日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「Go Toキャンペーン」に税金を投じるよりも、未来に投じて欲しい

2020-11-30 23:06:34 | アラカルト

Huffpostに、交通遺児の大学生の内4人に1人が、退学を考えている、という記事があった。
Huffpost:遺児の大学生、4人に1人が「退学を検討」。コロナで進学をあきらめる高校生も(調査結果)

今朝のFM番組でも同様のテーマが取り上げられていた。
それだけ経済的に困窮している大学生がいるだけではなく、進学を諦める高校生たちも多いのだろう。

今回調査を実施したのは「あしなが育英会」だが、「あしなが育英会」から奨学金をもらっていない一般的な大学生にとっても、今回の「コロナ禍」は経済的に大きなダメージを与えているはずだ。
というのも、地方から都市部の大学に進学した学生たちの仕送り額が、減っているからだ。
(下図資料は全国大学生活協同組合連合会 第55回学生生活実態調査より)

グラフを見てわかる通り、10万円以上の仕送りをもらっている学生は、年々減っている。
代わりに増えているのが5万円以下の学生だ。
自宅通学の学生たちにとっては、現実感のない話かもしれないのだが、これが今の日本の経済状況の一面である、ということでもある。
特に、仕送りを必要とする学生たちは地方出身者であり、言い換えれば仕送り額が減少している、ということは地方経済の状況が良いとは言えないということでもある。

減額されている仕送り分をカバーするのが、アルバイトということになるのだが、主要なアルバイト先となる飲食店などが今回の「コロナ禍」の為に危機的状況に陥っている。
結果、生活費そのものの捻出が難しくなったりするような状況が続くことで、退学や休学を検討せざる得ない状況に陥っている学生が増えているということになる。

「経済を動かす」という名目で政府が行っている「Go Toキャンペーン」は、この「コロナ禍」でもキャンペーンを利用する人が数多くいる反面、感染拡大を懸念して利用を躊躇する人達も数多くいる。
おそらく、利用を躊躇している人たちのほうが、多いのではないだろうか?
とすると、税金を投入して行う政府の事業として不公平感が生まれてしまう可能性もある、政府政策でもあるはずだ。

学びたい意欲がありながら「コロナ禍」により、退学や休学を考えている学生や進学をあきらめようとしている高校生たちに対して、その支援をするほうが日本の未来をつくる為にはプラスになると思うし、理解も得やすいのではないだろうか?
目先の経済を動かすことはできないが、先行投資と考えれば十分そのメリットはあると思う。


すぐそこにある「壁」を壊すのは、誰だ-ナイキのCMが突き付けるもの-

2020-11-29 21:01:24 | CMウォッチ

久しぶりにインフルエンザの予防接種をし、昨日から「副反応」で、体調不良に陥ってしまった。
予防接種を毎年のように受けていれば、これほど酷い「副反応」は起きなかったと思うのだが、致し方ない。
そんな体調不良の中、フッと目に留まったCMがある。
ナイキの「動かしつづける。自分を。未来を。The Future Isn's Waiting. Nike」という、CMだ。

ナイキは、過去にも「スポーツを通して様々な問題提起をするCM」を制作してきた。
昨年は「Dream Crazier」というテーマで、「性差によるスポーツの壁」を壊してきた女性たちの姿を取り上げてきた。
それは社会にある、「差別」ということにもつながる。

今回ナイキジャパンが制作した「動かしつづける、自分を、未来を。」という内容のCMは、私たち日本人の中に潜んでいる「ナショナリズムあるいは同調圧力」をえぐり出しているような気がするのだ。
肌の色、国籍はもちろん、学校という社会の中で求められる「同化性」のようなモノに対して、「それでいいの?」と問いかけているようにも思える。
と同時に、最近聞かれるようになった「マウント」という行為の、醜さも伝えているようにも感じている。

スポーツの世界でいうなら、世界で活躍をしている女子テニスプレーヤーの大阪なおみ選手やNBLで活躍をしている八村塁選手のように、一見日本人とは思えない風貌の選手であっても日本人プレーヤーとして活躍をしている、と知ると私たちは心躍るような感覚を持つことがある。
八村選手のように、子どもの頃から日本で生活をしバスケットという才を磨いて、NBLのスカウトの目に留まるまでどのような苦労があったのだろうか?ということには、思いをはせることはほとんどないのでは?
そこには「大阪選手や八村選手が、日本人である」という、自分とは関係がないのに一種の「ナショナリズム」という思考の中で、誇りに感じているに過ぎないのではないだろうか?

