この小説は、裁判そのものを扱ったものである。一人の女性が殺された。そして一人の男が殺人を犯した。加害者と被害者、そして事件そのものを取り巻いて、多くの人がそれらに関わる。加害者、被害者、その家族、加害者、被害者に関わりがあった人々、弁護士、検察官、裁判官・・・
裁判の推移の中で、これら関係する人々の視点から、事件の姿が徐々に明らかになっていく。今は、被害者の視点からの報道が多いが、事件が起き、加害者・被害者がすぐに特定されても、ほんとうは事件の全体像は見えない。事件に関係した、あるいは関係させられた人々の多様な眼が事件を明らかにしていくのである。
長い小説である。しかし、大岡ならではの理知的な文章と、文の運びは、決してあきさせない。同時に、大岡はこの小説を書くため、裁判の勉強をかなりしたであろうことが想像できる。
刑事事件の裁判とはいかなるものか、どのように進められるのか、そうしたものを理解するためにも良い本だ。
裁判の推移の中で、これら関係する人々の視点から、事件の姿が徐々に明らかになっていく。今は、被害者の視点からの報道が多いが、事件が起き、加害者・被害者がすぐに特定されても、ほんとうは事件の全体像は見えない。事件に関係した、あるいは関係させられた人々の多様な眼が事件を明らかにしていくのである。
長い小説である。しかし、大岡ならではの理知的な文章と、文の運びは、決してあきさせない。同時に、大岡はこの小説を書くため、裁判の勉強をかなりしたであろうことが想像できる。
刑事事件の裁判とはいかなるものか、どのように進められるのか、そうしたものを理解するためにも良い本だ。