グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

カタツムリの季節

2010年07月15日 | 哺乳類、爬虫類、他

梅雨です。
「で~んでんむ~しむし、カタツムリ~~♪」 童謡にもなっている生き物「カタツムリ」を良く見かける季節です。
雨の日に表に出れば、紫陽花の葉の上に這っている姿を目にします。

ここで、質問です。「カタツムリ」って何の仲間でしょう??
保育園児に質問したら「虫!!」って即答していました(笑)
確かに、でんでん「ムシ」と名前に「ムシ」が付いていますが、勿論虫ではありません。
カタツムリは立派な貝の仲間です。
貝というとやっぱり、サザエやアワビ・ハマグリ等海の物を想像するでしょう
しかし、貝という軟体動物は非常に幅が広く、多くの種類が陸上に適応して生活しています。

歌の中に「お前の目玉は何処にある~♪」とありますが、触角の先端にあります。
海の貝は触角の根元にある種が多いです。
その他の違いをあげると蓋を持っていません。

グループを専門的に言うと「有肺類」になります。
その中でも、球型や饅頭型の大き目の貝を持っている物の総称を「カタツムリ」と呼んでいます。

雨の日に良く目にするのには、理由があります。
カタツムリの多くは、乾燥に弱いのです。
なので、乾燥している冬等は足から分泌された粘液が乾いて蓋の役割をします。

葉っぱの上にいるというイメージが強いカタツムリですが
海岸や畑地・人家の庭等の開けた場所でも多く見られます。
中には山の奥や木の上等を好んで生息している種類も居ます。
表に出ていない時には、朽木や石の下等に居る事が多いです。

都会では、コンクリートに壁に付いている姿を良く目にします。
良く「カタツムリはコンクリートを食べている」と話を耳にしますが
これは、あながち間違えじゃありません。
正確には、コンクリートに含まれる石灰岩をこそげ取って食べているのです。

日本は世界でも有数の石灰岩地が豊富な土地です。
この石灰岩が貝殻を作るのに必要なカタツムリは、その石灰岩が多くある場所に分布が集中しています。
その為、その場所・その環境でしか見られないというカタツムリが居るのです。
例えば、絶滅危惧種のモリサキオオベソマイマイ等は、徳島県阿南市の石灰岩地の固有種でここでしか見られない特有の種です。

この時期、葉っぱを捲ると時々、2匹で仲良くしているカタツムリを目にします。
繁殖の為に交尾を行っているペアです。
カタツムリは実は、雄も雌も無い雌雄同体です。勿論、1匹での自家受精も可能ですが、卵の数が減ったりと問題も起きるので大抵交尾を行い産卵をします。
カタツムリは土の中に卵を産み付けます。2~3週間すると孵化するのですが、なんとカタツムリその物が出てきます。
産まれた時から小さな貝をちゃんと付けているのです。
成長は実は遅く2年位かけて成体になる種類もいるのです。
小さいカタツムリは実に可愛いですよ~

飼ってる方には、餌にキャベツをあげたりしている方もいますが
自然界では、生の植物や枯葉などを食べています。コンクリート等に付いた藻類も餌になります。
中には、園芸植物や野菜を食べてしまう種類もいて、駆除の対象になっています。
確かに折角育てたトマトを齧られたら、かなりムッとしますよね~
まっ それだけ皆さんの家の野菜が美味しいという事で大目に見て下さい(笑)

そんなカタツムリですが、天敵は非常に多く居ます。
有名なのがマイマイカブリです、その名から分るようにカタツムリが大好物です。
右巻きが多いカタツムリを食べる為に、頭が右の曲がっていると言うから驚きです。
他にも、コウガイビルの仲間やカエル・トカゲ・イタチ・ネズミなど等、天敵だらけです。
その割に、貝殻はちょっと強く掴むとパキッと割れてしまう程弱く、蓋もありません。。。
なんて無防備なんでしょう!!

ここ伊豆大島で、カタツムリと呼ばれるのは以下の2科です。
オナジマイマイ科・ナンバンマイマイ科 です。
過去に調査された記録によると
オナジマイマイ科
ツバキカドマイマイ エンスイマイマイ オナジマイマイ
ウスカワマイマイ シモダマイマイ ヒダリマキマイマイ

ナンバンマイマイ科
ニッポンマイマイ

の7種類が生息している事になっています。
この中でも、ツバキカドマイマイは椿の樹上に生息するという、正に大島を代表するかのようなマイマイです。
しかし、準絶滅危惧種に指定されています。是非、見てみたいですね~

上述の和名を見てもらって分る通り、全て「~~マイマイ」となっています。
そうなんです。カタツムリとかデンデンムシって呼ばれる生き物は実は分類学的にはいないのです。
なので、前にも書いた通り、あくまでも「総称」となるのです。
子供から大人まで、誰もが知っているカタツムリ。
都会でも身近に見られるこの陸貝にも、実は細かい種類や生態があります。
身近に生息しているからこそ、知ってる様で実は何も知らない生き物と言えるでしょう。
実は、絶滅危惧種や天然記念物を多く含む貴重な生き物なのです。

自然のカタツムリが、いつまでも普通に見られる環境をいつまで大事にしていきたいですね。

上写真のカタツムリは、詳しい方に聞いたら「ミスジマイマイ 離島型」という種類だそうです。
ここで「???」 上のリストにはミスジマイマイの名前はありません・・・
どうやらまだまだ記録されて居ないカタツムリが生息している様です。
今後、どれだけ発見出来るか楽しみですね。


 

コメント (2)
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