△小さな独裁者(2018年 ドイツ 119分)
原題/Der Hauptmann
監督・脚本/ロベルト・シュヴェンケ 音楽/マルティン・トートシャロウ
出演/マックス・フーバッヒャー フレデリック・ラウ ミラン・ペシェル ワルデマー・コブス
△エムスラントの処刑人
こと、ナチス・ドイツの空軍兵ヴィリー・ヘロルトの実話らしいんだけど、不愉快な映画だった。
打ち棄てられた軍用車輛から空軍の将官の制服を盗み出して将校になりすまして逃げようとするのはわかる。それが勘違いされて将校に成りすませるとわかり、これが徐々に昂じてヒットラーの特別命令を受けたヘロルト戦闘団なる詐称集団を組織していくという過程はよくわかるし、興味も持てる。
でも、それからがいけない。
好い気分にはとてもなれない。
収容所に入り込んで指揮権を剥奪されるまでの狂乱は気持ちが悪くなるくらい無軌道で残虐だ。実際にあったことだから描きたくなるのもわかるし、このヘロルトという、のちに逮捕されて裁判にかけられ処刑される運命をたどってゆく元脱走兵については同情の余地もないし、それを糾弾して後世に知らしめようとする姿勢もわかるんだけどね。
そういえば『影の軍隊』でもそうだったけど、捕虜を走らせておいて背後から撃ち殺すというのはナチスの常套的な処刑方法だったのかしらね。処刑をゲーム化するというのは事実だったから際立った残酷さだな。