上述したように、最近「マウントする(あるいは「マウントを取る」)」という言葉を、聞くことが多くなったような気がする。
「マウントする」というのは、サルの「マウンティング」と呼ばれる行動からきているのだと思うのだが、一つでも話し相手などよりも優れている何かを発見すると、優れていることを理由に「相手を下に見て、自分の優れていることを周囲にアピールする」という行為のようだ。
厄介なことに、親や配偶者の経済力のように自分本来とは関係のない要素で、優位に立ちたい=マウントしたい、という人達も見受けられる。
このような「他者と自分を比較し、上下関係をつくろう」とする気持ちこそ、卑しいと思うのだがその卑しい行為が、一つの自慢行為のように勘違いをするような人たちが、表立って増えているような気がする。

そしてそのような行為をする人達が最初に目をつけるのが、容姿であったり国籍であったりするのだ。
そんな「マウントされる側」の少女たちの姿を通して、「自分らしく立ち上がる」大切さをこのナイキのCMは表現していると思う。
「マウントされる側」の人たちへのエールでもあり、「マウントする側」への痛烈な批判でもあるようにも思えるのだ。


「新型コロナウイルス対策」がチグハグな理由が分かった!気がする

2020-11-27 20:43:25 | 徒然

Yahoo!のトピックスには、「東京都では過去最多570人の感染者」などの記事が取り上げられている。
確かに、570人という数字は「新型コロナウイルス」の感染拡大としては、最多の数字だと思う。
東京都に限らず、全国自治体での感染者数も増加することは目に見えている。
にもかかわらず、政府は「緊急事態宣言を出す予定はない」のようだ。
ロイター:ステージ4と自治体が判断しても、機械的な緊急事態宣言ない=官房長官

官房長官の言葉のいくつかに、疑問を感じてしまうのは私だけではないはずだ。
一つは「自治体の判断」を尊重しない、という点だ。
今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大で、社会に対して大きな影響を与えてきたのは、感染者が多い自治体の首長さん達の発言だった。
各自治体の現状を発信することで「不要不急の来訪者の制限」という目的もあったと思うし、何より首長さんたちの発言がその自治体で生活をしている人たちに危機感を与え、生活者に自主的な行動の見直しや制限をすることになったはずだ。
何故なら、「新型コロナウイルス」に関しては、各自治体で対策を取るようになっていたからだ。

そして「機械的な」という表現にも、引っ掛かりを感じてしまうのだ。
どうやら、感染者数や重症者数などの数値ではない判断材料によって「緊急事態宣言」を検討する、ということのように思える。
上述した通り「新型コロナウイルス感染拡大」についての対策の中心は、各自治体であって国ではない、ということを考えれば、政府として「新型コロナウイルス対策」は、特別に何かをするわけではありません、だから「緊急事態宣言」も政府はよほどのことが起きない限りしませんよ、と言いたいのでは?という気がしている。

そのように考えれば、一連の政府が行ってきた(そして行っている)「新型コロナウイルス対策」が、どこかチグハグで他人事のような印象になるのは当然だろう。
自治体の首長さんは「感染拡大を防ぐ(あるいは抑制させる)」責任を持っているが、政府はそのような責任を持ってはいないからだ。

