グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

大島動物公園をジオ目線で歩いてみたら・・・。

2012年05月29日 | 火山・ジオパーク
子どもたちに人気の大島動物公園。
あることがきっかけで、ここを職員の方に案内していただきながら、ジオ目線で歩いてみました。

まずは、もともとあった地形を利用して作られたというサル山へ。

ずいぶん立派なサル山ですが、溶岩の流れってこんな山をつくるのでしょうか?
周囲は特に、削られたようなあとはありませんが?

今はワオキツネザルたちの住まいとなっている、この溶岩の山。

最初から山があったところに溶岩が流れたのなら、山の下を左右に分かれて流れ去ってしまいそうですが?
それともまさかここで過去にミニ噴火があって、溶岩があふれたから山になったとか??

最初のサル山で、私の頭は疑問だらけに(^_^;)
自力では解決できなくて、川辺さん(大島の火山地質図を作成された専門家)に質問してみました。

いただいた回答は…
「たぶん玄武岩の溶岩流にできやすい、プレッシャーリッジではないでしょうか。広い意味では、溶岩皺と同じようにしてできると考えていいかと思います。」

「ぷれっしゃーりっじ?」初めて聞く言葉でした(^_^;)
ムギュ~っと押されてできる、尾根みたいなものかなぁ…。

川辺さんの説明によると、大島のように粘りの少ない溶岩は“チョッピリ固まりつつあるけれど、まだ柔らかい状態”の時に、押されて変形することがよくあるそうです。

粘り気のない溶岩が大量に流れると、何枚も重なって堤防のようになったり、大きなシワになったり、尾根みたいになったり、大きな泡が弾けたりして複雑な表面地形をつくっていくのだそうです。

まるで変幻自在の生き物が、大地をのみ込んでいくみたいでスゴイです…。

今から235年前ここに立っていたら、そんな光景が目の前で見られたのですね。
(動物園には235年前、三原山噴火の溶岩流が流れています)

敷地の中には火山灰(たぶん)が降り積もって、斜面を作っている場所もあります。(現在近づけない)

なんでここだけ、灰が集まっているのでしょう??
地形の関係で、風が巻いて吹きだまるのでしょうか??

穴の中の温度差が対流をおこし、風をつくると言われる“風穴(ふうけつ)”もありました。
穴の中の溶岩は、海の方にむかって流れて行ってしまったんですね。

穴の入口ではちょっと涼しいそよ風が、中から吹いてきましたよ~。
夏とか快適かもしれません(^O^)

ところで動物園周辺には、大きなスダジイの木がたくさん生えています。

でもカルデラ内の同じ年代の森には、スダジイはまだ全く生えていません。
スダジイは噴火後かなり時間がたって、土ができてからではないと生きることができないのかと思っていました。

でもここには200年ぐらい生きていそうな太い木がいっぱいあります。
溶岩流はスダジイを避けて、網の目のように流れたのでしょうか??

ううっ、一度疑問になり出すと、わからない事だらけです(^_^;)
ちょっと歩いただけで、疑問だらけになった動物園の“ジオ目線歩き”

もっと歩けば、もっともっとたくさんの「?」が見つかるのではないでしょうか?
動物園の中をジオパーククイズを解きながら巡る…いいんじゃないでしょうか~!(^^)!

正解はわからなくても想像してみるだけで、動物園が倍楽しめそうです(^^)v

(カナ)
コメント (2)
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