日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「アビガン」がなかなか承認されない理由を考える

2020-04-30 18:44:41 | アラカルト

インフルエンザ治療薬「アビガン」の、「新型コロナウイルス」感染者に対する治療薬としての期待から、海外80か国近く要請が来ている、というニュースがあった。
産経新聞:「アビガン」80ヵ国近くから要請 茂木外相「ものすごく関心高い」

昨日エントリの中でも「アビガン」については、富士フイルムの子会社である富士フイルム富山化学という会社が製造している、と書いた。
一部では富士フイルムという、新興製薬会社の薬だから承認が遅れているのでは?という、指摘があるようだ。
実際には、「富士フイルム富山化学」という社名になったのは最近のことで、1936年創業の「富山化学」という企業だ。
富士フイルム富山化学:沿革・歴史

「富士フイルム富山化学」という名前は、新興企業のように見えても実績十分な企業である、ということぐらい許認可をする厚労省が知らないはずはない(本当に、知らないのだとしたら厚労省の勉強不足ということになる)。
とすれば、他の理由があるのでは?という気がしてきたのだ。
何故なら、国内承認をしていない薬を海外からの要請という理由だけで、80ヵ国超の国へ提供するということ自体、辻褄が合わないような話だからだ。

とすると、他の理由があるのでは?という気がしたのだ。
それは「イレッサ訴訟」だ。
既に国と製薬企業の責任は予見できなかった、という内容で結審しているはずだが、この「イレッサ」という肺がんの薬を、世界初承認をしたのが日本だったのだ。
その後、投与した患者さんの中には、効果が無いばかりか、間質性肺炎という副作用を起こして亡くなる患者さんが、数多く出たことで、承認取り消しを行うことになった、というがん治療薬でもある。

厚労省が承認を急いだ理由の一つといわれているのが、肺がん患者の急増で、これまでの抗がん剤で効果が上がらない患者さんに投与し、各段に良い治療成績が治験で認められたからだ。
しかし、承認後上述した通り副作用の間質性肺炎で亡くなる患者さんが、数多く出たことでいったん承認取り消しをしている。
その後、肺がんの中でも特定のタイプの患者さんに対して、高い効果があることが分かり再承認される、という経過をたどった薬なのだ。

そのような「苦い経験」がある為、厚労省が「副作用による訴訟」が怖く、なかなか承認に至らないのでは?と、言う気がしている。
もちろん、素人考えなので厚労省の治験継続の理由は、違う可能性は高い。
ただ、厚労省が言い続けている「海外とのドラッグラグ(海外承認済みの薬品を、国内で承認するための時間がかかり過ぎる)は、短くなってきている」という言葉とは裏腹のような、「アビガン」に対する対応のような気がするのだ。

日本のように「副作用が起きてはいけない」という考えが強い国では、国内で開発された薬の承認は、慎重にならざる得ないかもしれない。
「イレッサ訴訟」の時には、製薬企業(アストラゼネカ)と国が訴訟の対象となり、アストラゼネカ側は開発費などの回収が厳しかったという話もあったようだ。
とはいうものの、素人考えとして既に「インフルエンザ治療薬」として承認されているのであれば、「羹に懲りてなますを吹く」ような慎重さは、必要ないような気がするのだが・・・。



日本企業の支援を、国は考えて欲しい

2020-04-29 10:03:58 | ビジネス

昨夜「新型コロナウイルス」の治療薬として、米国の製薬会社・ギリアド・サイエンシス社の「レムデシビル」を特別承認し、治療に使えるようにする。という政府からの発表があった。
時事通信社:「レムデシビル」5月承認へ コロナ治療薬、大幅短縮―「アビガン」治験継続

この報道に、ネットでは「何故アビガンの承認を優先しないのか?」という疑問の書きこみが目立つようになった。
中には「アビガンを製造しているのが、製薬企業としては新興の富士フイルムの子会社だから、政府や省庁との強い関係が無いからでは?」という、指摘をする書き込みもある。

