浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

苦難の日々

2013-10-02 23:49:31 | 日記
 某公民館で、全10回の歴史講座の講師をつとめているが、これがなかなかやっかいだ。テーマは、私が住む浜松市東区の歴史である。

 通常一定の区画された自治体の歴史を調査し、まとめ上げるには少なくとも5年くらいはかかる。しかし、今回のテーマに関する調査期間は、ほぼ1ヶ月くらい。

 今日で5回目が終了した。最初は自治体の合併の歴史の功罪、いや合併によるマイナス面をきちんと説明した。その後は、東区全体をずっと昔から流れていた天竜川をとりあげ、次に東区の交通(水運、鉄道、軽便鉄道)の歴史を話し、そして東区の遺跡について2回にわたって話した。

 私は近現代史を主に研究しているので、古代史についてはあまり詳しくはないし、さらにこの地域の古代史なんてまったく研究したことはない。しかし、話さなければならない。おそらく聴講者は古代史に詳しいわけではないので、とにかくスライドをつくり説明した(最初からスライドを使用しているが)。

 浜松市は、遺跡が多い。というのは開発行為が各所で行われているからだ。遺跡の発掘調査というのは、破壊するための調査といってよい。破壊する前に調べて記録化しておこうというものだ。調査後は、マンションが建ったり、公共施設が作られたりする。結果的に、遺跡は永遠に姿を消していく。

 さて遺跡の報告書は、それぞれ個別の遺跡についての報告であるから、それぞれの遺跡のタテの流れしか記述されない。もちろん、近くに遺跡があり関連する場合は言及されるが、多くはそうではない。となると、ボクがすることは、それぞれの遺跡の報告書を読みながら横断的に関連づけていくことだ。それぞれの個別の報告書の内容をタテとするなら、それを「時代」というカテゴリーでヨコに見ていきながら、まとめていく作業が求められたのである。

 ボクは、中央図書館に行き、遺跡の報告書を読み込み、報告書に掲載されている写真を撮影(本当にデジカメはありがたい。昔は接写レンズを使わなければならなかった)していく作業をした。そして帰宅してからは、パワーポイントでスライドを制作するという過酷な作業を続けていた。さらに一太郎でレジュメも作成した。

 今日やっと遺跡は終わった。前回と今回は、終わったとき拍手があったから、聴講者は満足されたのであろう。投入する時間は莫大であるから、拍手くらいあってもいいかなと思った。

 次は、民芸運動である。それに関する本が、ボクのデスクの周りに積まれている。これを読みこなしていかなければならない。

 しかし明日は朝から静岡に行く予定がある。準備が遅れると、ボクの睡眠時間がなくなる。牛肉を食べながら頑張ろうと思う。町田の住人は炭水化物だけで生きているようだが、それではダメだ。脳の活性化には牛肉
が良い、という説がある。今ボクは、それを信じている。
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さすが、藤原新也氏は鋭い!

2013-10-02 19:44:35 | 日記
 写真家の藤原新也さんの、鋭い指摘。メディア関係者もじっくりと読んで欲しい。


http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php?mode=cal_view&no=20131002
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2013-10-02 08:48:40 | 読書
 大杉栄・伊藤野枝の墓が静岡市にあること、そしてそこで虐殺された日の9月16日に墓前祭などを行ってきたこと、これらのことは何度か記してきた。

 静岡市でその世話をされてきた方がなくなり、今度はボクがその世話をすることになった。

 ボクは、だから今、大杉や野枝の足跡をたどる旅に出発している。今までも大杉の代表作、『自叙伝』や『日本脱出記』、伊藤野枝の文などは読んできたが、まだまだ足りぬ。ボクは、彼らのことを記した本を一冊一冊と読み込んで、彼らの思想や生き方をみずからの脳裏に焼き付け、できることならそれを現代という時代に再生させたいと思う。

