Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

Fieldwork767. 二つのスプリングカメラ

2023年01月24日 | field work
 デジタル化したネガ画像をNASから引き出していたら、スプリングカメラで撮影した画像を見つけた。スプリングカメラは、光学上ボディから飛び出さざるを得ないレンズ部分が蛇腹でホディ内に収納され携帯に便利なように設計されたフィルムカメラである。昔のフィールドカメラである。因みに今のデジタルカメラは、レンズ自体がボディに収納され大きさもこれらとは比較にならないほど小さい。
 一つはフォクトレンダーが1950年に製造を始めたVitto2。もう一つはドイツKodakが1958年に製造したレチナⅢC。どちらもオール手動で機械式のカメラ。ツァイスやライツが高価であった時代に、低価格で発売され大衆機として普及したヨーロッパのエスプリ。
 そもそも会社で人間ドックにゆかされ慶応大学附属病院のあろうことか木造平屋建ての文化財的病室(昔の結核病室)で、検診結果の長い待ち時間に読んでいた本(日沖宗弘:プロ並みに撮る・写真術2、勁草書房、1993年)にカメラウィルスをうつされたわけである。これはその後も私に長く影響を与えた。
 そして私の手持ち機材と組み合わせ高画質でコストパフォーマンスのよいシステムが出来る事を延々と語られ・・・。でっ、やってみた。
 例えばVitto2を標準レンズ専用機材にして、手持ちのレンジファインダーCanom6Lにライツ・ズマロン35mmとライツヘクトール135mm(キャノンには135mmのフレームがある)を組み合わせて広角、標準、望遠のコストパフォーマンスの良いシステムができる云々とする記述に感動し((*^▽^*))中古カメラ屋に走る結果となった。
 もちろんモノクロで撮影したときは、現代のレンズとは異なるおっとりとした美しい写り方をしてくれた。KodakレチナⅢCは、現代でもリバーサルフィルムやモノクロフィルムで撮影すると大変シャープで抜けの良い写真が撮れる。1950年代に撮影機材は完成していたのである。
 その後デジタル化にともなってこれらの機材は、私の手元から離れていった。今でも定期的に分解修理などのメンテナンスが出来れば十分使える機材。それはデジタル機材では撮れない魅力ある画像が撮影ができると思われる。昨日の品川宿のブログは、広角側をミノルタCLEにエルマリート28mm、そして標準側をレチナⅢCのシステムで撮影した。


 横浜市大倉山・1996年。トップ画像を含め上記3枚はVitto2で撮影した。逆光では盛大にハレーションを起こし、私の機材はレンズ内部にカビがあったのだろうか・・。しかしクラシックな写り方は、被写体さえ選べばデジタルカメラではできない魅力的な画像が撮れる。



 横浜駅西口・1997年。手荷物がないから出会い系サイトで捕まえた男を待つ娼婦だろう。上記2枚は、KodakレチナⅢCで撮影した。ミノルタCLEにライツ・エルマリート28mmと90mm、それに標準をレチナⅢCにするというシステムが、大変高性能であり、フィールドでは小さく軽く使いやすかったのである。これは当時のニコンやキャノンの一眼レフシステムに追随できるといってもよい描写力を持っていた。その後惜しいことにミノルタCLEは電子部品の故障で修理不可となり、最適システムも潰えた頃デジタルカメラが登場してきた。

Voigtlander Vitto2 出典:ハタヤカメラ
https://www.hayatacamera.co.jp/monthlyphoto/201905-vito2/

KodakレチナⅢC、出典:flickr
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