◇日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里(1957年 日本 86分)
監督/森一生 音楽/鈴木静一
出演/菅原謙二 高松英郎 根上淳 品川隆二 川崎敬三 船越英二 伊達三郎
◇山中峯太郎『敵中横断三百里』より
建川美次を知っている日本人は、現在、どれくらいいるんだろう?
日露戦争の最中、明治38年1月。
建川はその戦功により、明治38年2月、第2軍司令官の奥保鞏から感状を受けて一躍有名になり、これを山中峯太郎が小説化し、昭和37年に映画化されたのが、この作品ってことになる。
だから、日露戦争について知ってる人間しか、たぶん、観ないんだろう。
まあ、なんもわからんっていう人にもわかるように、始まって10分は、当時の事情について事細かに語ってくれてるんだけど、実をいうと、これが余分だ。黒澤明と小国英雄が共作している脚本とはおもえないような冗漫さで、建川美次がいきなり児玉源太郎に呼び出されるところから始まればいいのにね。
あ、ちなみに、この筋立てが『隠し砦の三悪人』に昇華してるわけだから、そういうことからいえば『スター・ウォーズ』の原点ってことにもなる。
それにしても、柳永二郎の大山巌は似過ぎだろ!って叫んじゃうくらい、よく似てる。似てるといえば、中村伸郎の児玉源太郎も、うん、よく似てる。
それと、ロケ地は北海道だと想われるんだけど、鉄道といい、ロケセットといい、馬の群れといい、なにからなにまで予算が掛かってる。どこから見ても、超大作だ。
問題は、良い役者が揃っているのに、さっき書いたふたりの他には、主役の菅原謙二と高松英郎しか見分けられないことだ。
そのあたり、時代が違うのを痛感しちゃうわ~。