 もちろんその旅は、遅々としたものである。ゆっくりと、牛が反芻するように、少しずつかみしめていきたい。

 さて、今日は『海の歌う日 大杉栄・伊藤野枝へールイズより』(講談社、1985年)を読み終えた。1922年生まれの著者は、大杉・野枝の子である。しかし翌年には、父母を奪われ、まったく祖父母に育てられ、父母のことについての記憶はない。

 だが正真正銘の大杉・野枝の子である。であるがゆえに、父母を知らなくても、その父母の子であることが彼女の人生に大きな刻印を与えてきた。戦前においては、白い目で見られた、

 彼女はいつも、大杉・野枝の子であることはどういうことなのかを、直視せざるを得なかった。その心の動きが、本書に記されている。

 父母どういう人間であったのか、父母のまわりにはどういう人たちがいたのか、私とはいったい何者なのか。そうした問いを自らに投げかけ、そして自分の人生の役割を見定めていった。そうした心や行動の軌跡が、素晴らしい文によって綴られている。

 これを記した著者は、もうこの世にはいない。天国で大杉や野枝、そしてそのまわりにいた人びとと楽しい語らいの時を過ごしているのだろうか。

 現世にいるボクは、それを想像しつつ、大杉や野枝の精神に少しずつ生気をあてていきたいと思う。今度は、松下竜一の本を読むつもりだ。

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あらら・・・『毎日新聞』は、もっとひどい!

2013-10-02 08:15:37 | メディア
 『毎日』は、積極的増税派のようだ。『毎日』の社説子には、今回の消費税増税にまつわる問題点、『中日』や『朝日』が指摘した問題点はまったく見えないようだ。安倍政権は、消費税増税を社会保障にまわす気はないことが、一連の動きでわかるではないか。法人税の減税、公共事業の大判振る舞い・・消費税増税分を「世界でもっとも企業が活動しやすい国にする」ための原資としようとしているのだ。

 そういうことを見ないで、あろうことか10%増税も視野に入れている。

 『毎日』さん、10%になる頃に、貴社の経営はどうなっているのでしょう。新聞にも消費税がかかるとすると購読しない人が増えるはず。そうなると、まず政府・支配層と手を結ぶ新聞から存在価値がなくなっていくのでは。


社説:消費税8%へ 増税の原点を忘れるな
毎日新聞 2013年10月02日 02時30分

 安倍晋三首相が消費税率を来年4月から8%に引き上げることを表明した。

 私たちは、増大する社会保障費と危機的な財政をふまえ、消費増税は避けて通れない道だと主張してきた。現在の経済状況を考慮しても、先送りする事情は見当たらない。昨年の自民、公明、民主各党による「税と社会保障の一体改革に関する合意」と、その後の関連法成立に沿った首相の判断は妥当と言える。

 増税によって、社会保障の持続可能性は高まり、財政を健全化していく第一歩となる。その結果、国民、とりわけ若い世代が抱く将来への不安がやわらぎ、不透明感が解消されていくことも期待される。

 ◇軽減税率の導入急げ
 しかし、これだけでは不十分である。政治が、民間が取り組まなくてはいけない課題は多い。すぐにでも、取りかかる必要がある。

 安倍政権はこの2、3カ月、経済状況をみて引き上げを実施するかどうかを判断するという「景気条項」に基づいて、対応が揺れた。結局、景気への悪影響を抑えるとして、公共事業をふんだんに盛り込んだ5兆円規模の「経済対策」と、復興特別法人税の「前倒し廃止の検討」を決めた。

 景気を考えた何らかの対策は必要かもしれない。だが、それを口実に政権や党の支持基盤強化につなげようと公共事業のばらまきなどに走るのは、国民の痛みにつけこむもので、何のための増税かわからない。