しかし「Go Toキャンペーン」に関しては、国が決めたことなので国が判断をしなくてはならない。
その判断材料となるのが、各自治体の感染状況だと思うのだが、「機械的判断はしない」と断言してしまっていることが、問題なのだと思う。
確かに、国会議員さんが「新型コロナウイルス」に感染し、重症化しているという話は聞かない。
だからこそ余計に、現実感が無いのかもしれない。
そのような要因も含め、政府が現実感を持って「新型コロナウイルス対策」を考えず、各自治体に丸投げをし、肝心要となる「お金」の使い方が間違っている、というのが悲しいかな日本の状況なのだ。

東京を中心に感染者が爆発的に増え、感染状態によって治療の為の病床を振り分けたくても、そのような指示が厚労省からされず、各自治体でがんばれ!では、医療崩壊の日は近いだろう。





「新型コロナウイルス」対策に、飲食店だけを対象にして効果があるのだろうか?

2020-11-26 21:31:13 | アラカルト

「新型コロナウイルス」の感染拡大の第3波が懸念される中、感染者が急増している自治体では飲食店などに短縮営業などの協力をお願いするようになった。
確かに、大人数が集まり飲食などをしながら話をすることで、感染しやすい条件になる、という指摘は過去再三されてきていた。
いくらマスクが有効だからと言って、マスクをして飲食をするということ自体、現実的ではない。
だからと言って、お通夜のように会話の無い飲食も楽しくはない。
「一体何のために集まって、飲食をするのか?」ということになってしまう。

とはいうものの、飲食店などからすると「飲食店やカラオケ店だけの問題なのか?」という、不満が出てもおかしくはないだろう。
というのも、クラスターの発生源は飲食店やカラオケ店などだけではないからだ。
例えば、学校の寮や福祉介護施設のような場所でも、クラスターは発生している。
飲食店やカラオケ店だけが、「新型コロナウイルス」の感染拡大の要因ではないのだ。

と同時に、同じ「Go Toキャンペーン」の一環である「Go To Travel」に関しては、継続ということになっている。
理由は「Go To Travel」での感染拡大の確認が認められていない、ということのようだ。
しかしそれも、飲食店側からすれば不満の要因となるはずだ。
何故なら「旅行先で、問題とされるような飲食をしているはず」だからだ。
しかも、旅行先ということになれば、自治体を超えた移動になる為「感染拡大の要因」になるのでは?と、飲食店側は言いたいだろう。
おそらく、飲食店側の言い分を生活者の多くは理解しているのでは?と、思っている。

「Go Toキャンペーン」については、関連する事業団体や政治的思惑があるという指摘がされているが、このような業界団体や政治的思惑が、感染拡大の要因になっているのではないだろうか?
本気で「経済を動かすwithコロナ政策」というのであれば、どの業界団体とも関係のない公平で俯瞰的視点の方向性を政策として示す必要があるはずだ。
ところが、気分的で場当たり的な印象を生活者が感じ・持ってしまう政策というのは、生活者だけではなく様々な業界団体に、不信と不満を抱かせるだけではないだろうか?

個人的には「特定の業界団体を狙い撃ちするような自粛要請」では、既に感染拡大を止めることはできないと思っている。
だからと言って「マスクをすれば大丈夫」というような、「特定の予防策信望論」にも違和感を持っている。
今一度、予防策の原点に戻り、科学的な対策を社会全体で行いながら、業界団体に対しては「事業継続のためのセーフティーネット」のような政策提案をすべきではないだろうか?


「東京オリンピック2020」を本気で開催したいのだろうか?

