☆花の影(1996年 香港 128分)
原題/風月
監督/チェン・カイコー 音楽/チャオ・チーピン
出演/レスリー・チャン コン・リー ケビン・リン シェ・ティエン チョウ・チェ
☆1920年代、上海
流石な映像。クリストファー・ドイルのカメラは、まじ、凄い。
まあ、映像にばかり見とれてると、わかりづらい物語がなおさらわからなくなっちゃう危険もあるんだけどね。舞台が20年代の上海と江南だから尚更だし。でも、幼い頃の提灯の中での追いかけっことか、美しすぎる。
それにしても、血族を守らねばならないっていう凄さはさすがに中国で、日本の比じゃない。
でも、どうなんだろう、国共内戦の後、こういう血族主義は残ったんだろうか?そのあたりはよくわからないけど、上海のオープンといい、セットはどこもかしこも見事な出来栄えだ。蘇州の大邸宅にいたっては、どこまでがセットかもよくわからない。これもおそらく、ドイルの映像技術のたまものなんだろうけど、
ただ、チェン・カイコーは、どういう気分でこの映画を作ったんだろう?
もしかしたら中国史を順番に映像化していくつもりで、その一環として制作したんだろうか?
1911年に辛亥革命が起こって、それまでの血族主義の中国が揺るぎ始め、上海にマフィアが横行し、その渦の中に、かつて名家に仕えながらもそこからはみ出した連中が飛び込み、今度は自分を使っていた名家を牛耳るようになっていく時代、つまり、秩序が大いに乱れていった時代を描きたかったんだろうか?
それを、ひとつの恋愛で、名家の子女と召使と成り上がり者という三角関係ながら、時代の象徴として描いていこうとしたんだろうか?
現代との対比がないから、日本人のぼくには感覚的に今ひとつわからないんだけど、とにかく映像には圧倒されちゃうよね。