 そんなことに精力を傾け、理屈付けに躍起になる前にやるべきことがある。

 まず、増税と表裏の関係にある安心できる年金、医療、介護などの具体化だ。社会保障制度改革国民会議がまとめた改革策は、年齢を軸にした現行制度を見直し、所得に応じた負担と給付への転換を打ち出した。「抜本的な制度見直しは棚上げ」との批判もあるが、子育て支援策の充実などは評価でき、政治的困難さを克服して着実に実行に移してほしい。不備や課題は、そうした中で柔軟に対処していけばいい。

 増税による財政のゆとりは、こうした社会保障策の充実にのみ使うのは言うまでもない。それが税率引き上げの原点である。

 しかし、8%では借金の穴埋めにも不十分であり、2015年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げる判断を迫られるだろう。持続的な社会保障制度の構築に責任を持ち、原点を守るうえで、それは当然の政治的決断と言える。

 第二に、弱者への配慮は、さらに手厚くすべきだ。逆進性の強い消費税の増税は、経済的に苦しい人に強いしわ寄せが及ぶ。所得が低い層への効果的な対策に知恵を絞らなくてはならない。

 そのためにも食品など生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を急がなくてはいけない。すぐに制度設計に取り組むべきだ。
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『朝日新聞』の社説は、『朝日新聞』らしい

2013-10-02 07:56:01 | メディア
 『朝日新聞』らしい社説である。支配層の一員としての自覚をもった大新聞としての主張というべきだろう。社説子は、最初に「それでも、消費増税はやむをえないと考える」と断じる。『朝日』にとっての、これが言いたいことのすべてなのだ。

 その後に、今回の消費税増税に関わる問題点を縷々指摘する。問題点がこんなにもあるのに、『朝日』は「それでも、消費増税はやむをえないと考える」と言うのだ。問題点を挙げてからだと、「それでも、消費増税はやむをえないと考える」とは言えなくなるので、逆にしている。『朝日』の言いたいことは、要するに、こんな問題点があっても、消費税増税に賛成する、なのだ。

 『中日』の主張の方が、よほど筋が通っている。問題点がこんなにもあるから、今回の増税には反対だとするのが筋なのではないか。

 仕方がない。『朝日』は、支配層の翼賛機関としての地位にあることに満足しているから、若干の文句を言いつつ(でないと、一応言論機関としての存在意義がなくなるからね)、基本的な政策には断固として支持を表明する。その意味では、『読売』や『サンケイ』、『日経』と本質的には同じ。『朝日』は、リベラルな姿勢すらなくそうとしている。


17年ぶり消費増税―目的を見失ってはならぬ

 安倍首相が、消費税の増税を決めた。5%の税率は来年4月から8%に上がる。

 97年4月に3%から5%になって以来、17年ぶりの消費増税だ。これまでは所得税などの減税とセットだったが、今回はない。金額にして8兆円余り。わが国の税制改革史上、例のない大型増税である。家計への負担は大きい。

■一体改革の原点

 それでも、消費増税はやむをえないと考える。

 借金漬けの財政を少しでも改善し、社会保障を持続可能なものにすることは、待ったなしの課題だからだ。

 「社会保障と税の一体改革」という原点に立ち返ろう。

 国債を中心とする国の借金の総額は国内総生産(GDP)の約2倍、1千兆円を突破した。今年度の一般会計では、新たな国債発行が40兆円を超え、予算の半分近くに及ぶ。

 最大の原因は、高齢化に伴う社会保障費の伸びだ。医療や年金、介護の財源は、保険料や窓口負担だけでは足りない。国や自治体が多額の予算を投じており、国の社会保障費は年に1兆円ほど膨らみ続ける。

 将来の世代に借金のツケを回しながら、今の世代の社会保障をやりくりする――。こんなことをいつまでも続けられるはずがない。社会保障を安定させ、財政の危機を未然に防ぐには、今を生きる私たちがもっと負担するしかない。