2020-11-25 18:55:55 | アラカルト

今月に入り、「新型コロナウイルス」の感染者が急激に増えている。
新聞に掲載される都道府県別の新規感染者数も、第一波の時には1~2人位だったのが、10人を超すことが当たり前のようになってきた。
このような状況になって初めて、国が推し進めていた「Go Toキャンペーン」の見直しを発表した。
この見直しについても、感染者が急増している自治体の首長さん達の言葉があったからだろう。

ところで、政府は「感染拡大第2波」ということを、認めたのだろうか?
今は「第3波だろう!」と思われる方も多いと思うのだが、今ではなく「第2波」の時の対応が万全であったのか?という点に、注目すべきだと思ったからだ。
というのもGoogleの「新型コロナウイルス」の情報サイトなどを見ると分かるのだが、これまで感染者数の波が3回あり、今まさに第3波の真っ最中ということがわかる。
Google:新型コロナウイルス感染者数統計

Googleのサイトで発表しているグラフを見ると、第1波が4月21日ごろ。
次ぎが8月1日あたりで急激に数字が伸びているということがわかる。
4月21日ごろというのは、小中高の一斉休校になったが、その後(何故か?)一旦解除となり丁度お花見シーズンと重なったことで、都市部では出かける人達が急激に増えた直後位だろうか。
そして8月初めは「Go Toキャンペーン」そのものが開始される前ではあるが、「GO Toキャンペーン」が発表され、3月半ばから始まった「自粛生活」が解除された頃だったからだ。
とはいうものの、この段階では自治体が「極力県外に行ったり・県外から来たりしないでください」というメッセージが盛んに出されていた頃でもある。

もしこの8月初旬に「第2波」として、政府も積極的に対策を取っていたら、今のような状況ではなかったのでは?という、気がしている。
しかし政府側は、発表したばかりの「Go Toキャンペーン」に水を差すようなことをしたくなかったのか?東京都以外に関しては「Go Toトラベル」の対象地域とした、という記憶がある。

「新型コロナウイルス」に限ったことではないが、感染症は「第1波よりも第2波、第2波よりも第3波のほうが、感染者数が増える」のでは?と、考えている。
何故なら、第1波の時に「新型コロナウイルス」に感染した潜在的感染者は、第2波が起きる前に自粛期間の要請がなくなったことで、それまでよりも行動範囲を広げ第2波を引き起こす要因になったのでは?と、考えるからだ。
同様に第3波も、第2波の潜在的感染者が「Go ToトラベルやGo Toイート」を利用することで、広い範囲でその行動範囲も広げた、と考えられるからだ。
とすると、第2波の時に封じ込めるなどの政策を打ち出す必要があったはずだと思うのだが、政府が「第2波」を正式に発表した記憶が無く(だからこそ、政府は現状が「第3波である」と発表しないのだと考えている)、それは「Go Toキャンペーン」実施を念頭に置いた為ではなかったのでは?と、考えている。

確かに「経済を動かす」という名目の「Go Toキャンペーン」ではあるが、運用そのものを、複数の仮説に立って対応策を考えなくては、ズルズルと感染拡大という状況が続いて言ってしまうのでは?という、疑念がある。
そして後手後手になっている対策を見ていると、政府は本気で来年「東京オリンピック」開催を目指しているのだろうか?という、気すらしてくるのだ。


安倍前首相と桜を見る会の問題は、どうなっていくのか?

2020-11-24 20:55:54 | 徒然

安倍前首相と桜を見る会における「お金の出どころ」について、重要な内容が発表された。
それは、「桜を見る会前夜祭」で、800万円に近いお金を補填していた、という内容のニュースだった。
日経新聞:安倍氏側が800万円超負担か「桜を見る会前夜祭」

2013年~2019年という6年間で、800万円の補てんを安倍氏側がしていたという内容だ。
確か、これまで安倍さんは「このようなこと(=補填)などはしていない」という、発言を早々に否定したことになる。
昨日は「安倍前総理秘書らから任意聴取」という記事があった。
これまで頑なに「聴取」を拒んできた安倍さん側が、今回積極的に秘書などへの事情聴取が行われた背景には、何があったのだろうか?
単に、安倍政権から菅政権に変わったという理由だけなのだろうか?

