東北大震災以降、各種の音楽家が現地慰問して無料コンサートを
することが流行った。ボランティアが美徳とされ、二流三流の
音楽家は食べていけなくなった。私もその一人。このところ、
ボランティア演奏ばかり。昨年は57回が無料報酬だった。
「タダで演奏してくれて当然」という顔をされる。「すばらしい、
こんな尺八聞いたことない」と評価はしてくれるが、その評価が
お金には換算してもらえない。
そして「私は一路さんにタダで来てもらった」と自慢顔に吹聴
される。「私が口をきいてあげれば、タダで来てくれるから」とまで。
ますます、お金がいただけない。
30年前、一舞台10万円いただいていたのが、今では平均 1,000円。
百分の一。3,000円もいただると「ありがたい」と、有り難さを
感じるようになった。
先日も「一路先生以外に(名古屋では)吹ける人はいませんから」と、
お世辞を並べられて、それでも一万円。プロとして認められない
ことに愕然となる。
それもあって、今後の演奏はすべて断りたい。せめて3万円 以上
出していただけるなら 引き受けてもよいかと。