◎セッション(2014年 アメリカ 106分)
原題 Whiplash
監督・脚本 デミアン・チャゼル
◎なんだか『巨人の星』をおもいだした
見当違いだといわれれば、そうだよね~といって頭を掻くんだろうけど、今、頭の中にあるのは星一徹と星飛雄馬の映像だ。息子を育てることに命を懸けてきた父親が、その息子を叩き潰すために命を懸けるという、訳が分かるようでよくわからないながらもその鬼気迫る決闘の行方を必死になって見守ってきた僕は、どうしても、この音楽学校のちょっといかれた音楽教師と新人のドラマーの対決に少年時代の名作漫画をおもいだしてしまうんだ。もうひとつは『愛と青春の旅立ち』だ。でも、どちらもちょっとずつ違ってた。
ただまあ、このふたりの演技は凄いし、映像はリズム感にあふれていて大したものだっておもうんだけど、でも、だからといってスカッとする展開ではない。だって、そうじゃんね。結局、これって復讐譚だったの?とかって気分になってくる。ぼくには、この映画がなにを伝えたかったんだろうって気がするんだよね。よくわからないのよ。この気違いじみた音楽教師はいったいなにがしたかったんだろうって。新人を発掘して偉大なミュージシャンに育て上げたかったんだろうか?それとも自分の望んでいる理想の演奏をするためにかれらを鍛えていたんだろうか?でも後者はありえない。だって自分の理想とする演奏は学生たちには無理だろうし。だとしたら生徒を育てることに必死になってるってことになるんだけど、どうもそうは見えないんだよな~。
けど、ひとつだけいえることは、ここまで凄い映像と演技の凝縮した映画は、たぶん日本じゃ作れないだろな~ってことだ。