800万円を超える負担というのは、安倍前総理が開いた「前夜祭」でのホテルの領収書から、判明したこととは言え6年間で800万円という額は、決して小さな額ではない。
そのような金額が、領収書無しに支払われていたとすれば、それはそれで不自然だし、領収書を発行する側のホテルにも問題がある、ということになる。
もし、ホテル側が知らぬ存ぜぬのような対応をしてしまえば、ホテル側は生活者からの信頼を大きく失うことになる。
「新型コロナ」の感染拡大により、ホテルは大打撃を受けている業種の一つとなっていることを考えれば、ホテル側としては「新型コロナ」による宿泊者の減少は、致し方ないと思えても、領収書(=売上管理)ができていない、という理由によって社会的信頼を失うことの方が、ホテルに対するイメージダウンだけではなくホテルの存続にも関係してくる問題となってくる、と考えたのではないだろうか?

今現在の菅総理の発言などから、「安倍前首相の考えを踏襲している」というイメージが定着し始めている。
それが、良いイメージのものであれば、菅政権にとってプラス材料となれば良いが、「桜を見る会」に関連した問題は菅政権にとって大きなダメージを与えるだけではなく、今後の自民党そのもののイメージダウンとなってしまう、と考えているのではないだろうか?
となれば、既に過去の政治家となりつつある安倍前首相の「桜を見る会」を含む様々な問題を、一気に片づけてしまう必要があるだろうし、素早い処理をすることで逆に菅政権や自民党全体のイメージアップへと繋がっていく、という判断がされたのでは?という気がしている。




一度始めた事業プランを見直すことの難しさ

2020-11-20 19:27:41 | アラカルト

11月10日ごろから、連日「新型コロナウイルス」の感染者が各地で増え続けている。
増え続けているだけではなく、1日の感染者数が「過去最高」を更新している、という状況になっている。
このような状況の中で、政府が始めた「各種のGO TO キャンペーン」に対して、「見直し」の声が日本医師会側から出る様になった。
理由は、改めて説明するまでもなく、受け入れ病院が逼迫している為だ。
ABEMA TIMES:「Go To」運用の見直し 分科会で議論へ

今日、東京都医師会が一つの提案をしている。
ABEMA TIMES:「一時中止の決断を」「近場に限定」「遠方にはPCR検査などパッケージに」Go Toトラベルに東京都医師会・尾崎会長

東京都医師会の提案は、具体的で「新型コロナ」に対して不安を抱いている人たちから、支持が得られる内容だと思う。
特に「遠方へのGo Toトラベル利用者は、PCR検査や抗体検査を受ける」という提案は、Go Toトラベル利用者だけではなく、受け入れる宿泊施設などが安心できる提案だと考える。
というのも、今週の日曜日から昨日まで、墓参りと高齢者で独居生活をしている父の様子見の為に、帰省していたからだ。
もちろん、帰省で利用した新幹線や在来線では「抗ウイルス」を謳うウェットティシュなどで席やテーブルを拭き、マスク着用。
1日の内過ごす時間の長いリビングなどでは、窓を開け常に換気をし加湿などをするなどの、対策を行っていた(父が日ごろから、このようなことをしていたようだった)。

10月中旬に切符を購入した時には、このような状況になるとは予想もせず、帰省することにしたのだが、往復の新幹線や在来線で目立ったのは、出張と思しきサラリーマンの姿ではなく家族連れの旅行者だった。
特に、日曜日に利用した伯備線下りの車窓から見た、伯備線上りの車両がこの時期とは思えないほど込み合っていたのには、驚いた(伯備線は、単線箇所が多い為特急などのすれ違いの為、すれ違い停車をする駅がいくつかある)。

車窓から見た、大勢の人が乗車している上りの特急には多くの家族連れやグループと思われる旅行者が、多かったような印象があった。
そのうちの幾人かは「Go Toトラベル」を利用した人達だったかもしれない。
「Go Toトラベル」等を利用した人達の気持ちも分からないではない。
長い自粛生活から、やっと解放された!という、気持ちだけではなく、政府が「お出かけしても良いですよ」と、「Go Toトラベル」にお墨付きを出している、という安心感も大きいのではないだろうか?

