日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

心をくすぐる広告-JR東海・「そうだ京都、行こう」-

2007-09-11 10:47:02 | マーケティング
8月の突き刺すような暑さや陽射しから、少しづつ秋の気配を漂わせる朝夕の涼しさになってきた。
残暑が厳しいと言っても、「あと一息!」という気になってくる。
雑誌などでも、「秋のツアーキャンペーン」がチラホラ見かけられるようになってくるのも、この頃だ。

その中でいつも「巧い!」と感じさせられるのが、JR東海の「そうだ京都、行こう」のキャンペーンだ。
このキャンペーン、14年くらい続いている(1993年スタート)。
長く続いているのに、マンネリ感もなく常に「新しさ」を感じさせる創りをしている。
実際、キャンペーンが始まったときのポスター(秋・清水寺)を今見ても、古さを感じさせない。

これには、京都のもっている「歴史や文化に裏打ちされた(観光)資源」があるからだが、それにしても、その時その時のキャッチコピーなどを読むと「行ってみたい」という気にさせる。
そのキャッチコピーもよく読むと、女性を意識したモノではなく、どちらかと言えばビジネスマン(それも、多忙を極めるエグゼクティブクラスか?)を意識している。
このキャンペーンに連動するかのように、「サライ」などビジネスマン向けの雑誌などで頻繁に京都や小京都などの旅行の提案がされるようになってきた。
そんな広がりをもっている、キャンペーンだと言える。

JR東海のCMで有名なのは、「シンデレラ・エクスプレス」と「クリスマス・エクスプレス」だろう。
「シンデレラ~」は遠距離恋愛を扱った内容で、当時は日曜日の夜9時過ぎ(大阪行き最終・「ひかり」の出発時刻)になると、遠距離恋愛のカップルたちが東京駅で別れを惜しむ光景が多く見られた(「ブーム」と言ってもよいほどだった)。
「クリスマス~」は、遠距離恋愛中の恋人同士がクリスマス・イブに会いに行くと言う内容で、CMソングとして使われた山下達郎さんの「クリスマス・イブ」は、すっかりクリスマスソングとして定番化した。
これらのCMは、「会いたい」という「ワクワク・ドキドキ」感や「別れる」という「寂しさ・切なさ」を等身大でよく現していた。

JR東海の広告の巧さというのは、実はここにあるのではないだろうか?
「そうだ京都、行こう」にしても、コピーにひとひねりありながらも、「そうだよね」と思わせるモノがある。
実は、JR東海だけではなくJR東日本の「その先の日本へ。」と言うキャンペーンでは、タレントさんではなく、その旅先で出会った人たちが登場させることで「旅心」を誘っていた。

「心をくすぐる広告」というのは、小手先でカッコよく見せるのではなく、案外素直なモノなのかもしれない。