◎徳川家康(1965年 日本 143分)
監督・脚本/伊藤大輔 音楽/伊福部昭
出演/中村錦之助 北大路欣也 有馬稲子 桜町弘子 山本圭 加藤嘉 西村晃 千田是也
◎5部作の1
となるはずだったらしい。
だけど、東映も斜陽の波をもろに受けていた時期でとてもじゃないけど五部作っていう超大作を作るだけの体力はなかったようだ。
もしもこれが完全に作られてたら、まちがいなく伊藤大輔の代表作になっていただろうし、同時に北大路欣也の代表作にもなっていただろう。天尾完次も太秦に残っていたかもしれないし、ほんと、そういうことからいえば、正に東映の岐路に立ってた作品だったんだね。
実際、滝沢修のナレーションは重厚だし、甲斐荘楠音の衣装考証も充分だし、伊福部昭の音楽もおもいきり雅びでちからが籠もってる。
錦之助だって、北大路欣也の将来のために一肌脱いだって感じがひしひしとしてて、おそらくは自分には内田吐夢の『宮本武蔵』があるし、ここはいちばん恩師といってもいい伊藤大輔の五部作を応援しようって感じが伝わってくる。
惜しいな、ほんとに。