この富士フイルム富山化学がつくっている「アビガン」が、これまでの治験で「新型コロナウイルス」に対して効果が感じられない、というのであれば治験の継続は必要だと思う。
だが、「患者が希望し、医療者が了承すれば使用できる」ということは、「治験」でもフェーズ3(「大規模治験」と呼ばれる保険適用承認が近い)という状況なのでは?という、気がしている。

それに対して、「レムデシビル」は米国やドイツでの承認が下りれば使える、ということは「日本国内治験を飛ばす」ということになる。
今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大では、BCG接種による効果ということも影響しているのでは?という、指摘が一部あるように、日本人とBCG接種をしていない米国とでは「国民として持っている抗体等が、違うのでは?」という、疑問が素人ながら持ってしまう。
もちろん、これほど感染が拡がり「レムデシビル」が有効とされる重篤な患者さんが出るようになれば、使えるようにする必要があるとは思うのだが、一方で「アビガンが有効とされる軽症~中症の時点で、治療をする」という考えもあるはずだ。
そして多くの人は「軽症~中症で治りたい」と思っていると思う。
その違いの説明を、政府はきちんと分かりやすく説明する必要があるのでは?

「新型コロナウイルス」に関しては、長崎大学とキャノンの子会社が共同開発をした「これまでよりもコンパクトで軽量、検査時間も短縮でき高精度」といわれる、PCR検査機器の普及という話も聞いたことが無い。
クラボウの関連会社でも、15分という短時間で検査ができる、「新型コロナウイルス抗体検査試薬」の開発を終えている。あくまでも研究所向けとなっているが、今のような状況であれば研究所のスタッフを指導者として検査現場に派遣してもらい「検査をする」ということも必要なのではないだろうか?
というのも「新型コロナウイルス」の陰性・陽性の検査とともに「抗体検査」を進めることで、「感染拡大」を食い止めることができるのでは?という、期待があるからだ。
まして日本の場合、BCG予防接種が「新型コロナウイルス」に対して、何らかの効果が起きているのでは?という、指摘もあるのだ。
そして昨日、5月中には15分で「新型コロナウイルスの抗原検査ができる」という試薬も製造販売できると「富士レビオ」という企業が発表をしている。
しかも週20万件分のキットが製造販売できる、という。
これまでの検査件数を大幅に増やすことができる、ということになる。

他にも、日本の様々な企業が自前の技術を持って「おしゃれな布マスク」を作り始めている。
にもかかわらず、何故「アベノマスク」は海外に発注をするのだろう?
「アビガン」の扱いにしても、日本の企業の努力を何故積極的に国内で使わないのか?

安倍さんの考えた「新型コロナウイルス」に対する政策は、「経済優先」ということになっているが(本来であれば「感染拡大を抑え込みながら、経済を支える」という政策が当然なはずだが・・・ここでも、安倍さんの経済政策の失敗が分かる)、全く日本国内の企業を支える「経済優先策」にはなっていない。

元々安倍さんの「経済政策」には、多くの疑問があったが、このような社会状況・経済状況だからこそ、国内企業の支援を含んだ「新型コロナウイルス対策」が、必要なのではないだろうか?

 


「共通言語」を持たない人たち

2020-04-28 19:36:25 | 徒然

タイトルをご覧になって「日本語VS外国語」と、思われた方も多いと思う。
「新型コロナウイルス」の感染拡大が、眼に見えて酷くなってから感じていることが、「共通言語」ということだ。
すなわち、「日本語VS日本語」という環境の中で、「同じ理解ができない、齟齬が発生している」という、印象を日々強く思うようになってきた。

先日、女優の岡江久美子さんが「新型コロナウイルス」で亡くなられた、という訃報があった。
訃報と共に岡江さんが「新型コロナウイルス陽性」の診断がされるまでの、経過もわかった。
経過が分かるにつれ、「発熱や倦怠感がありながらも、4日間自宅待機をするように」といわれ、そのままご自宅で療養されている間に、悪化し救急で搬送された先でPCR検査をやっと受けることができ、陽性と判明したという内容だった。
経過内容を見る限り、これまで私たちが新聞やテレビなどのメディアで言われ続けてきた「自宅待機」の経過だった。

