終点の某所で、某大手スーパーの場所を聞かれた。一瞬「どこだっけ?」と思ったけれど、その男性は手書きの地図を持っていたので簡単に説明することができた。
その後、私はロータリーを半周して待機所にバスを停めた。すると、今朝は“明らかな”忘れ物があった。私は「きっと、今の男性だ」と思って周囲を見回したけれど、その姿を見つけることはできなかった。
約一時間後、私はある路線を一往復して、再び某所ロータリーの待機所にいた。すると営業所から私の携帯に連絡が入り、「今からそこへ男の人が忘れ物を取りに行くから渡して…」と言われているうちに、一台のタクシーが目の前にやってきて、見覚えのある男性が降りてきた。私は「あ、今ちょうど来ました! はい、渡します」と言って携帯での話を終わらせた。
男性は私の表情を見て「やっぱりバスにあった!」と確信したのか、「あぁ、良かった!」という顔になっていた。私が前扉を開けて忘れ物を手渡すと、男性はまたすぐにタクシーへ乗り込んで行ってしまった… かなり急いでいる様子だった。
昼過ぎに営業所へ戻ると、上司から「名前と連絡先くらいは聞いたか?」と言われた。つまり“別人が貴重品を奪う可能性がある”ことを頭に入れておけということなのだ。確かに、用心しなければいけないのだが… ほんの一時間前に話をした人だったので、そんなことは頭に浮かばなかったのである。
それにしても、他人になりすまして金品を奪う悪い奴らがいるせいで、みんなが疑心暗鬼にならざるをえない時代… なんとかならんもんかねぇ…