◇奇巌城の冒険(1966年 日本 103分)
英題/The Adventures of Takla Makan
監督/谷口千吉 音楽/伊福部昭
協力/イラン国 外務省 情報省 文化省 在日大使館
出演/三船敏郎 三橋達也 中丸忠雄 黒沢年男 佐藤允 浜美枝 若林映子 白川由美
◇走れミフネ!
そもそも、三船敏郎は西遊記が大好きだったらしい。
で、自分でも孫悟空が演じたくって、人にも語っていたらしい。
いかにも三船さんらしい微笑ましさで、ぼくの好きな挿話だけど、その夢が半分叶ったのがこれなんだろな~とぼくはおもってる。まあ、三船プロダクションと東宝の提携作品だし、かなり自由にやれたんだろう。で、中身も『走れメロス』と『西遊記』を足して2で割ったものにしたわけだね。
でもまあ、どっちを原作にしたところで、敦煌やタクラマカン砂漠を舞台にしたファンタジーであることには変わりない。
ロケはイランのイスファファンで敢行されたみたいだけど、いやまあ、当時の邦画をおもえば、スケールはたしかにでかい。でも、三船さんがメロスを演じてなければ、ちょっと眉をしかめちゃうかも。
もちろん、東宝の砧撮影所のオープンセットにも砂漠の町が作られた。よほど立派に出来たんだろう、使い回しされた。ウルトラマンの『バラージの青い石』がそうだ。黒部進がどっちの作品も出てるってのが好い。ちなみに、どうでもいい話しながら『バラージの青い石』はぼくの好きな話のひとつだ。
登場する怪獣はアントラーなんだけど、これが放送された日、ぼくは実家の2階のテレビでひとりで見てた。そしたら向かいに住んでる女の子がやって来て、ぼくがテレビを観てるってのに「自転車に乗りに行こう」と誘ってきた。7時からの番組だから、外はもう暗かったはずなのに、どうしてそんな記憶があるんだろう?
砂漠の彼方の思い出みたいに、曖昧だ。