ところがこの経過を知った「新型コロナウイルス専門家会議」からは、「このような内容のことは言ってはいない」という、発言が飛び出した。
Business Journal:コロナ専門家会議「”4日様子みて”言っていない」と虚偽説明・・・検査抑制で在宅死亡者増加か

この専門家会議の発言を聞いたとき「専門家と一般市民との間には『共通言語』が無い」と、感じたのだ。
一般市民として、これまでの専門家会議での「新型コロナウイルス」に関する治療の順番と、随分理解が違っていたと思ったし、もし専門家会議の方々が「そのような趣旨ではない」というのであれば、「言葉の認識・理解が大きく違っていた」ということになる。

確かに、医療者の使う言葉には「専門用語」等が多く、一般市民には理解しがたい言葉が多い。
だが今回の話には「専門用語」等は無く、一見すると平易な分かりやすい言葉が使われているように思っていた。
しかし、それは違っていたようだ。

同様の言葉を使う方々が、最近多くなってきた。
その代表的な人は、安倍首相だ。
昨年は「ごはん論法」という名前までついた、詭弁とは言い難い言い訳のように聞こえるのだが、ご本人はいたって真面目に「そのような趣旨では言ってはいない」と、こちらの理解が間違っているかのような発言を繰り返しされている。
それは日本の政治を支えている(といわれている)、官僚といわれる人たちも同様だ。
幻冬舎PULS:「ごはん論法」「きな粉持ち論法」を日常で使ったらただの無能者

互いに日本語を使っているはずだが、これほど「理解が違う」という経験は、過去ほとんどなかった。
一般市民と共通言語を持たない方々には、このGW中に一般市民の使う言葉の使い方を十分理解し、GW明け以降は是非とも「共通理解ができる言葉」を使ってほしい、と願っている。


「Stay Home」で気をつけたいこと

2020-04-27 18:40:49 | ライフスタイル

「緊急事態宣言」が発令されたことで、一部の企業では先週の24日ごろからGW明けの5月6日までの12日間という、長いGWとなったようだ。
確か昨年は10連休ということで「超大型連休」といわれたような気がするのだが、昨年と大きな違いは「遠出や旅行に行けない」ということだろう。

また、「緊急事態宣言」によって「テレワーク・リモートワーク」と呼ばれる「在宅ワーク」で仕事をする人達が、ある日突然増加した。
これまで「在宅ワーク」をしていた人達は、「在宅で仕事をする生活リズム」のようなものができている。
しかし「ある日突然在ワーク」になってしまった人たちは、「生活リズム」が大きく崩れるということになる。
「生活リズム」が崩れることによって、ある健康問題もクローズアップされるようになってきている、という指摘がある。

中でも問題だと言われるのが、「ストロング系」と呼ばれる、アルコール飲料による「昼飲み習慣」だと言われている。
先日、FM番組を聞いていたら「緊急事態宣言」により「テレワーク・リモートワーク」が、勧められるようになった頃から、お酒を扱っているスーパーやディスカウント酒店など棚で売れているのが、この「ストロング系」と呼ばれるアルコール飲料である、という話があり、結果として今ではなく「新型コロナウイルス」が終息の目途が立ち始めた頃、急激に「アルコール依存症」という社会的問題が起きるのでは?という、指摘がされていたのだった。

「ストロング系」と呼ばれるアルコール飲料が、もてはやされるようになった社会背景には「缶酎ハイ1本で、酔える」という「手軽に安価に酔える」という点だった。
いくら「アベノミクス」で景気が良い、と国が言ったところで景気実感がない生活者にとっては、この「手軽・安価+酔える」という商品コンセプトが受け入れられたのだった。
飲み口も、フルーツの味が強く感じられる為、「アルコール度数9%」ということを忘れて、グイグイと飲んでしまう、といわれている。

そのため「ストロング系」と呼ばれ、るアルコール飲料による「アルコール依存症」の指摘は専門家からは、過去何度が指摘されていたようだ。
BuzzFeed News:ストロング系チューハイに薬物依存研究の第一人者が物申す「違法薬物でもこんなに乱れることはありません」

