浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

基地かカネか

2014-01-17 21:42:21 | 政治
 名護市長選の動向を見てみた。

 市民の選択肢を「基地かカネか」と決め、「基地」を受け入れたらふんだんにカネをばらまくぞ、というのが、末松候補をはじめとした自民党系の人たちだ。カネをばらまけば、市民が末松候補を支持するとみているようだ。

 沖縄県知事も、辺野古埋め立てについて政府からのカネのばらまきで承認したようだが、カネが人々の意思を変えるというのは、人間に対する冒涜であるとボクは思う。その意味では、知事は人間の醜さを露呈した。

 石破自民党幹事長も、沖縄にきてカネの話しをしていた。カネの話ししか、末松陣営はしないようだ。この人たちは、カネこそ最大の価値あるものだと考えているのだろう。だがボクらはそうではないことを知っている。

 生きていくためにはカネは必要だ。しかし生きていくことができれば、たくさんのカネなんかいらない。とりわけ何かとひき替えにするような汚いカネには手を出さないし、カネによりみずからの良心を譲り渡すようなことはしない。

 そういう人間としてのプライドを、ぜひ見たいと思う。

 以下は『沖縄タイムス』の社説である。


社説[石破氏発言]民主主義をわきまえよ


2014年1月17日 05:30

 16日に名護市で演説した自民党の石破茂幹事長は、同市の地域振興に向けて、500億円規模の基金を立ち上げる意向を明らかにした。

 有力政治家が告示後になって巨額の予算を提示し、特定候補への投票を呼び掛ける。事実であれば、札束で有権者の頬を殴るような露骨な利益誘導だ。

 が、そもそも与党幹事長に予算配分の権限はない。国会や政府、省庁を飛び越えて、自民党幹事長が国の予算権限を全て取り仕切っているかのような物言いは言語道断だ。

 石破氏は演説後、記者団の質問に対して「一括交付金をベースに国、県、市が分担する形」に言及した。

 記者会見で問われた菅義偉官房長官は「資金の新設について、政府として答える立場にない」「それは県や関係者が調整を図って実現していくということ」と要領の得にくい回答に終始した。

 どうやら国として新たな予算の創設や上積みを企図するものではなさそうだ。演説を聴いた人々は、そう受け止めただろうか。中央政治家が権威を盾に、あたかも予算の大盤振る舞いを約束したかのような印象を与えたのではないか。選挙に勝つために、金権をアピールする姿は地元有権者にどう映るだろうか。

 名護市長選をめぐって石破氏は12日にも、「基地の場所は政府が決めるものだ」と発言し、物議を醸した。

 市長選の結果にかかわらず政府、自民党が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設作業を推進する、との姿勢をアピールするものだ。

    ■    ■

 一方、菅官房長官は14日、名護市長選の結果に左右されることなく辺野古移設を「粛々と進めていきたい」との意向を示した。

 こうした政府、与党の対応は、同じ国策事業である核処理施設や原発の立地と比べても異様さが際立つ。

 高レベル放射性廃棄物最終処分場のケースでは、2007年1月に高知県東洋町が候補地選定に向けた文献調査に全国で初めて応募した。が、町民の反対で町長が辞職。出直し町長選で反対派が当選したため応募を撤回、候補地選定は振り出しに戻った。

 東北電力が新潟県に計画した巻原発計画は、1981年に国の電源開発基本計画に組み入れられた。が、96年に当選した町長が、全国初の住民投票を実施し建設反対が約61%に上ったことから、状況は一変。司法判断などを経て、2003年に東北電力は計画断念を発表した。

    ■    ■

 名護市辺野古での普天間代替施設建設事業は、1997年の市民投票で条件付きを合わせた反対票が52・8%と過半を占めた。

 前回市長選で「海にも陸にも新しい基地を造らせない」と唱える現市長が誕生しても移設計画は無くならず、政府は手続きを進めている。

 民主主義の原則に立つならば、地元市長が反対しても押し切るべきだ、という論理は成立し得ないはずだ。

 政府、与党の対応は、民主主義の手続きの正当性をゆがめる行為に自らが手を染めているのに等しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

社会の中に生きていくということ

2014-01-17 16:53:50 | メディア
 『東京新聞』の記事、コメントは必要ないだろう。読んで欲しい。


世界の今伝えたい 藤原紀香 阪神大震災が原点

2014年1月17日 朝刊


 17日で19年となる阪神大震災が、女優・藤原紀香を生んだと言っても過言ではない。アフガニスタン、東ティモール、カンボジアなどで行ってきた国際的な社会貢献活動の原点にあるのも、この震災、そして9・11の米中枢同時テロである。「私の中で芸能活動と社会貢献に分け隔てはない」と明かす思いの丈を聴いた。 (安田信博)

