Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

京都暮らし186. 福玉そして花街

2009年12月27日 | Kyoto city
 12月になると祗園界隈の和菓子屋の店頭に、福玉が並ぶ。福玉は、ひいき筋やお茶屋の女将さんからから舞妓さんに、新年の祝いとして贈られる。丸い紅白の餅の中には、縁起物などが入っている。除夜の鐘が鳴りやむと福玉を割るしきたりがある。紅白の餅は火であぶっておやつになるそうだ。金色のテープがミスマッチのようで面白い。私には、花街の風習だと思われる。
 花街が街の機能として活動しているのは、京都、金沢、名古屋、東京、博多などの限られた都市と温泉地ぐらいだろうか。私自信が東京・神楽坂界隈の育ちだから、露地の奥から聞こえる芸妓さんが稽古している三味線の音は、いまでも記憶に残っている。
 芸妓さんなどは結構気っぷが良く、仕事が終わる夜の10時過ぎになると、普段着に着替え「さぁっ、これから浅草へ鰻を食べに行こうよ!」などと、地元の世話をしていた母を誘っていたことを、少年時代の記憶として覚えている。
 その後、娯楽遊興にも課税される税制度となり、人々のワークスタイルも変わり、神楽坂の料亭が次第に減少してマンションに変わり、これに呼応するかのように、街の中から呉服屋が消え、和に関わる職人さん達が次第にいなくなってきた。和という伝統文化が、身の回りから静かに消えていったこともよく覚えている。
 花街というのは、私の少年時代とすれ違っていった原風景だというのが私の認識である。だから、いつも遠くの世界のように眺めている。

京都市内,撮影日2009年12月25日.
Fuji FinepixS5pro,AF MICRO NIKKOR60mm,f2.8.
シャッター:1/250,絞りf3.5,ISO320,カラーモードF2.
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