◇パトリオット・ゲーム(1992年 アメリカ 117分)
原題 Patriot Games
監督 フィリップ・ノイス
◇愛国者のゲーム
ハリソン・フォードのジャック・ライアンは2作しかなかったんだ~といまさらながら気がついた。たしかにこの作品と『今そこにある危機』しかおもいうかばないんだからそうなんだけど、シリーズが何作も映画化されているのにこれといった適役がいなかったんだろうか?
ま、そんなことはさておき、この作品は世界観としてはとてつもなく大きなものという感じじゃないんだよね。たとえば『レッド・オクトーバーを追え』みたいな大掛かりなものじゃないってことだけど、それでもアイルランド共和軍暫定派(IRA)による英国王室のホームズ卿を暗殺しようっていう計画の打破ってのが舞台設定になってる。ただ、この作品の場合、英王室からナイトの称号を賜ってホームズ卿を守るというのはあくまでも表向きな動きで、映画の中で語られるのは、暗殺を阻止したことで家族を狙われる羽目になってしまったジャック・ライアンが妻と娘の災難を乗り越えて復讐にやってきた暗殺者どもを返り討ちにするという、なんとも小さな戦いに凝縮されてる。
いかにもハリソン・フォード的なジャック・ライアンなんだよね。
それはともかくジェームズ・ホーナーの音楽がちょっと不気味さがあっていい感じだ。ただ、暗殺現場にたまさか居合わせたハリソン・フォードが飛び込み、シーン・ビーンの弟を射殺するという導入なんだけど、サーの称号が与えられるのはよほどの光栄なんだね。感覚として、日本だったら卿とかいわれるんだろうか。レディは夫人なんだろうけど、貴族を無くされた国の人間がなにか考えても仕方ないか。
ただ、何度観なおしても話は小さい。17歳だった弟の復讐に高速道路で妻子を襲い、娘の脾臓を摘出させるほどの危険運転に追い込む狂気の逆怨みっていうだけの話だ。IRAを誹謗することなく物語を進めていかなくちゃいけないからそのぶん苦労したんだろうけど。とはいえ、IRAの大物リチャード・ハリスに喧嘩うっちゃうんだから、ま、そのあたりは感情の突っ走りだ。
話は飛ぶけど、衛星って凄いな。砂漠の中のおっぱいまで鮮明に写しちゃうんかよ。もう、最後になると思想とかじゃないんだね。父親を警察に殺されたこともあって、怨みの矛先がジャックライアンに集中しちゃうんだね。まあ、物語ってのは、これでいいんだろうけど。