現代の虚無僧一路の日記

現代の世を虚無僧で生きる一路の日記。歴史、社会、時事問題を考える

著作権料の請求が来た

2009-07-28 20:21:41 | 虚無僧日記
昨年の「一路会演奏会」について、著作権料の請求がきた。
堀井小二朗作曲の「竹の響き」と「二十四の瞳」について
16,000円とのこと。びっくりである。

音楽に著作権があり、使用者に著作権料支払い義務が
あるのは判っているが、今まで邦楽の演奏会で著作権料の
支払いというのは聞いたことがない。
邦楽の会は、有料とはいっても、かかる費用の総額をチケットに
して、会員が一枚 2,000円×10枚=2万円などと負担する。
会員は大抵無償で配ってしまう。だから、ほとんど持ち出し。
そこへきて著作権料とは泣きっ面に蜂だ。

『春の海』は宮城道雄も亡くなって50年が過ぎたので著作権は
消滅したというが、最近の人気作曲家の曲や、「冬のソナタ」
「千の風」、ディズニーやジブリの曲の編曲物などはみな著作
権料がかかるはずだ。みな払っているのだろうか?

ところで、堀井小二朗は25年も前に亡くなっており、遺族を
探し出してきちんと著作権料が支払われるのだろうか。没後
50年ともなれば、もう孫子の世代だ。法廷相続人に支払われる
というが、孫が8人になれば、各人に2,000円ずつ支払うのだ
ろうか。住居も変わっており、相続人を探し出すのも大変で
ある。著作権協会がほんとに遺族に支払っているのかどうか
が不明なのも問題になっているそうだ。

天下りのお役人の懐を肥やしているだけだとするなら、払い
たくはない。邦楽家の方々、著作権料はどうされているのか
教えてください。

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壬生義士伝

2009-07-26 23:49:31 | 虚無僧日記
2002年に放映された『壬生義士伝』、You-Tubで全巻見る。
南部藩の下級武士で、困窮生活から妻子(の生活)を守る
ために、脱藩して新撰組隊士となり、銭のために命を懸けて
働いたという吉村貫一郎の話だ。

中井貴一で映画化されているが、テレビの渡辺謙の方が
全然いい。TVの再放送も見ており、ビデオにも撮って、
もう何回も見ている。何回見ても泣ける。

泣けるのは、むしろ貫一郎が死んだ後の話。上役の大野
次郎左衛門(内藤剛志)と、貫一郎の息子の生き様にだ。

さんざん泣かされた。ところがところがである。調べてみたら、
南部藩に大野次郎左衛門という人物はいなかった。戊辰戦争の
責任を負って死罪となったのは家老の楢山佐渡だ。
今まで新撰組の本を数多く読んでいるが、「吉村貫一朗」なる
人物は聞いたことがない。副題には「新撰組で一番強かった男」と
ある。「浅田次郎が丹念に調べて書いた初めての時代物小説」
とも書かれている。

ネットで検索して判った。吉村貫一郎(本名は嘉村権太郎)は
いることはいるが、斬り合いの場面にはほとんど登場して
いない。むしろ交渉ごとに重用されていたようだ。鳥羽伏見で
戦死している。が妻子はいない。

すべては浅田次郎の創作だった。いや、その前に子母澤寛が
創作して、それを元に浅田次郎が小説にしたとのこと。
数多く書かれている新撰組を、「忠、義に殉じた“誠”」から
「家族愛」に視点を移したのが現代的テーマでうけた。

そうした視点で創作する作家の想像力のたくましさには脱帽。
私はどうしても歴史家としての実証にこだわってしまう。

新撰組自体虚構なのだ。でも、虚構の中に真実がある。それを
作家は創作する。史家はその虚構を暴くか。「事実を暴いて
何になる」。これもドラマの中で語られていた。


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大義のために死す

2009-07-24 09:56:56 | 心の問題
歩行マシーンで1時間足を動かしながら、NHKアーカイブス
で「三島由紀夫」を見た。

S20年、勤労学徒で終戦を迎えた三島氏。戦争という体験を
振り返り、あの時代はみな美しかった。大義のために死ぬ
という理由があった。『葉隠れ』で「武士道とは死ぬことと
見つけたり」と説いた著者(山田常朝)も、長生きして畳の上で
死んだ。今の世も「人のために、社会のために死ぬ」という
大義が見出せない。畳の上で自分のためだけに死ぬのは醜い。
と語る三島の顔は異様に不気味だった。

