グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

シマホタルブクロ

2010年07月08日 | 植物
今、島のあちらこちらで、シマホタルブクロの白い花が目につきます。

シマホタルブクロはキキョウ科ホタルブクロの島嶼型で、本土のものより花が小さく、
全体に毛が無く、花数が多い、などの特徴があるそうです。
本土は4cm 八丈島は3cm、大島はその中間サイズ…と書いてある図鑑もあります。

「中間サイズって…3.5cm?見た感じ、もっと大きいような…?」

気になったので実際に測ってみました。

4cm!やはり大きい!

他の場所でも測ってみたら、小さいものもあって、大体3~4cmの間でした。
平均すると中間サイズって事になるのでしょうか?

毛が無くて花数が多いという特徴は納得できました。

茎や葉もツルツルだし…。


花も沢山ついて見事です!


でもなぜこんなふうに変化したのでしょう?
花が多いということは、それだけ種を作れる確率が低いとか…??

ところでこの花に関しては、花粉を媒介する昆虫の種類によって花の大きさが変化するという
昆虫と花の形質の変化を結びつけた有名な研究があります。

その研究によると
「本土ではマルハナバチの仲間がこの花の受粉を助けているけれども、
利島より南の島にはマルハナバチの仲間が存在しない。
利島以南では、もっと小型のハチたちが花粉の運び手となり、それに伴って花も小型化する。」そうです。

「大島にはマルハナバチの仲間は、コマルハナバチしかいないのだっけ…。」
そんな事を思いながら花の写真を撮っていたら、
小さな黒いハチが中に入って行きました。

そっと覗いてみたら、ハチは一心不乱に花粉を集めていました。
体つきからしてヒメハナバチの仲間でしょうか?
コマルハナバチの4分の1ぐらいの大きさです。

花粉が一杯ついた花柱に体を折り曲げてシッカリしがみつき、何周も回りながらどんどん集めていきます。

たまに足を滑らせたりしますが…。


すぐに体勢を立て直し、花粉集め続行。

体中に花粉をつけています。

ところで、上の三枚の写真、ハチは白い棒のようなものにつかまっていますよね?

実はこれ、開きたての花の中なのです。

シマホタルブクロの花は蕾のうちに花粉の入った袋が破れ、花が開く頃には雌しべの柱部分に一杯花粉をつけています。
ハチがつかまっている白い棒はこれなのです。

そして開花後2~3日経つと、下の写真のように先端が3つに割れ、花粉をキャッチする仕組みが整うようです。


このハチ君が体中に花粉をつけて帰ったとしても、花粉キャッチの準備ができている花に入らない限り、
シマホタルブクロの役には立たない事になります。

あの小さな黒いハチ君、花粉集めに集中していたけれど、ちゃんと別の花に蜜を吸いに入るのでしょうか?
でないと、ただの花粉泥棒になっちゃいますけど?

う~、いったい誰と誰(虫)の協力で、大島のシマホタルブクロは元気に生き続けていられるのでしょうか?

一つの植物だけでも、本当にわからないことだらけです。
また時間を作って、シマホタルブクロの前で張ってみなければ…。

(カナ)


コメント (2)
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