◇依頼人(1994年 アメリカ 119分)
原題/The Client
監督/ジョエル・シュマッカー 音楽/ハワード・ショア
出演/スーザン・サランドン トミー・リー・ジョーンズ メアリー・ルイーズ・パーカー
◇ジョン・グリシャム『The Client』より
家族の喪失と復活の物語。
ちょっと期待しすぎたもしれない。だって、発想が魅力的だったんだもん。
父親のDVによって母親と弟と隠れるように暮らしてる少年が、上院議員殺害の真相を知る弁護士の自殺を目撃したことから話は始まる。
弁護士はマフィアが殺した議員の遺体のありかを知ってて、それを少年が弁護士が自殺する直前に聞いてしまったことからマフィアに命を狙われる羽目になるんだけど、身の安全をはかるために1ドルで弁護士スーザン・サランドンを雇い、最初はサランドンと張り合う敏腕検事トミー・リー・ジョーンズも手を貸して、事件の鍵を握る死体を捜しに行くという筋立てなんだけど、前半の尋常でない面白さが後半で失速し始める。
たしかに証人保護プログラムを適用されて旅立ちを迎えるラストは好いけど、それまでのすったもんだがじれったい。
少年が1ドルで弁護士を雇う、という発想が最初にあったことはわかる。それと同時に、アメリカの抱えてる家庭内暴力と夫の裏切りによる離婚など、つまり、家庭の崩壊が描かれてることもよくわかる。さらには、崩壊した家族の一員、つまり少年と弁護士が、疑似母子のようになり、検事という疑似父親が登場することで、まぼろしのような家族の成立と結束と行動が語られていこうとしているのも、うん、よくわかる。
それだけに、後半の失速が惜しい気がするんだよな~。