このNHK放映の4年後、1970年(S45)三島由紀夫は自衛隊の
市谷駐屯地で壮絶な割腹自決を遂げた。70年安保闘争に荒れ
た年。私は大学の授業中に、遅刻してきた者からひそひそ話が
流れ、その事件を知った。それまで「三島由紀夫」については、
名前しか知らなかった。

NHKアーカイブス、続いては「川端康成」だった。
対談で三島由紀夫がさかんに川端康成を褒め称えており、無口な
川端康成は「私は怠け者ですから」とはにかむ。その川端康成も
三島の自決から1年半後にガス自殺した。

川端康成は三島が師と仰いでいた人であったが、三島の「盾の会」
には批判的であったという。ノーベル文学賞を受賞し、文壇の重鎮
だった川端康成の自殺理由は明らかでない。三島由紀夫の自決に
動揺していたとも。三島が説いた「老いの恐怖」があったからとも。

三島由紀夫も川端康成にも、私はあえて反発し、無関心を装って
きたが、「死に際、死ぬ大義」、気になる歳となった。


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上意討ち-拝領妻始末

2009-07-23 10:00:32 | 会津藩のこと

「三船プロ」が『黒部の太陽』を制作した前年(1967)の作品が
『上意討ち-拝領妻始末』。黒澤明作品の看板スターだった
三船敏郎が、その対極にある小林正樹監督と手を結んで制作。
対手役は、これまた仲代達矢。
原作は滝口康彦の『拝領妻始末』

内容は、会津藩主三代目正容の侍妾お市が家臣の笹原
伊三郎(三船)の息子与五郎(加藤剛)に払い下げられる。
二人は夫婦となって仲睦まじく暮らし女児をもうけたが
お市が産んだ殿の子容貞が次の殿様候補となったため、
「世継ぎの生母が家臣の妻であるわけにはいかぬ」と、
お市を離縁するよう、伊三郎・与五郎父子に君命が下る。

それまで婿養子でおとなしくしていた伊三郎(三船)が、
「お家のためには離縁すべし」という妻に初めて逆らって、
君命を拒絶する。

実際にあった話で、史実では、お市は奥御殿に押し込め、
笹原父子はお家断絶、長原村に幽閉蟄居となる。やがて
正容が亡くなり、容貞が8歳で4代会津藩主となるが、
その翌年、お市は23歳で亡くなる。

これでは映画にならないから、映画では、お市と与五郎は
愛を貫いて自害、父の伊三郎は「こんな不条理があってなる
ものか」と、江戸に訴え出るため脱藩する。それを追う同僚の
仲代達矢と荒涼たるススキの原で死闘が展開され、最後は
鉄砲で討たれ三船は死んでいく。そのバックに、太鼓の音が
ドドーンと銃声のように響く。尺八は枯野をよぎる簫々たる
風の音だ。

モノクロで、最初から最後まで重苦しく暗く緊迫した映画で、
その年のキネマ旬報では高い評価を得たものの、一般には
受けなかったようだ。映山画音楽に横山勝也氏の尺八が
使われたことで驚喜して何度も見たのは私ぐらいか。
最近の映画では「武士の一分」「たそがれ清兵衛」と、藤原
道山の尺八が起用され注目されている。いいことだ。


追記: 先年、会津会で下北半島に斗南藩の跡を訪ねる旅があった時、
   同行された方が「笹原」さんだった。聞けば、笹原伊三郎の
   次男の末裔とのこと。



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黒澤明と小林正樹監督

2009-07-23 07:16:23 | プロとアマ
黒澤明監督の『影武者』で武田信玄役は、当初、勝新太郎で
撮影が進められていた。それが勝が黒澤と喧嘩して降板したため、
仲代達矢に廻ってきた。武田信玄なら勝新太郎だろう。仲代は
上杉謙信の方が似合う。違和感をもって見た。

私は、いまひとつ黒澤作品には納得していない。リアリティが
無いのだ。『影武者』の長篠の合戦シーンなど、まったくデタラメ。
映画なのだから、“様式美”が優先されて当然かもしれないが
歴史認識を破壊されると、私としてはシラけてしまう。