タイトルとして誤解を生みやすいような気がしない訳でもないのだが、「アルコール飲料だから大丈夫」という認識いると大きな間違いである!という、警告と考えるべきだろう。
元々問題があるうえに、今のような「出かけられず、これまでの生活リズムが崩れた」という、状況では「昼飲みアルコール」として「ストロング系」と呼ばれるアルコール飲料を飲むことが、体だけではなく精神的にも良くない、ということだ。

1日も早い「新型コロナウイルス」の終息を願うばかりだが、終息したら「アルコール依存症が急増していた」では、話しにならない。
自分なりの「生活リズム」を模索しつつ、出かけられないストレスを上手に発散する方法を見つけるのが、今年のGWの過ごし方トレンドなのかもしれない。


エンターテイメント業界の支援の為の基金設立の必要性

2020-04-25 12:12:54 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに北海道庁が、エンタメ業界に支援金を出す、という記事があった。
北海道新聞:エンタメ業界に25万円 道が一律給付へ 新型コロナ

この記事を読んで、気になったことがある。
3月中旬に一般社団法人コンサートプロモーターズ協会が、超党派議員に対して「新型コロナウイルスの感染拡大」に伴い要望書を提出している。
一般社団法人コンサートプロモーターズ協会プレスリリース(pdfファイル):
            「新型コロナウイルスからライブ・エンタテイメントを守る超党派議員の会に要望書を提出」

要望書を提出して1ヵ月。
この間にも様々なコンサートやライブが、次々と中止になっている。
中止ではなく延期を決めたコンサートなどもあるが、その延期となった公演がいつ行われるのか、まったく分からないという状況だ。
にもかかわらず、この分野の支援対策は、進んでいないように感じている。

今回のような感染症だけではなく、震災などによってもコンサートやライブは中止・延期になりやすい。
その理由は、拙ブログで過去何度か指摘させていただいている通り、「マズローの欲求の階層」の中では「上層」にある欲求であり、下層にある「生きるための安心や安全」が確保されてから起きる欲求だからだ。
しかし、コンサートやライブ、そのほかのエンタテイメントに関わる人達は、舞台に立つ人達よりも遥かに多く、その人達にも「生活があり、そのための安心や安全の確保」が、必要であることには変わりない。

ドイツ政府支援策には、中小零細企業を対象にした経済支援の中に、エンタテイメントの分野も含まれている。
ドイツ連邦共和国大使館総領事館:新型コロナウイルス ドイツ政府の経済支援対策 ドイツ外務省

欧州の他の国々も、エンタテイメントやアートの分野に対して、支援を次々と発表している。
美術手帳:1兆円の拠出も。新型コロナでイギリスやドイツなど各国が文化支援を続々発表。「誰も失望させない」

政府が積極的に支援をするだけではなく、イギリスの「アーツ・カウンシル・イングランド」のように、政府支援ではない振興評議会が積極的に関わっているという例もある。
もちろん日本でも「独立行政法人日本芸術文化振興会」という団体がある。
ただ残念ながら、対象としている「芸術文化」は歌舞伎や能などの伝統芸能といわれるものに限られているようなのだ。
今生活者の中心にあるエンタテイメントの支援は対象としていない(ように思える)。

日本政府の文化事業に対する扱いの軽さを考えると、今現在ある「独立行政法人日本芸術文化振興会」にプラスアルファというカタチでも良いので、音楽ジャンルを超えたファンや伝統芸能、大衆芸能を生活者が支えるという仕組みが、必要なのではないだろうか?

