グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

シュロの葉かげ

2010年07月30日 | 植物
 きのう、今日と雨が降ってくれたので、暑さが一段落した感じです。

 今日の午後は、雨止みの時間も多くなって、またギラギラの真夏の太陽が顔を覗かせました。

 夏には、特に木陰がうれしくなりますね。木陰の中でも、なぜか、シュロやカラスザンショウの葉の影の形が気に入っています。窓辺のブラインドの影に似ているところが、涼しげに感じませんか?

 シュロ(棕櫚)は、ヤシ科で、本来は九州の南部が自生地であったそうです。
南国情緒を楽しむために早くから移入されたようです。ヤシの仲間だけあって、幹だけで枝がなく、幹の頂きから葉柄を伸ばし、その基部から・・・

 ゴールデンウイークの頃に、こんなタケノコのようなものが伸びてきます。


 するとすぐに、包んでいた皮を押し開いて集合花が伸びます。

 比較的に寒さに強いためか、林床などに実生のものを見かけます。都心の植物園などでも少しずつ増えているそうです。木としての成長が、遅く感じるのは寒い地域に連れてこられたせいでしょうか?
 
 人の背丈よりずっと樹高が高くならないと花は咲きませんね。



 なので、↑写真は脚立の上で撮りました(汗)5月上旬に開き始めます。

 それから、2ヶ月半ほど・・・



 これ↑は、この日曜日7月25日に、やはり脚立で撮った果実の画像です。

 秋、10月から11月に、この核果が藍黒色に熟すと鳥たちが食べにきます。



 こんな具合に葉柄が長く葉が大きいのがシュロの特徴。ごく近い仲間で、中国南部原産のトウシュロ(唐棕櫚)と分ける意味で、ワジュロ(和棕櫚)の別名も。

 大島では、都道の一部(北の山辺りとか)に街路樹として植えられているビロウも近い仲間で、姿かたちがよく似ています。こちらは、四国南部から九州・沖縄・台湾まで分布していて、その葉は与那国島名産の泡盛「どなん」のビンの包装に使われていたり、団扇(うちわ)や編み笠などの
細工物になっています。

 ビロウの画像を間違って消去してしまったらしく・・・見つからない(汗)

ので、↑春のシュロの写真だけで、すみません。


 それで、シュロの方は、どんな風に利用されているか?



 身近にあった市販品では、小さなハケ(ちり払い)と、土間ぼうき。普通の土間ぼうきは、赤シダなどのものが多いようですが。

 同じく、幹の表面の繊維でできた、シュロ縄(なわ)です。腐りにくく耐久性が高いので垣根の竹を結んだり、植木と支柱を縛ったり。よく使われます。これは、黒く着色したもの。


 それから、これも画像がありませんが、お寺などの梵鐘(ぼんしょう:つりがね)をつく「撞木(しゅもく)」は、このシュロの幹を使ったものが多いですね。

 以前、シュロの幹を切ったことがありますが、かたくて切りにくくて、おまけに重かったのを覚えています。繊維がしっかり詰まっているのが、梵鐘の音にプラス効果があるのでしょうか。

 シュロの幹の下から上まで繊維がビッチリ付いているものと、下から繊維を落としていくタイプとあるようなのですが、個体差でしょうか?
 トウシュロ(唐棕櫚)は、下から繊維を落とすようです。中間種があるとか?

 北方の種が繊維を着込んでいるということは、防寒の役目?


 お次は、自家製ハンドメイド品です(笑)



 シュロの葉で作った「ハエたたき」ですが、祖父や父は、もっと上手に作ってました(苦笑)
ウチで、たたかれるのは、ハエよりも、もっぱらゴキブリですね。

 繊維を小さく束ねてヒモを付けたものは、春先に使います。金魚に卵を産み付けさせるのに最適なグッズです(笑) 卵が付いていたら、親たちに食べられない内に、別の水槽にこのまま移して、孵化するまで、そのまま置きます。

 
 シュロの繊維の最も大切な使われ方は、こちらかも・・・


  



 取ってきたわけじゃありませんよー!

 制作途中で大風が吹いて、道に落ちてしまったメジロの巣です。シュロの繊維が内側の一番ソフトな部分に使用されています。


 もう、いいかげんにシュロ!って?


 (なるせ)

コメント
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