黒澤に対して、小林正樹監督の作品は、おそろしいほどのリアリティ
がある。仲代達矢主演の『人間の条件』は、父の体験と重ね合い
とても正視できなかった。『切腹』も仲代が主演。武士の社会の
欺瞞と不条理を鋭く突いた。浪人の悲哀と意地は、虚無僧の私にも
通じる。

1967年の作品『上意討ち-拝領妻始末』は、もう感動だった。
会津藩に起きた事件であるから、これには私の先祖も少し関係
していた。婿養子で普段は妻に何も言えない三船敏郎。まさに
「男は黙って」の三船である。男尊女卑の武家社会の代表のような
会津藩だが、実は女性の方が強いのは、わが家をみてもわかる。
着ている着物の粗末なことも、まさに会津藩だ。

唯一間違いは、閉門蟄居で笹原家の門に太い竹が組まれるが、
会津にこの時代“孟宗竹”は無い。ラストシーン、脱藩して
江戸に逃れようとする三船とそれを追う丹波哲郎の壮絶な格闘
シーン。これも事実ではないが、それはそれ、映画だからいい。
尺八と太鼓だけのBGM。『怪談』では尺八と琵琶。武満徹の
エクリプス(日蝕)だった。尺八吹きとしては、もう感動だった。

小林正樹監督の作品は、リアルでシリアスな緊迫感が持続する。
それは今の時代にはウケないのか。残念無念。


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仲代達矢

2009-07-22 21:22:52 | プロとアマ
ラジオで仲代達矢のインタビューを聞いた。

まだ俳優座の研修生だった頃、黒澤明監督の
「七人の侍」(1954年)で、「エキストラ役を一人」
というので、オーディションを受けに行った。

「背が高い奴がいい」と自分(仲代)が選ばれた。
そこで初めて鬘をつけ、着物を着て、刀も初めて差した。
そしてカメラテストとなった。ただ歩くだけだが、
黒澤監督は、「なんだ、その歩き方は、全然なってない。
俳優座は何を教えとるのか」とボロクソ。30回もやり直しを
させられたところで昼となり、撮影中止となった。
自分のシーンは3秒ほど、ヒョロ長い浪人が道を歩くだけ
だった。

「くやしくて、以後絶対黒澤の作品には出ない」と誓った。
その後「用心棒」で出演依頼がきた。しかし最初は断った。
監督が「なぜだ?」と聞いてきたので、「以前これこれで・・・・」と
言うと、黒澤監督が頭を下げて「頼む、出てくれ」と。
「やったー!黒澤監督に頭を下げさせた」という思いで
引き受けた。

だが、最初の頃は“剛”の三船敏郎に対して“柔”の斬られ役
ばかりだった。

それが『影武者』で、勝新太郎が黒沢監督と喧嘩して降板したため、
代役で出演し、これがカンヌ映画祭でグランプリを獲る。

「くやしさをバネにして頑張り、大成した」という仲代達矢氏。
意外ないい話だった。



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天国は良いとこ?

2009-07-22 13:27:52 | 虚無僧日記
いつもは名古屋駅周辺をうろついている虚無僧の私。
今日は50階建てタワーの上から下界を見下ろす。
道行くサラリーマンが蟻のように右往左往している。
下界は大変なことになっているらしい。衆院解散で
議員先生方は40日の選挙戦に突入。また西日本は
大雨で新幹線も止まり、被害も出ている模様。

そんな下界の喧騒をよそに、私はホテルの客。食事は
ラウンジで好きな時にすきなだけ食べれる。食材は
すべて厳選されたもの。実に美味い。飲み物は注文
すれば何でも持ってきてくれる。

アスレチックルームで適度に運動し、プールで泳ぎ、
サウナに入って汗を流し風呂にはいる。疲れたら、
リラクゼーションルームでCDを聞きながら一休み。

平日とあって利用者はほとんどおらず、美人のインスト
ラクターが笑顔でお相手をしてくれる。

ここは天国じゃ。天国がこんなにすばらしものならば、
明日にでも行ってみたい。だが待てよ、天国は、肉体を
維持するために食べることも、運動をすることも、
収入を得るための仕事もない。目標も進歩もない。
そんなのってたいくつ。地獄だ。

