△アンジェラの灰(1999年 アメリカ、アイルランド 145分)
原題 Angela's Ashes
監督・出演/アラン・パーカー 音楽/ジョン・ウィリアムス
出演/ロバート・カーライル エミリー・ワトソン キアラン・オーウェンズ
△フランク・マコート『アンジェラの灰』より
1930年代のアイルランド、リムリック。
世界恐慌の時代。世界中はどこもかしこも貧しかった。
とくにアイルランドは19世紀の半ばにジャガイモ飢饉を経験して、200万人もの人間がアメリカに移民しちゃったりして、とにかく人口そのものが少ない。これに加えて、湿気と寒気がものすごく、日照時間も短い。どん底のような貧乏状態に、この環境は相当な追い打ちになる。
そんな暮らしを強いられたのが、原作者フランク・マコートの家族だ。
ただね~、実話が元になっているとはいえ、ぼくは観ていられなかった。
だって、かわいそすぎるんだもん。
米国移住の前夜までが、あまりにも暗くて辛すぎる。父親は夢ばかり追いかけて、まともに働かず、アル中になってる。双子の子供が貧乏で死んだときですら、その棺桶を台に酒を飲む。
プライドだけは高いから、道に落ちてる石炭なんか拾わない。けど、子供たちはそれをせっせと拾い、拾うんだけど、袋が破けてまた道に落とす。いたたまれない惨めさだ。母親が気丈で、しっかり家庭を支えようとするから、余計に辛い。
もう、どうしようもない世界で、悲しくてやりきれない。
アラン・パーカーはときどきこういう出口のない世界を映像にする。その才能と表現力と演出力はほんとうに見事だとおもうんだけど、この作品ばかりは、ぼくには辛すぎた。