雨の午後、バスは順調に走っていた。いつものように、バス停が近くなると“降車ランプの確認”“バス停の人影の確認”“時刻の確認”などなど… ちょっと大袈裟かもしれないけれど、何度も“前方不注意”になるので、不器用な私はとても緊張する。
そして、あるバス停を「定刻よりも20秒ほど遅れて通過だな」と思った時、バス停の手前にある交差点の右側に立って、私の顔をジィ~っと見つめる一人の若い女性を発見した。「あの目は… どう考えても“そのバスに乗りたい!”って感じだよなぁ…」と思った私は、交差点を過ぎてすぐのバス停に止まって扉を開けて待った。
すると、彼女は走ってきてバスに駆け込んだのだが… それは“耳栓無言女”だった。なるほど… 「何も聞かざる」「何も言わざる」ということか… ならば「何も見ざる」まで徹底して、訴えるような目で私を見るのもやめてくれぇ~