▽男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく(1978年 日本 103分)
監督/山田洋次 音楽/山本直純
出演/渥美清 倍賞千恵子 前田吟 笠智衆 三崎千恵子 太宰久雄 竜雷太 木の実ナナ
▽第21作 1978年8月5日
夢で、寅の帽子の形をしたUFOが去っていくとき、ピンクレディの『UFO』が流れ、あ~ヒットした年か~とおもった。
寅に「あいかわらず、ばかか」といわれるちょび髭の佐山俊二の「ばかに、ばかよばわりされるほど、こっちは、ばかじゃねえんだ」という台詞と、それが伏線になった後の反対の「お利口そうで」というやりとりは常道だとして。
山田洋次監督がSKD(松竹歌劇団)の脚本・演出に迎えられたのは1979年だから、この作品が封切られた翌年ってことになるんだけど、この頃からSKDはかなり低迷してもがき苦しんでたのかしらね。
ぼくはSKDを一度しか見たことがなくて、でもそのときはSKDの得意技の『舞台後方、6段落としの瀑布』を見られた。
『夏のおどり』だったんじゃないかっておもうけど、あれはかなり凄かった。ただ、同じ歌劇団とはいえ、最後の頃のSKDはどちらかといえば日劇ダンシングチームと両翼だったような気がする。あたりまえか。
いずれにしても、国際劇場の裏方を描いた作品ってこれひとつだけなんじゃないかっておもったりするんだけど、だとしたら映像遺産になるんだろうなって気はする。
ま、それはさておき、この回はきつかった。
武田鉄矢も『幸福の黄色いハンカチ』の前日譚みたいな感じで登場して、もうなんだか、かわいそうで。いつまでたっても成長しないでわが道をゆく寅と、それをだらだら漫然と観ている自分とが、どうにも辛くなったわ。
ところで、おいちゃんの夢は「満洲で馬賊になりたかった」で、おばちゃんは「日本橋の大きな呉服屋さんの奥さん」らしいんだけど、なるほどそういう時代だったのね。まあしかし、ぎりぎりの時代錯誤なんだろうけど。