 では数多い税金のうち、なぜ消費税なのか。

 社会保障による給付は高齢者向けが中心だ。お年寄りの割合は上がり続けており、所得税など働く世代の負担だけに頼るわけにはいかない。

 しかも、現役組は賃金が増えないなか、子育てや教育、住宅など多くの負担を抱える。支援を強化しないと、人口減少に拍車がかかりかねない。

 こうした点を考えれば、国民が幅広く負担し、税収も安定している消費税が、社会保障の財源に最もふさわしい。

 あわせて豊かな人たちを対象に、所得税や相続税を強化する必要がある。格差を縮めるためにも不可欠だ。ただ、これだけで消費増税に匹敵する財源を確保するのは難しい。

■法人税減税への疑問

 政府の責任は、規制改革などで経済を成長させつつ、税金をしっかり集め、むだ遣いせず効果的に配分することだ。この三つの課題に向き合わなければ、増税への理解は得られない。

 ところが、安倍政権は増税で予想される景気悪化への対策を理由に、これに反するような政策を打ち出した。

 5兆円の経済対策である。

 所得の少ない人の負担が重い消費増税では、低所得者への支援策が必要だ。補正予算にその費用を盛り込むのはわかる。

 しかし、対策の柱がなぜ、法人税の減税なのか。

 政権は、与党内の根強い反対を押し切り、法人税の減税方針を打ち出した。東日本大震災の復興費にあてる上乗せ増税を予定より1年早く今年度で打ち切ることや、その先の税率引き下げの検討を急ぐという。

 企業は経済成長の担い手であり、雇用の場でもある。国際的に法人減税の競争が続いているのも事実だ。

 ただ、日銀の統計では、企業(金融を除く)は現金・預金だけで220兆円も抱え込んでいる。多くの企業は、収益が上向いても使おうとしない。

 まず、こうした現状を改める必要がある。安倍首相は税率引き下げをテコに賃上げを迫る構えだが、財政への影響が大きい一律減税の前に、賃金や雇用、投資を増やした企業の税負担を軽くする手立てに集中すべきではないか。

■政権に自覚はあるか

 経済対策は支出面でも疑問がある。代表例が公共事業だ。

 老朽化した社会インフラの更新は急ぐべきだが、公共事業が足もとの景気を支える効果に飛びつき、「金額ありき」で上積みする姿勢がありありだ。バブル崩壊後、毎年のように補正予算を組んで財政を悪化させてきた愚を繰り返すのか。

 消費税の制度そのものにも課題が残る。

 国民が払った税金がきちんと税務署に納められることは税制の大原則である。業者の手元に一部が残る「益税」対策を徹底することが欠かせない。

 業者間の取引に、税額を明示したインボイス(明細書)を導入すべきだ。商品やサービス自体の価格と消費税分の区分けがはっきりすれば、取引時の転嫁がしやすくなり、立場の弱い中小事業者が泣き寝入りすることも減らせる。

 税金は安いにこしたことはない。それでも納税するのは、政府が暮らしに必要な政策に取り組むと信じるからだ。

 消費増税の目的をはき違えていないか。安倍政権は、国民の厳しい視線が注がれていることを自覚すべきだ。
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消費税反対の社説(『中日(東京)新聞』)

2013-10-02 07:44:29 | 日記
 昨日の社説と打って変わって、今日の社説はクリアでストレートだ。今回の消費税増税の持つ問題点をきちんと指摘している。社説は、こうでなくてなならない。

消費税引き上げを決定 増税の大義が見えない
2013年10月2日

 安倍晋三首相が来年四月から消費税の8%への引き上げを決めた。終始、国民不在のまま進んだ大増税は、本来の目的も変質し、暮らしにのしかかる。

 一体、何のための大増税か-。疑問がわく決着である。重い負担を強いるのに、血税は社会保障や財政再建といった本来の目的に充てられる保証はない。公共事業などのばらまきを可能とする付則が消費増税法に加えられたためだ。肝心の社会保障改革は不安が先に立つ内容となり、増税のための巨額の経済対策に至っては財政再建に矛盾する。増税の意義がまったく見えないのである。