「Go Toキャンペーン」で、観光地や宿泊施設、飲食店などは「(経営的に)やっと一息できる」という気持ちもあるはずだ。
それほど「自粛生活」は、人の気持ちを閉鎖的にし、暗くしてしまっただろうし、その反動で人が動きだしたことも十分に理解できるからだ。
「自粛警察」のような人たちからすれば、「感染拡大をさせている元凶」と指摘する気持ちもわかる。
だからこそ、東京都医師会のような「安心を担保する仕組み」を、整えたうえで改めて「経済を動かす政策」を打ち出す必要があると思う。

ただ、今回のGo Toキャンペーンに限らず、一度始めた政策を止めて見直す、ということが中々できないことは、過去の様々な事例が物語っている。
今回のように、多くの人の命と暮らし、経済が関わることだからこそ、見直しをして「生活者が安心できる政策」にバージョンアップさせる必要があると思う。
Go Toキャンペーンを無きものにするのではなく、「事業の見直し→手直し→実行」というサイクルは、企業だけではなく政府であっても重要かつ必要な手段だと思うのだ。



カマラ・ハリス氏同様に、注目したい女性政治家がいる

2020-11-14 20:25:49 | 徒然

民主党のバイデン氏以上に注目されているかもしれないのが、副大統領になったカマラ・ハリス氏だが、実は今後4年間で注目されそうな民主党の女性議員がいる。
アレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(通称:AOC)だ。

Huffpost:若者に熱狂的な人気。アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏が下院の再選、どんな人物?

フルネームだと長いのだが、名前を見て気づくことはないだろうか?
いわゆるラテン系の名前である、ということだ。
事実コルテス氏は、プエルトリコからの移民の労働者階級という環境の中で育っている。
マイノリティー出身者としては、カマラ・ハリス氏と同じということになるのだが、ハリス氏が移民の子でありながら判事などの経験があるのに対して、コルテス氏は2018年史上最年少でニューヨーク州の下院議員として当選を果たした、まだ30代の若い女性ということになる。

コルテス氏の人気は、これまで政治に関心が無かった若い世代が支えている、といわれている。
その理由の一つが、コルテス氏自身は大学生の頃に父親が急死したため、学費を稼ぐ為にバーデンターやウェイトレスとして働いた経験を持っているということや、2016年、2020年の民主党の大統領予備選挙に立候補したサンダース上院議員の「民主社会主義」寄りの考えを持ち、ハリス氏よりも、今の若者に近い経験をしている下院議員だと言われている。

もう一人、注目したい女性議員がいる。
共和党の牙城の一つとされていたジョージア州で、大接戦を繰り広げ民主党が勝った要因を作ったといわれるステイシー・エイブラムスという黒人女性だ。
BBC NEWS:【米大統領選2020】民主党がジョージア州奪還へ、立役者は黒人女性たち

BBCでは、「黒人女性たち」という表現をしているが、多くの黒人女性たちに大統領選への投票をするために、有権者登録を事前にする必要がある。
今回トランプ氏が「オバマ氏よりも獲得票数が上回ったので、私が勝った」と言ったのは、有権者登録数がオバマ氏が当選した時よりも多かったからだ。
「有権者登録をしてもらう」というところから、米国の大統領選は始まっているのだ。
その有権者登録を積極的に勧め、多くの黒人の登録者数が増えた州のひとつがジョージア州であり、その中心となって活動したのが、ステイシー・エイブラムスという女性であった、ということなのだ。

このことは、一体何を表しているのだろう?
ハリス氏は、インド系+黒人という「多様性」、コルテス氏は「若年層」、そしてエイブラムス氏は「黒人と女性」という、これまで「政治の中心ではなかった人達」の代表者たちが、声を上げた選挙だったとも考えられるのではないだろうか?
それは、米国という社会が大きく変化し始めている、というだけではなく、様々な摩擦が起こる可能性も秘めている、ということかもしれない。
ただ、知的手段(=暴力ではない解決法)で、多様性を認め合える社会を創っていくことができれば、これまでのトランプ氏に代表されるようなマッチョな米国から脱却し、また世界をリードするような米国へと生まれ変わることができるかもしれない。

ただ、そのための時間と労力は膨大なモノであり、傷つく人たちもまた多いような気がしている。



「UNIQLO+J」は、ブランドイメージの好感度をアップさせるのか?