 昨年十二月、東日本大震災の被災三県の子供と保護者計三十人が、阪神大震災の犠牲者を追悼する光の祭典「神戸ルミナリエ」を見学し、夜空を彩る光のページェントに歓声を上げた。日本赤十字社の広報特使として、自らの体験を踏まえて実現に奔走した招待企画の一コマである。

      ◇

 モデルの仕事を終え、帰国の途に就く機中で阪神大震災(一九九五年一月十七日)の発生を知った。関西空港に到着後、電車を乗り継ぎ、ボストンバッグを引きずり、線路伝いを歩いて兵庫県西宮市の自宅にたどり着いた。道すがら、戦争で空襲に遭ったような惨状に言葉を失い、「おねえちゃん、これ飲んでや」と中年男性からペットボトルの水をもらって人の心の温かさにも触れた。

 翌日から仲間たちと避難所でボランティア活動を始め、駆けつけた芸能人らが住民と交流する姿を目の当たりにした。「その場に花が咲いたような、温かく、明るい雰囲気」を実感、自らの決意と重ね合わせた。

 震災で「生かされた命を、悔いなく生きる」との思いを深め、父親の猛反対に遭っていた女優への道を目指して上京。「何かあったら、現地に入って社会貢献を行う女優」を目標に掲げた。

 九五年暮れに初めて開かれた「神戸ルミナリエ」を東京から戻って見学した。「私はそこに鎮魂と再生の光を確かに感じたんです。だから、その感動を東日本大震災の被災者の方々にも伝えたかったんですよ」

      ◇

 東京ではオーディションに次々に落ちる日々が続く。仕事が入るようになってからは、忙しさに追われて気がつけば六年の歳月が経過。「私、(社会貢献は)何もできてないじゃない」。そんな思いを抱いたころ起きたのが二〇〇一年の米中枢同時テロだった。

 語学留学で世話になったホームステイ先の家族が心配になりニューヨークに飛んだ。あれだけ優しかったおばあさんが「アフガニスタンには爆弾を落として当然よ」と人が変わったようにまくしたてるのを聞き、複雑な思いにとらわれた。

 憎しみの連鎖は悲劇を募らせるだけではないか。空爆を受けたアフガニスタンの子供たちの存在も気にかかり、入国を決意した。対人地雷で膝から下を失った子供から「僕の足を治して」と手を握り締められ、無力感に襲われ涙に暮れた。しかし、将来の夢を明るく語ったり、何時間もかけてくみにいった貴重な水を分けてくれたりする子供たちのけなげな姿に接して、考えを変えた。「私にできるのは、ここの子供たちのありのままの姿を、多くの人々に伝えることだと思い至ったんです」

 帰国後、ニューヨークをはじめ各地で写真展を開いた。学校での講演も行った。

 最初はがやがや騒いでいた子供たちが、最後には「僕たちにできることは何だろう」と真剣に話し合う姿を見て、現実を知ることは人間の想像力を刺激するとの思いを深めた。

 チャリティーの写真展や講演会などでの原資で、海外で学校を建設する運動にも尽力。現在、アフガニスタンで一校、カンボジアで二校が開校している。

 最近、NHKの番組取材で、父方の祖父一家の壮絶な生きざまを知った。満蒙(まんもう)開拓団員として旧満州(現・中国東北部)に入植。酷寒の地で懸命に田を耕し、匪賊(ひぞく)の襲撃で死線もさまよった。終戦後はすぐに帰国を許されず、粗末な小屋で使用人として暮らしたという。四六年九月、一家四人のうち帰国したのは祖父と当時四歳の父・一馬さん。祖母は「感染症にかかった娘を残してはおけない」と周囲の説得を振り切り、胸に抱いて帰国途上、感染して娘ともども亡くなった。

 「祖父の不屈の開拓精神、祖母の命がけの行為、命の連鎖の奇跡を知り、与えられた命をもっと大切に精いっぱい生きなければとの思いに駆られました」

 今、あらためてかみしめている言葉がある。マザー・テレサの「愛の反対は憎しみでなく無関心」。疑問点や分からないことがあれば、積極的に声を上げていくことが健全な社会につながると確信している。今後も、自ら知ったことは、世の中にどんどん発信していくつもりだ。

 女優として今後、大好きなアクションやコメディーに挑戦したいと思っている。「メッセージを発するという点で、芸能活動と社会貢献は私の中ですべてつながっています。まったく分け隔てはありません」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

これは長野県だけの問題ではない!

