朝、あるバス停を発車して、上り坂をブ~ンと… その時、すぐ左の歩道を歩いていた2人の小学生が、私に向かって手を振ってくれた。
が、私はギアチェンジ中… 手を放すことができなかったので、反射的に軽く会釈した。すると、なぜか2人は笑いながら手を振り続けていた…
その直後、2人の後ろを歩いてきた小学生2人も手を振ってくれた。今度は、私がギアを入れた後だったので、私は左手を振った。
さらに、その後方に十数名の小学生が歩いてきていたので、私は左手をスタンバイさせながら「何か声を掛けらても応答できるように」と、マイクのスイッチを車外に切り替えた。
しかし… その十数名はバスの方を見ることさえなかったのである。誰一人として… ま、まぁ… そんなもんだろう。
それから3時間ほど経った頃… あるバス停からお婆さんが乗って、右手に持ったフリーパスを私に見せた。続けて乗ったお爺さんが、左手に持った“腕時計”を私に見せた。
それも、文字盤をキッチリと私の方へ向けていたので、私は「何か意味があるのだろうか?」と考えながら、その腕時計をジッと見て… 一瞬、時の流れが止まったように感じた。
数秒後、お爺さんは「あ、ごめんごめん」と言いながら、慌ててポケットに右手を突っ込んでフリーパスを取り出した。お爺さんも私も、ただ笑うしかなかった…
それはそうと、気になるのは腕時計… 孫からの誕生日プレゼントで、自慢したかったのか? バス停に落ちていたので、運転士に渡そうか迷っていたのか? それとも… その腕時計を質に入れに行くところだったのかな? ハハハ…