愛知学院大学の特別講座「日本音楽の歴史」で、学生にインパクトを
与えたもの。
まず、『千本桜』の神永君よろしく、尺八を吹きまくって登場したのが
強烈なインパクトを与えたようだ。「邦楽はとかく眠くなる」という
イメージを払拭した。
アンケートでも「尺八の迫力に驚いた」「冒頭の尺八で“場”の空気が
一変した」と。
そして、『春の海』は、不朽の名作だ。このメロディーには、みな
心を和やかにする。「お正月の気分」というコメントが多数。
筝曲『六段』、『千鳥の曲』は、「はかなさ、ものさびしさ、哀しさ」に
「涙が出そうになった」との声も。
講演の方では、
「琵琶、筝、尺八は奈良時代に、中国、朝鮮から伝わったもの。
三味線も江戸時代の少し前に沖縄か中から伝わった。すべて
外来のものだが、日本で独自の改良が加えられて伝承された。
中国では、日本と同じ楽器は存在しない。
そして、唯一、日本生まれの楽器は「大正琴」くらいなもの。
「大正琴は名古屋の大須が発祥」という話に、みな驚いたようす。
雅楽とともに伝わった古代尺八はドレミファソラシドの7音階だったが、
中世の尺八はドレミソラの5音階。日本文化のひとつの特徴は
「省略」にある。そして江戸時代、近世の邦筝は「ミファラシド」の5音
を基調にして、押し手であとの2音を作る。などなどに興味を示す
人も多かった。
そして、『千鳥の曲』の作曲者「吉沢検校」も名古屋の人、と云うと
関心はより深まったようだ。
筝、尺八の特徴としては「音と音の間の音、そして間(ま)を楽しむ」と
説明して、筝の「ヒキイロ」「後押し」「ユリ」などを実演。尺八の「スリ上げ」や
「二段メリ」を実演。「風鈴は、チリン、チリンの音を聞くのではなく、チリン
と鳴ってから、次のチリンまでの間(ま)を聞くものだ」という説明に、
みな納得。「邦楽の聴き方、楽しみ方が間(ま)にあると知って、理解が
深まった」という感想が多数。
アンケートの感想欄は、「音の数が少ないのに、それを感じさせない
繊細な技法、美しい音色に涙が出た」とか「あまりの格好良さに鳥肌が
立った」とか「今まで聞いたことがなかったのがもったいないくらい」
「やってみたくなった」と、うれしいコメントばかりでした。