2014-01-17 16:46:46 | 政治
 特定秘密保護法が制定されるまでもなく、人々の個人情報は警察に集められている。その情報がどのように使われるか。長野県の事例が記されている。某警官が私的に関心を抱いた女性の個人情報を覗く、ということは普通の市民の個人情報も集められているということだ。

 以下は『信濃毎日新聞』の社説。

個人情報閲覧 警察の信頼回復は遠い 01月17日(金)

 連続強制わいせつ、女性の盗撮行為、車両使用者の個人情報の売り渡し…。警察官の不祥事が相次いだ長野県警は「信頼回復のため県民の立場に立った警察活動を積極的に進め」(当時の本部長訓示)ているはずだ。

 交際女性の個人情報を調べるため、県警のシステムを不正に使った―。先日発覚した新たな警察官の不祥事だ。個人情報の保護を揺るがす重大な問題なのに、県警は昨年、4段階で最も軽い懲戒処分「戒告」(文書による注意)で済ませ、公表もしていなかった。これが「信頼回復」の方法なのだろうか。

 50代の男性巡査長が、民家などを訪問する巡回連絡で知り合った女性と「不適切な交際」(県警)を続けた。この間、犯歴などが確認できる県警の個人総合照会システムを不正利用し、女性の個人情報を複数回閲覧したという。

 問題なのは、処分の甘さもさることながら、不祥事を公表しないこと、再発防止策も明らかにされないことだ。

 全国で相次いだ警察不祥事を受けて、警察庁は「情報公開の推進」を掲げ、懲戒処分の発表の指針を2004年に改正。(1)職務に関係する行為についての処分は全件を発表する―とした。ただ、(2)私的な行為に関する処分は停職以上を発表する―ともしている。

 県警監察課は今回、(2)に沿って、公表しなかったとする。県警のシステムを職務権限を使って不正利用することは、職務に関係しているのではないか。これ以上不祥事が発覚するのを恐れて、無理やり(2)にあてはめたのではないか。強い疑問がある。

 警察の持つ個人情報の保護は昨年、強行採決で成立した特定秘密保護法にも通じる問題だ。

 特定秘密を扱える人かどうかを判断する「適性評価」は、本人の精神疾患の有無や飲酒の節度、経済的状況のほか家族・同居人の氏名、現・旧国籍などを調べる。公務員、民間人合わせて10万人規模になる個人情報の収集は主に警察が担うとされる。

 今回の問題は、これらの情報が不正利用され、そのことが市民に知らされない可能性があることも浮き彫りにした。

 不祥事が起きたら矮小(わいしょう)化せず、速やかに公表する。その都度、再発防止策を丁寧に説明する。それが県民の信頼回復への道だ。

 きょうも私たちの個人情報がのぞかれているかもしれない。その不安を残したままでは、警察への県民の協力は得られない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【映画】「標的の村」

2014-01-17 16:26:53 | 日記
 浜松市内のシネマイーラ、今日は座席がほとんど埋まっていた。昨年だけなぜか映画を見ることが少なくなったが、それまではしばしば行っていたが、こんなにも人が入ったのは見たことがなかった。

 「標的の村」は、今日が最後。体の調子がよくなかったので、いつ行こうかと迷っていたが、今日しかないと思って行ってみた。その予告編はこれ。

 http://www.youtube.com/watch?v=rJcJSZJ4qoI

 そして公式サイト。

http://www.hyoteki.com/

 まさに「人間としての怒り」、そして「哀しみ」を覆う映画であった。「人間としての怒り」は、平和で普通に生きていこうとする人たちの村を、沖縄にいる米軍と日本政府は「標的」にする。その企みに、全身で「人間としての怒り」を現しながら、闘う。

 だが、日本政府や米軍などは、そうした「人間としての怒り」を受け止めず、それを力ずくで抑えようとする。権力をふるう者どもに、哀しいことに勝てない。その「怒り」と「哀しみ」を、見ている者は全身で感じる。

 とはいえ、ヤンバルの森・東村(ひがしそん)・高江の住人たちは、決して絶望しない。今までもずっと闘ってきた。その闘いにより、勝ったこともあったし負けたこともあった。

 ただ、「人間としての怒り」を現し続ける、そして未来の勝利に向けて生きていこうとする。

 本土に住む者たちに、この「怒り」がわかるか、この「哀しみ」がわかるか、と問い詰める。

 ボクらは、それにどう応えるのか。その応えを、この映画は求める。

 平和、人権、民主主義、いやそういう難しいことばではなく、普通に生きる人々の生活が脅かされている、そういう肯定すべき価値が否定される現実を、あなたはどうするのか、と問う。

 今、全国で上映活動が行われている。ぜひ見て欲しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする