浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「戦間期」

2014-01-10 17:24:00 | 読書
 日本の政治思想史を学ぶ場合、丸山真男を読まなければまったく先には進めない。4月からの講座のために、ずっと昔読んだ本を書庫から運び出しては眺めている。

 そのなかで、苅部直『丸山真男ーリベラリストの肖像』(岩波新書)を読みはじめた。この本は2006年に出版されたもので、読むのは2回目。丸山真男を読む前に彼の人となりをもう一度確認しておこうと思って読みはじめた。

 丸山は、1914年生まれ、1996年に亡くなった。日本が戦争へと向かう時期に学生時代を経て学者になっている。そのプロセスを本書は書いているのだが、丸山は治安維持法違反で検挙されたことがある。1933年4月のことである。彼はただ唯物論研究会の創立第2回公開講演会に、長谷川如是閑の講演を聴きに行っただけ。それだけで捕まり、留置場に入れられた。1930年代というのは、そういう時代だ。

 丸山はこの経験によって、「精神の内側に無限に踏み込んで行く日本国家権力の性格」を知る。そして戦後、こう語っている。

 私は、ぬくぬくした今日の環境の中で、戦後の民主主義などは空虚なイデオロギーだとか、平和憲法なんてたわごとだとかいう、いかにもわけしりの口調をマスコミで言う人を見ると、正直のところ、いい気なもんだなあと思いますが、それにしても、戦後民主主義や日本国憲法への疑問や懐疑が出されることそれ自体は大変結構なことだと思います。もしかりに、皆さんが、戦前に、大日本帝国憲法なんて虚妄だというようなことを公然口にしたらどういうことになるでしょうか。皆さんはただちにつかまるだけではありません。おそらく一生涯、どこでなにをしていようと、国家権力によって、見えないところから皆さんの一挙手一投足をじっと監視される身になることを覚悟しなければならないでしょう

 丸山は、まさにずっと監視され続け、そして兵役にも行かされた。

 丸山は警察の留置場で拷問により苦悶の声をあげる人々を知る、そして留置場から釈放される。その時丸山は「バナナ屋は相変わらず、バナナを人々の前にぶらさげてたたき売り、ゴモク屋の前には人だかりがしてみな言葉なく、ゴハンの「問題」をみつめている。そうして、本富士署の壁一つ隔てたあのなかでは、すさまじい拷問がいま行われているのだ」として、その落差を深く深く感じ取る。

 苅部は、その丸山の体験を「平和な世界の裏側に、反体制分子を巧みに排除していく、権力のはたらきが蠢いていることを知ってしまった者にとっては、そのうららかな空気が、むしろ不気味な窒息感をもっとまとわりついてくる」と記す。

 そして「多くの庶民が政府による宣伝を信じこみ、足なみをそろえて自由な発言を封殺する」(64頁)状況が、丸山を取り巻く。

 「誰もが「國體」の神話を本気で信じていたわけではないとしても、それに対する批判を許さない空気が、社会をおおってゆく」(69頁)のである。

 1930年代の戦争へと進んでいく時代状況の中で、丸山が感じたことを、ボクは今同じように感じている。1930年代と相似形の様相が、今存在している。「戦間期」!!
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公安警察、大喜び

2014-01-10 07:19:28 | 政治
  特定秘密保護法も省益がからむ。この『東京新聞』記事にも見られるように、最大の利益を得るのが警察庁、そのなかでも公安警察だろう。社会運動が激減している中、公安警察の出番が少なくなっている。しかしこの法の成立で、俄然活躍の場が出来た。

 おそらく調査対象は、無限に拡大していくことだろう。一人一人の個人情報が公安警察に集められる。自分は関係ない、という時代ではなくなっている。今はコンピュータがあり、莫大な情報をストックすることが出来、瞬時に検索できる。


秘密法「適性評価」身辺調査 警察権限拡大に懸念
2014年1月9日

 機密漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法に基づき、保護する特定秘密を扱える人物かどうか身辺を調べる「適性評価」は、警察庁など公安当局が実施主体となる。対象者は、府省庁職員や防衛関連企業の社員ら数万人単位に上ると推定される。公安当局による個人情報の収集が強化され、警察官僚の権限肥大化やプライバシー侵害を招く懸念が指摘されている。

 適性評価の運用基準は、有識者でつくる「情報保全諮問会議」の意見を首相が聴き、法施行までに策定する。ただ政府は対象者数や調査方法の詳細を明らかにしておらず、恣意(しい)的に運用される可能性が拭えない。

 政府はこれまでの国会審議などで、現在、特定秘密と同じレベルの機密を扱っている公務員は約六万四千五百人、企業社員は約三千三百人と説明。特定秘密に触れる可能性がある都道府県警の職員は約二万九千人と推計する。

 合算すれば十万人規模となるが、政府は「もっと絞り込む」(官邸筋)としており、法成立から約一カ月が過ぎた現在も対象者数すら不透明な状態が続く。

 秘密保護法は、閣僚ら行政機関の長が適性評価を行うと規定。評価のための情報を集めるのは警察庁や公安調査庁が中心になる見通しだ。

 (1)精神疾患の有無(2)借金など経済状況(3)飲酒の節度-など七項目にわたる個人情報を収集する権限が与えられるため、府省庁は公安当局の権限拡大を警戒している。

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カネとウソ

2014-01-10 06:53:25 | 政治
 原発の再稼働を、ひたすら追求する電力会社。原発の立地自治体も、再稼働や新設を求める。日本人のあさましさを感じる。

 昨日の『中日新聞』は、中部電力浜岡原発が立地する浜岡町、現在は合併して御前崎市になっているが、そこでは多額のお金がばらまかれていた。原発立地自治体などに支払われる政府からのカネ以外に、電力会社から不明朗な多額のカネが投入されていた。これらの原資は、中部電力の電力供給地域の電気代だ。電気代の一部、とはいっても多額のカネが旧浜岡町に投下されていた。旧浜岡町にとっては、原発万歳だ。安全よりカネ、という醜い姿がある。『中日新聞』が原発ゼロを打ち出しているため、旧浜岡町などでは『中日新聞』購読者が減っているという。

 さて昨日の記事では、2004年の合併直前、何と35億円というカネを旧浜岡町の各地区に分配したというのだ。一人あたり15万円というカネがばらまかれた。

 ある地区の2011年度決算では、3億円を国債、1億円を定期預金で運用し、340万円の利子を得ている。そして支出は2670万円。それらは地区役員の手当や研修旅行代、会議費などに費消されたという。しかしほとんど使途は不明である。

 原発マネーが、旧浜岡町では住民のふところを暖めている。だから危険であろうと何であろうと、立地地域の住民にとっては、カネがなる木、原発は必要なのだ。カネで買われる住民のこころ。今さえよければ・・・

 どこの原発立地地域においても、こうしたカネがばらまかれていることだろう。

 そしてウソ。今日の『中日新聞』の「特報」欄には、鹿児島県の川内原発のことが記されている。川内原発は九州電力。この会社はウソをばらまいている。活断層の存在やもし地震が起きた場合の震度についても、政府ですら「ひどい」というほどのウソをつく。川内原発建設予定地の地盤調査では、サンプルのすりかえも行われたという。

 何という会社だ。いずれにしても、原発にはカネと、こうしたウソがまかり通る。

 原発、どす黒い利権や汚いカネの流れ、そしてウソ。日本人の精神を荒廃させる原発。。
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