☆コッポラの胡蝶の夢(2007年 アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、ルーマニア 124分)
原題 Youth Without Youth
監督・脚本 フランシス・フォード・コッポラ
☆1938年ルーマニア・ブカレスト
もう少しまともな邦題はつけられなかったんだろうか?胡蝶の夢はたしかに本編中でも語られるんだけど、どうしてもこの作品について人が話そうとするときこの荘子の故事について余分な説明をしなければならなくなり、それは結局のところ、この作品のおもしろさを伝える上で余計なものになりかねない。困っちゃうんだよね、そういうの。
老け役もいとわず、老人から若者として甦った夢とも現実ともつかぬ第二次世界大戦前夜の日々を送ってゆくことになる学者を演じたディム・ロスと、その巡り合うべき運命を背負わされながら前世の言語と記憶をおぼろげに持つ女性を演じたアレクサンドラ・マリア・ララは、うん、いかにも知的な俳優できわめて好感触だ。
ただ、永年の夢だった「言語の起源の研究」についてどのような結論をひきだすことになったかというその解答が映画そのものの世界というだけではなかなか理解を得られにくいんじゃないかって気がするんだよね。もちろん、コッポラの美的な才能は遺憾なく発揮されてるし、そういう作品つくりについては撮影も編集もなんの文句もつけようがないんだけどさ。