀川の『涙の二等分』だった。
巻頭には歌壇の女王ともいえる与謝野晶子が序文を寄せ、十も年が違う賀川を、まるで恋人を想うように絶賛している。》
『コーヒーカップの耳』