生きるために働き、食べ、適度の運動をする。ゴールが
あるからこそ、人生は面白い。帰ったら、また忙しく働く
意欲が湧いてきた。


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会員制クラブ

2009-07-22 09:36:42 | 社会問題
一流ホテルの会員制フットネス・クラブ。
入会金260万。会員は利用時に1,700円。
ホテル宿泊者は+5,600円で利用できる。
Iさんに招待いただいて、1泊2日滞在し、
ストレッチやアクアビクスなるものを体験した。

コンベヤーの上を歩くマシーン。わざわざ高い
金払って機械の上を歩くより、外を歩けばいい
じゃないかと思っていた私だが、体験してみて
道を歩くのとは違う楽しさを味わった。
筋力アップのトレーニング機器、私は最低重量で
しか動かせない。筋力の衰えを感じる。

どういう人が利用するのだろうと、周りをキョロ
キョロ。一流企業の社長さんか、定年過ぎた
リッチなシルバーかと思いきや、平日にも
かかわらず、意外に若い人が多い。IT産業や
ベンチャー企業の成功組か。

男性利用者は、お互い目を合わせない。言葉も
交わさない。自分だけの世界に没している。

セレブの奥様方はまた違うようだ。化粧室が
社交場になっていて、ここで毎日お仲間と
おしゃべりを楽しんでいるとか。

違う世界を垣間見た。いや虚無僧だから、こんな
世界ものぞけるのか。幸せ者である。



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今夏は大分へ

2009-07-18 03:18:30 | 今後の予定
毎年、お盆休みには虚無僧の旅に出る。去年は四国へ行き、
徳島で『竹ちゃん』、松山で『宴乃桜』さんにお世話になり
楽しい旅だった。

今年は大分県に決めた。

母方の曽祖父の兄が、西南戦争に従軍して戦死し、大分市の
護国神社の警察隊墓地に眠っていることが、最近判明した。
今まで誰も墓参りに行ったことがないので、一度は行かな
ければと願っていた。ネットで見ると、「訪れる人も無く
淋しい墓地」だそうだ。今夏のお盆には、ぜひ供養の一曲を
たむけたい。

また、数年前、大学の後輩から「豊後高田で“昭和の町”を
テーマに街おこしをやっている。虚無僧が似合う街だから
ぜひ行ってみては」と勧められ、実行委員長の土谷さんを
紹介いただいていた。一度行ってみたいと思いつつ、なかなか
実現しないでいた。

そこへ、国東(くにさき)市のI様から、「ブログを見て」と
連絡をいただいたので、急に押しかけることになった。
すると、「8/12(水)の夜の夏祭りのイベントに出演」を交渉
していただいたり、いろいろ手配をしてくださった。
これもご縁と感謝。

往復の旅費だけでも数万円かかるので、今回は、行き当たり
ばったりでなく、道の駅や、お寺、杵築城などでライブを
しながら、廻ろうと思う。これからあちこち交渉してみる。
大分の方、ぜひご紹介ください。


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一休と虚無僧」で別にブログを開いています。

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盲目でも

2009-07-15 07:52:51 | 虚無僧日記

「盲目のピアニスト(と呼ばないで)」の辻井伸行君を
テレビで見た。アメリカでのコンクールで賞をとった後、
ひっはり凧。日本人は乗りやすい。暖かく歓迎してくれる。

しかしドイツでの公演は違った。「所詮アメリカでの入賞。
伝統と格式のあるヨーロッパでの賞ではない。東洋人が
弾くピアノである。ヨーロッパ人とは血が違う」。
その公演はチケットも最低料金。ホールも狭く、響きが悪い。
観客も「友達が行けなくなったというので、チケットもらって
代わりに来たわ」とか「つまらなかったら途中で帰るつもりよ」
と、聞く前からバカにしてかかっている。

辻井君も「今日は会場の空気が違う」と、目は見えなくても
感じるのだ。ピアノの前に座っても、しばらく弾かない。
落ち着き無く手を動かし、ハンケチを出して鍵盤を拭いたり。

「いったいどうした?」いぶかる観客。やがて弾き始めた。
その一音に、観客の表情が変わった。

演奏後の彼のことば「今日は空気が違ったので、失敗しては
いけないと、より気をひきしめた」と。わかるわかる。