何故なら、新型コロナウイルスで危機に陥っている、エンタテイメントの衰退を実感するのは数年後で、その時に気づいても手遅れなのだから。


「アベノマスク」のイメージダウンは、安倍さんだけではなさそうだ

2020-04-24 20:18:12 | ビジネス

今週から東京で配布が開始された「アベノマスク」。
配布直後から「不良品」の指摘が、後を絶たない。
その内容は「髪の毛や虫が入っていた」というものから「マスクが黒ずんでいた」あるいは「黄ばんでいた」というものまで、実に様々だ。

あまりにも不良品の報告が多い為、既に配布されていた(?)妊婦さん向けのマスクは配布を一時停止にする、ということになった。
NHKニュース:妊婦向け布マスク配布を一時停止 一部に不良品 加藤厚労相

この妊婦さん用の布マスクが配布された頃から、製造が海外なので粗悪品なのでは?という、指摘がされていた。
今回の「アベノマスク」についてはともかく、今やアパレルに関していえば日本国内で製造されたものそのものを、購入しようと思えば、それなりの高額なものになってしまう。
ユニクロや一般通販で販売されているアパレルの多くは、今回指摘がされているミャンマーやベトナム、カンボジアといった国々で作られているモノが増えてきている。
「中国では?」と思われる方もいらっしゃるとは思うのだが、中国での人件費の値上がりにより、日本のアパレルメーカーは中国から中国以外の東南アジアの国々へと生産拠点を変えている。

だからといって東南アジアで作られたアパレル商品の質がのか?といえば、決してそのようなことは無い。
何故なら、日本から技術者が派遣され、技術指導に当たっているだけではなく、商品チェックも東南アジア諸国で問題無しの雑さ加減でも、日本では不良品として扱っているからだ。
とすると、今回の「アベノマスク」では、そのような商品チェックがされていなかったのか?という、ことになる。
「チェック体制が甘い=不良品が納品されやすい」ということぐらい、商社である伊藤忠や医薬品だけではなくマスクなども扱っている興和が、分からなかったのだろうか?

確かに今回の「アベノマスク」の全戸配布については、準備不足感は否めない。
いくら急ごしらえのマスクだとしても、不思議なほど「不良品」の数が、多すぎるくらいに出てしまっている。
このような事態が起きれば、これらのマスクを納入している興和や伊藤忠にとって、どれだけのイメージダウンになるのか?ということは、最初からわかっていたはずだ。
何故なら、伊藤忠は日本だけではなく海外でもビジネスを展開しているし、興和は医薬品や衛生用品の製造メーカーという立場がある。
伊藤忠のように、海外生産についてのノウハウがある企業がなぜ?医薬品や衛生用品を製造している興和がなぜ?と、思う方も多いだろうし、今回のことによってこの2社に対する信頼が薄れてしまった、ということもまた事実だろう。
日経新聞:未配布の布マスク全量回収 不良品問題で伊藤忠・興和

これから先、国内で厳重な検品を行う、といったところで、「今までは、何をしていたの?」ということになる。
再度製造し直すのであれば、サイズから見直し「使える布マスク」にする必要もあるだろう。
そして、今回の不良品回収によって発生する費用は、どうなるのだろう?
もちろん、不良品を製造したという点では伊藤忠や興和の責任となるはずだが、原資となっているのは税金であることには変わりない。

このような状況であるにもかかわらず、全戸配布を一旦中止にすることなく配布を続ける、というのも解せない。
安倍さんをはじめ政府が、意固地になってしまっているような印象だ。
これほど「問題が噴出した案件」であれば、一度立ち止まり考え直し、違うことを考える、ということをすべきではないだろうか?
これ以上のイメージダウンを避ける為にも。


今の検査システムで良いのだろうか?ーPCR検査ー

2020-04-23 20:29:43 | アラカルト

女優の岡江久美子さんが、「新型コロナウイルス」による肺炎で亡くなられた。
志村けんさんが亡くなられた時も、大きな衝撃を社会に与えたが、同性としてまた同世代に近い岡江さんの訃報は、志村さんとは違う衝撃を受けた。

報道によると、岡江さんは「新型コロナウイルス」の感染検査を、なかなか受けさせてもらえる状況ではなかったようだ。
いわゆる「4日間自宅で様子を見てください」という、マニュアルに従い自宅で過ごし、状態が良くないので検査を受け「陽性」ということが判明し、その3日後、容態が急変した、ということのようだ。

以前からなんとなく感じていたのだが、「新型コロナウイルス感染検査」の窓口が、なぜ保健所なのだろう?
保健所の職員さんは、医療者ではない。
医療者ではないので、問い合わせに対して的確なアドバイスができるわけではない。
これは保健所の職員が悪いのではない。
元々専門知識を持っている方々ではないのだから。
とすれば、やはり専門家である医療者による窓口に、すべきではないだろうか?

