仕事始めで街はゆっくりと動き出した。
でも空気がまだ寝ているようだ。きっと仕事が軌道に乗るまで時間が必要なのだろう。そんな小樽の時間だ。
ベーヤンもその一人だった。
・・・
建築家の榊原さんがフィリピンの奥さんの家から早々に帰国したのでベーヤン達といつもの場所で新年会だ。
ベーヤン「君は、どうして若いフィリピーナをゲットしたのかがよくわからない」
榊原「知りたい!、なれそめを・・・」
ベーヤン「隠さないで教えてよ・・・」
「あっ、ベーヤンもその口説きのテクニックを使おうというわけだ・・」
(*^▽^*)
榊原「じゃあ、披露しちゃおうか。つまり女のジェラシーをくすぐったんです!。これにつきる・・・」
ベーヤン「はぁっ!????」
榊原「あのころ、今の上さんより年上のジーナというフィリピーナがいたんです。もちろん恋人ではなく知っていた程度。そこへ若い上さんがやってきた。同時に二人の女ができかけた。私も、こりゃどうなるのかと思った。でっ、当時の上さんがいうには『ジーナは貴方の子供が産めるのですか?・・・に始まって、私の方がはるかに若いでしょ。なんでジーナがよいのですか・・・、私なら子供がたくさん産めます・・・』と猛烈なアタックが始まったんですよ。結局私は、若い今の上さんを嫁にしましたけどね」
「おおっ、ジェラシーの応酬!!!」
榊原「私のスマホにジーナからのメッセンジャーが残っていると『これは、いらない』といって勝手に全部消去しちゃうのよねぇー。以後ジーナという言葉を発しただけで、猛烈なジェラシーのセリフがやってくるわけ。『貴方は、私を愛していない。神の前で嘘をついたのですね・・・』と手厳しい」
「げっ、友達でも他所の女は、ジェラシーの対象なんだ!」
榊原「だから結果論ですけど、二人の女を戦わせた格好になります」
ベーヤン「戦わせるということは、お互いにジェラシーをたぎらせたわけだ・・・」
榊原「結果として私は若い上さんがゲット出来たので文句はないのですが・・・、それがフィリピーナ達の価値観なのです。愛する女は、私一人にしなさいと手厳しいわけ」
「なんか男よりも、自分のジェラシーを消し去ることが先なんだ!!」
榊原「そうですよ!!!。だからジェラシーを沈めるためには愛しているを100回ぐらいいわないとダメなのです。それでようやく仲直りです」
ベーヤン「うちの上さんじゃジェラシーすら起きないよ。『他所に女が出来た!。ハイ!!、さらなら・・、家は慰謝料代わりにもらっとくわ』だよ」
「既にサヨナラしてるじゃん!!!」
ベーヤン「まあそうなんだけど・・・」
・・・
ホテルの窓から見える空が赤く染まっている。
神のジェラシーかなあ・・・。