つげ義春の『無能の人』に虚無僧が出てくる。
家族で旅行した際に虚無僧と出会う。「虚無僧って
虚無の僧のこと?」と尋ねる妻に、「一種の無用者、
高度資本主義社会に機能しない無用の存在って
わけだ」と夫が答える。
すると妻がいう。「役立たずの無能の人なのね、
あんたみたじゃない」と。
この書評に
「高度に発達した社会に住み、経済的な繁栄を求めて
蟻のように生活している現代人にとって、ここに
出てくる人たちは、何とも無能の人ばかりなのだが、
時間にも金銭にも世間体にも縛られることなく生きる
人の姿に解放感のようなものを感じる。ふっと息が
抜けるような、そんな感じを受ける」と。
虚無僧が門付けに来た時、断りの文句は「ご無用」と
言うのだ。私も「無用の人」か?
「お呼びでない?、こりゃまた失礼しました」