イタリアで「新型コロナウイルス」が、急速に感染拡大をしたころ、WHOは「1に検査、2に検査、3,4も検査、5も検査」と、PCR検査の重要性を訴えていた。
確かに、WHOの「感染拡大」に対しての対応の遅れなどは否めないが、だからといってWHOから出されるメッセージを「信用ならない」と、決めつけてしまうのは良くない。
実際、積極的に検査を進めることで、「感染拡大」はしていても「死亡者数」を押さえることができているのであれば、それは検査による効果があった、と判断すべきだろう。

大切なことは「感染者数を少なくする」ということではなく、「(新型コロナウイルスによる)死亡者数を減らす」ということなのだ。
この「目的」を忘れてしまうと、その後のシステム運営だけではなく、市民に対する「警告的メッセージ」も、伝わらなくなってしまう。

確かに今の日本は「感染者数」も「死亡者数」も、諸外国に比べ多いという状況ではない。
だが、今の検査体制で今後もこのような状況が続くのか?というと、疑問な点がある。
その理由の一つが、「死亡原因が分からない(とされていた)突然死」の内、ある一定数の死者は「新型コロナウイルス」による肺炎であった、ということが分かってきたからだ。
この亡くなられた方々は、検査を受けることなく、自分がどんな病気であったのか?ということも分からずに、亡くなった方々だ。
何より「新型コロナウイルス」で亡くなられた方のご遺体はご遺族に見守られることなく、火葬されるほど厳重である必要があるにもかかわらず、このようなカタチで亡くなられた方のご遺体は、「死亡原因不明」ということで一般的な対応で終わっている。
ということは、このご遺体に関わったか方もまた感染しているかもしれない、というリスクを負ってしまっている、ということになる。

また、無症状であっても陽性者がいる、ということもわかってきている。
テレ朝ニュース:無症状でも約6%が陽性 慶応病院のPCR検査

とすると「無症状≠感染していない」ということになる。
既に「保健所」での検査受け入れは、限界がきていると思う。
とすると、早急に「検査システム」を変え、より多くの「陽性者=感染者」を見つけることで、死亡者数を減らすという方向に変える時期なのではないだろうか?
それが、多くの人の命を守ることになるのでは?と、考えている。


「危機管理のお手本」‐台湾とドイツ‐

2020-04-22 14:51:40 | ビジネス

日経ビジネスに興味深い記事が掲載されていた。
日経ビジネス:新型コロナ最悪シナリオを8年前に想定したドイツの危機管理

記事を読むと、2002年に中国南部の広東省から感染が始まった「SARS」及び「SARSの変異型」を想定した、「危機管理マニュアル」のようなものをドイツでは作成していたようだ。
それから少しづつ準備をしていたのだろうか?人工呼吸器付きのICUの病床数が2万5千床あったという。
10万人当たりのICUの病床が、約30床ある。
日本に至っては、なんと5床しかない。おそらく都市部ではもっとあるとは思うのだが、地方に行けば行くほどICUなどの設備が無い病院が多いということだろう。
その点では、病院設備における「地域格差」がある、ということになる。

話はそれたが、これだけの用意をしていながらドイツでは感染者数も死亡者数の決して少ないわけではない。
ただPCR検査の実施数などを見る限りでは、「グレーの感染者も検査する」ことで「新たな感染者を把握し、症状によって振り分け、患者と病院の負担を減らす」ということをしていたようだ。
日本のように「グレーかもしれない」という患者さんが、不安におびえながら自宅待機をしている状況とは、大きく違う。
最初に「保健所」を指定したことで、「グレーかもしれない人」までの対応ができず、逆にある程度の症状が発症してからの対応になるため、今度は病院での感染拡大リスクが増えている、という可能性もあるのではないだろうか?
何より、このような対応になれていない「保健所」の方たちにとっては、肉体的にも精神的にも負担が多い、という状況になっているような気がするのだ。

