台風の後、夕顔の葉がなくなっていたことに気がついてはいたが、隣家の方に言われるまで知らなかった。
隣家にも夕顔の苗をあげてあったから、隣家の庭にも、夕方から夕顔の花が咲き始め、夜の闇に白く浮き出ていた。もちろん我が家の庭にも、毎年夕顔が花をつける。
夕顔は、自己を主張せず、たとえば月明かりにその白さを預けているかのように、夜の間じっと咲き続けている。「誰にも見られなくてもいいの、ただ私はどこからかやってくる光をそっと受けて、みずからの存在を確認しているの・・」
夕顔は、みずからを女性として語るしかない。といっても、幻想のなかの女性である。
その夕顔に、見るも醜くグロテスクな緑の虫がつき、花も葉も食べ尽くそうとしていた。隣家の方が、その青虫の存在を教えてくれた。
ボクは割り箸で、彼らをつかんだ。しかし彼らは必死に夕顔にくっつき、放されまいと抵抗する。ボクは力をいれて彼らを次々につかみあげ、道に放り投げる。彼らは、すぐにおきあがりいずこかへ去ろうとする。隣家の方は、そうはさせじと彼らをビニール袋に入れる。
ビニール袋の中で暴れる彼ら。彼らの死は近い。
我が家の夕顔も、隣家の夕顔も、葉を食べ尽くされ、冷たい風に佇む。
だが今朝、夕顔は新たな葉を生み出していた。本当の寒さが到来するまで、夕顔は白い花をつけ続けることだろう。
夜の闇に、そっと白く浮かび上がる夕顔。
隣家にも夕顔の苗をあげてあったから、隣家の庭にも、夕方から夕顔の花が咲き始め、夜の闇に白く浮き出ていた。もちろん我が家の庭にも、毎年夕顔が花をつける。
夕顔は、自己を主張せず、たとえば月明かりにその白さを預けているかのように、夜の間じっと咲き続けている。「誰にも見られなくてもいいの、ただ私はどこからかやってくる光をそっと受けて、みずからの存在を確認しているの・・」
夕顔は、みずからを女性として語るしかない。といっても、幻想のなかの女性である。
その夕顔に、見るも醜くグロテスクな緑の虫がつき、花も葉も食べ尽くそうとしていた。隣家の方が、その青虫の存在を教えてくれた。
ボクは割り箸で、彼らをつかんだ。しかし彼らは必死に夕顔にくっつき、放されまいと抵抗する。ボクは力をいれて彼らを次々につかみあげ、道に放り投げる。彼らは、すぐにおきあがりいずこかへ去ろうとする。隣家の方は、そうはさせじと彼らをビニール袋に入れる。
ビニール袋の中で暴れる彼ら。彼らの死は近い。
我が家の夕顔も、隣家の夕顔も、葉を食べ尽くされ、冷たい風に佇む。
だが今朝、夕顔は新たな葉を生み出していた。本当の寒さが到来するまで、夕顔は白い花をつけ続けることだろう。
夜の闇に、そっと白く浮かび上がる夕顔。