正統性ない決定過程
 わたしたちは、現時点での消費税増税には反対を唱えてきた。何よりも、この増税の決定プロセスには正統性がないと考えたからである。始まりは、民主党の「マニフェスト(政権公約)違反」であった。

 消費税増税をしないといって政権に就いたにもかかわらず、突如として増税に舵(かじ)を切った。一千兆円もの財政赤字の現状から、国民にいずれ消費税引き上げはやむを得ないとの覚悟があったとしても、手続き違反だし、国民への背信行為である。

 民主党は「天下りや渡りを繰り返すシロアリ官僚の退治なしの増税はおかしい」とも訴えながら、結局、行革も自ら身を切る改革も反故(ほご)にしてきた。政治には信頼が必要なのである。

 その民主と組んで昨年八月に消費増税法を成立させた自民、公明も年末の総選挙や七月の参院選で増税を堂々と争点に掲げることはなかった。消費税増税が政治的に国民の理解を得たとはいえない。

 それもそのはずである。自公は消費増税法案の付則に「成長戦略や事前防災、減災などの分野に資金を重点的に配分する」と追加し、消費税の使い道を公共事業など何でもありに変更した。

変質した増税の理念
 国土強靱(きょうじん)化や減災構想のためとみられている。社会保障目的ならまだしも、「何でもあり」を表だって問えるはずがない。

 消費増税法の原点は「社会保障と税の一体改革」であり、毎年一兆円ずつ増え続ける社会保障費の財源確保が目的だったはずだ。国民の多くは今でもそう望んでいるだろう。しかし一体改革であるはずなのに、増税だけが先行して決まった。そのうえ年金制度など社会保障の抜本改革は見送られた。

 本来なら「社会保障改革のために財源がこれだけ必要となり、そのために消費税を何%引き上げる必要がある」と国民に理解を求めるのが筋である。財政再建を理由に、先に増税ありきの財務省が描くシナリオに乗るから齟齬(そご)を来すのである。消費税増税の理念は変質し、国民に負担を求める大義も失ってしまったといっていい。

 消費税は1%で二・七兆円の税収があり、3%引き上げると国民負担は八兆円を超える。財務省にとっては景気に左右されず安定的に税収が確保できるので好都合だ。だが、すべての人に同等にのしかかるため、所得の低い人ほど負担が重くなる逆進性がある。

 さらに法人税は赤字企業には課せられないが、消費税はすべての商取引にかかり、もうかっていなくても必ず発生する。立場の弱い中小零細事業者は消費税を転嫁できずに自ら背負わざるを得ない場合がある。このままでは格差を広げ、弱者を追い込む「悪魔の税制」になってしまう。

 消費税を増税する一方、法人税は減税を進めようというのは大企業を優先する安倍政権の姿勢を物語っている。消費税増税で景気腰折れとならないよう打ち出す経済対策も同じである。五兆円規模のうち、企業向けの設備投資や賃上げを促す減税、さらに年末までに決める復興特別法人税の前倒し廃止を合わせると一・九兆円に上る。公共事業などの景気浮揚策も二兆円である。

 国民から吸い上げた消費税を原資に、財界や建設業界といった自民党支持基盤に還流されたり、減税に充てられる構図である。過去に経済対策と銘打って公共事業をばらまき、借金を積み上げた「古い自民」の歴史を忘れてもらっては困る。このままでは社会保障の充実も財政再建もかなわないまま、消費税率だけが上がっていくことになりかねない。

安心できる社会保障を
 安倍首相は「持続可能な社会保障制度を次の世代にしっかりと引き渡すため、熟慮の末に消費税引き上げを決断した。財源確保は待ったなしだ」と理由を述べた。

 そうであるならば、やるべきことは、安心できる社会保障制度の将来像を具体的に描き、その実現のために無駄な財政支出を徹底的に削減し、公平な負担を確立する。それなしに国民の理解は得られるとはとても思えない。
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