2020-11-13 19:50:34 | マーケティング

Yahoo!のトピックスに、今日から発売開始となった「UNIQLO+J」のニュースがあった。
東海テレビ:マネキンは折られ床にガラス散乱…ユニクロでジル・サンダーのコラボ商品に客殺到し一時パニックに

まず最初に感じたのは、「新型コロナウイルス 第3波か!」といわれているにもかかわらず、「3密状態」での異常さだった。
確かに、名古屋人は「話題性に弱い」という一面もあるのだが、この光景は異常な気がした。
「ここまでして、ユニクロとコラボした、ジル・サンダーの服が欲しいのか?」という気がしたからだ。
このような、熱狂状態はユニクロの中でも大型店舗といわれる全国の店舗で、展開されていたようだが、「熱狂して買っているお客さんは、ジル・サンダーというデザイナーを本当に知っているのか?」という、疑問もわいてきた。

というのも、ユニクロとジル・サンダーとのコラボ商品企画そのものは、今回が初めてではない。
先回の時には、発売当初は話題にはなったが、これほどまでの熱狂ぶりではなかったし、しばらく経ってからいわゆる「バーゲン価格」で、販売されたような記憶があるからだ。
なんとなく「有名デザイナーらしい、ジル・サンダーの服がユニクロで買うことができるらしい。有名デザイナーの服がユニクロ価格で購入できるなんて、ラッキー!」程度(といっては、失礼だが)だったのでは?という、気がしている。

もう一つ気になったことは、前回のコラボ商品が販売された時とは全く違う「取引環境」が登場している、という点だ。
「取引環境」という表現は大袈裟だが、いわゆる「転売ヤー」が、転売目的で購入しているのでは?ということなのだ。
「ジル・サンダー(という有名らしいデザイナー)+数量限定(=希少価値)」という、転売の好条件を「転売ヤー」が見逃すはずがない。
実際のチラシでは「転売目的の購入は、お断りさせていただきます」と表記してあっても、個人で購入することに対しての規制ができるはずもなく、「転売ヤー」が個人として購入し、直後に転売したとしてもユニクロ側は、文句をつけることができない。
実際、販売直後から転売されているようだ。
Jocee:『ユニクロ+Jジルサンダー』が販売開始で売り切れ続出。ゲット&口コミまとめ。高額転売に。再販は?

UNIQLOがある程度人気の高いデザイナーとコラボをして、商品を売り出すことに口をはさむ気はない。
ファッションデザイナー側にとっても、アパレル産業の不況によってスポンサーとなってくれる企業は、ありがたい存在だと思う。
ただ、このようなビジネスによってデザイナー自身のブランド価値は、どうなってしまうのだろう?という気がしている。
ジル・サンダー自身のブランドで展開し、発表しているコレクションを見て、ファンになっている人たちからすると、心境複雑なところがあるのでは?
Fashion Press:ジル・サンダー2021春夏ウィメンズコレクション

昨年あたりから、ファッション業界は「サスティナブル」とか「SDGs」という言葉が、盛んに使われるようになった。
それは生活者に対しても、ファッションに対しての意識変化を求めるモノで、高価なモノはそれなりの品質の良さがあり、大量消費ではなく自分のファッション感性を磨いて、自分らしさの表現のファッションを求めて欲しい、という変化でもあったと理解している。

もちろん、ビジネスとして展開するのだから、当然のこととして「売上・利益」ということが重要視されるはずだが、今回の騒動を見てみると、デザイナー・ジル・サンダーの思いとはかけ離れたものだったのではないだろうか?
そして、ジル・サンダー自身のブランドに影響がなかったのか?という、疑問もある。
ジル・サンダー側は、安っぽい、ファストファッションを提供しているつもりは、決して無かったはずのでは?と、思うからだ。


アツギのSNS炎上は、性差の問題ではなかった?

