現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

尺八演奏活動 止めます

2015-10-30 21:00:30 | 虚無僧日記

今年は「名古屋市市民芸術祭り参加」での「能楽堂公演」、

中国北京、そしてロシア公演と、私にとっては生涯で最高の

頂点に立ちました。そして、これが私の限界と知らされました。

もう、これ以上は望めないし、尺八の演奏活動は止めにします。

帰国して三日三晩、部屋の大片付け。楽譜も過去のプログラムも

もろもろの資料も大半を捨てました。「断捨離(だんしゃり)」です。

尺八演奏家としての肩書きを捨て、尺八道を極める求道者として、

尺八の普及のための執筆業に専念します。

それが本来の虚無僧の姿かと思うのです。


ロシアの尺八事情 つづき

2015-10-30 20:41:00 | 虚無僧日記

7日間の滞在中、3回の公演があり、公演の無い日は、

尺八を習いたいという人が、私の宿舎に習いに来ました。

みな、琴古流の楽譜をきちんと読んで、完璧に演奏します。

道曲しか吹かないという人は、「CDを聞いて覚えた」と、

みごとに、そっくり真似して吹きます。

若い女性でも、「夕顔」や「茶音頭」など、メリ、カリもしっかりと、

実になめらかに吹きます。日本人は、まともに吹ける人は

100人に一人くらいしかいないのに、まったく不思議です。

三絃も弾く人がいます。

あるコンサートの映像を見せてもらいました。三絃と尺八で

「六段」「黒髪」「夕顔」などを演奏し、それに途中からピアノや

チェロが加わり、手事の部分でロシア語の歌もはいり、実にうまく

溶け合っていて感心しました。ああいう感覚は日本人には無い。

日本人は邦楽の古典と洋楽器を合わせるなんて発想ができません。

ロシア人は、邦楽に 精神性、スピリチュアルなものを追求して

いますので、体を振っての演奏や、バタくさい現代曲、

パフォーマンスを嫌います。

ロシアでいろいろ学んできました。

 

 

 


ロシアの尺八事情

2015-10-30 20:15:29 | 虚無僧日記

ロシアには、尺八を教えている人が数人います。その一人

サーシャ(Alexander Ivashin アレキサンダー・イワシン)は、

もう15年ほどのベテランです。もとは、琴古流青木派(鈴慕会)の

方が日航のモスクワ支店長だったようで、その方から、琴古流の

外曲、本曲を習っています。「今小町」や「松竹梅」などの大曲も

吹きこなすのですから、恐れ入ります。もちろん「鹿の遠音」も

べーりーグッド。その上で、日本から著名な尺八家を招いて

都山流の本曲も 海童道の道曲も みごとに吹きます。

明暗流各派に 西園流まで、たいていの尺八楽譜や尺八家のCDは

持っていおり、さらにYoutubeで、あらゆる尺八家に精通しています。

ロシアでは、海童道の法竹のみならず、西村虚空の虚鐸が

好まれ、3尺以上の尺八もみずから製作して吹いています。

というわけで、ロシアでは超長管しかうけません。

現代曲は からきしダメです。

アンコールで 琴古流本曲の「夕暮れの曲」をリクエストされ

焦りました。さいわい、サーシャが譜面をサッと出してくれ、

吹くことができました。おそるべし、おそロシアです。