2020-11-12 19:56:25 | マーケティング

先日エントリをした、アツギの「#ラブタイツ」SNSの炎上について、どうやら「中の人=担当者」が、女性だったようだ。
PRESIDEN on-line:「アツギSNS問題」女性担当でも、ジェンダー炎上してしまうたった一つの理由

この記事を読んで、初めて「中の人=担当者」が女性である、ということを知った。
その前に、イラストレーターへの依頼時に渡した参考イラストが、今回炎上したイラストに近いものであった、という報道もあった。
イラストレーターに対して渡した資料が、今回のイラストに近いものであった、ということになれば、イラストレーター側の問題というよりも、参考資料を渡した側=アツギ側の問題ということになるだろう。
依頼されたイラストレーターは、参考資料を基に制作をするだろうし、参考資料からかけ離れたイラストを提出するとは思えないからだ。

このまでの経緯から、SNSの担当者は男性なのでは?と、勝手に想像していた。
それが女性であった、ということに驚いている。
というのも、女性の場合「自分の気分」というか「感覚」を優先する傾向が強いという経験があるからだ。
その意味では、「女性は客観性に劣る」という指摘がされても、仕方ないのでは?と、感じる場面も多々あった。
もちろん女性だから、このようなイラストを好まない、と言い切れるものではないが、自分が一人の生活者として見た時、どのように感じるのか?という、感覚だけは大事にして欲しかった、というのが私の本音だ。

そしてアツギに限らず、ファッションに関係するモノ全般について言えることだと思うのだが、自分の扱う商品だけを見て広告を考えるべきではない、ということだ。
広告全般に言えることだが、商品をアピールするためにどうしても商品を大きく扱う表現をしてしまう。
確かに「商品をアピールする」という場面では、商品を大きく取り上げ、イメージする購買層よりもチョッと上の生活者イメージのモデルを登場させる、という広告表現が長い間続いていた。
おそらく、今でも自動車や家電などではこのような広告表現がされる傾向があるように感じている。
それは「チョッと背伸びをすれば手に届く、暮らしのイメージ」ということになるだろう。
もっとも今のような社会状況では「チョッと背伸びをすれば...」などという気持ちになれない生活者のほうが、多いのでは?と感じている。

話がズレたが、広告表現において「自社の製品を大きく取り上げる」ということは、特別なことではないという既成概念を担当者をはじめ企業全体が持っていた、ということは十分考えられる。
その結果「ファッションとしてのタイツ」ではなく、「タイツを履いた若い女性(=欲しい購買層)」という広告表現になってしまったのでは?という気がしている。

実は「ファッションとしてのタイツ=レッグファッション」という視点で、広告表現を考えるとなると「タイツ」という小さなファッションアイティムをどのように見せるのか?という、発想もファッションについての勉強も必要になる。
それは女性のタイツだけではなく、もっとビジュアル的に小さな男性のソックスについてもいえることだ。
トレンドカラーを調べ、カラーコーディネートしたタイツの提案や、チェック柄のスカートに同じチェックのタイツを合わせるなど、アイディア次第でどんどんビジュアルイメージが拡がっていくはずなのに、そのような着眼点を持っていなかったという点で、とても残念だと思っている。

ちなみに男性のソックスについてだが、昨今スニーカーソックスと呼ばれる短いソックスを愛用される方が増えてきているが、ビジネスシーンではやはりカジュアル過ぎることになる。
足を組んだ時、生足が見えない丈のソックスを履く方が、スマートに見えるだけではなく、ファッションとしての遊びの表現もできることになる。
本来であれば、このような提案をアツギのSNSでして欲しかった、と感じている。