また、これだけの事前準備があったために、「緊急支出」するお金を病院設備などではなく、他の社会保障や様々な業種への支援金の表明ができたのでは?という気がしている。

「新型コロナウイルス」に対する「危機管理」という点では、やはり台湾を上げなくてはならないだろう。
台湾も「SRAS」の感染によって、事前に「感染症拡大防止策」が練られていた、といわれている。
その効果は、感染拡大する国が増えていく中で、感染者数だけではなく死亡者数なども諸外国に比べ、圧倒的に少ない。
台湾の場合は、「中国で肺炎で亡くなる人が増えている」という情報が出始めた頃に、中国からの入国を禁止し中国への出国も禁止したように記憶している。

台湾の場合は「いかに国に感染発症国から入国させないか」ということに力点を置き、初期段階での感染拡大を封じ込める、という方法を取った。
他にも、市民がパニックにならないように「マスク」等の販売に規制をかけると同時に、買いやすいようにネット上で「マスク情報」を提供する等、市民が「新型コロナウイルス」による不安感を取り除く、ということい力点を置いていた。
中国が感染源だと分かっても、なかなか「感染ルートを断ち切る」という決断はしにくい。
「政治的対立がある」といっても、経済という面では往来があっただろうし、元々は「一つの民族」という考えを持っている市民も少なからずいるはずだ。
そのような複雑な背景がありながらも、「感染ルートを断ち切る」という決断は、相当勇気のいることだったはずだ。
逆に言えば「SRAS」の時の反省から、初期対応を徹底することで「感染拡大」を防ぐことに成功した、ということになるだろう。

「危機管理」という言葉は、何気なく使われることばだが、ドイツのように長い時間をかけ「準備をする」ことで、「危機的状況」になった時、支援を一番必要としている人に素早く対応し支援することも「危機管理」の一つだろうし、台湾のように「初期段階による危機管理」という考え方もある。
ドイツと台湾の「危機管理」には、学ぶべき点は多いように感じる。


GWはお出かけをせず、「おうちグルメ」を楽しもう!

2020-04-20 14:15:51 | ビジネス

「新型コロナウイルス」による「不急不要な外出自粛」は、GWまでとなっている。
とはいうものの、既に「外出自粛」で、出かけたくなっている人もいるだろう。
「自粛」はあくまでも「お願い」なので、「少しくらい息抜きで出かけても・・・」という気分になる方の気持ちも分からない訳ではないが、やはりこれ以上感染拡大となれば、今以上の「行動規制」がされることになるだろうし、学校再開なども遅れる可能性は高い。
そうなれば、ますます「生活がしにくくなる」ということだけは、心にとどめておくべきだろう。

常々思っているのだが、日本人は「長期の休み」はどこかに出かけなくてはいけない!という、固定観念のようなモノに縛られているようなきがするときがある。
「故郷に帰り、孫の元気な姿を親に見せたい」という、気持ちで帰省される方もいらっしゃるだろうが、単に「長期の休みだから、家族旅行に行くのが当たり前」だと思っている方のほうが多いのでは?
「家に閉じこもっていると、家事や子供の世話をするのが大変」ということもあるとは思うのだが、「長期の休み(といっても1週間程度)は、出かけるのが当然」という刷り込みが、されているような気がする時がある。

「自粛」で「お出かけができない」のなら、「おうちグルメ」を楽しむという方法がある。
以前拙ブログでも紹介しているが、今回の「自粛」により多くの飲食店や百貨店が休業することになった。
そのため、生産者の人たちは出荷先が無くなったり、取引先が倒産したりと大変な思いをしている。
そのような生産者をサポートしよう!とするサイトが、ネット上にいくつも立ち上がっている。
札幌商工会議所の「新型コロナ」経済対策掲示板『緊急在庫処分SOS』
他にもFacebookでは「コロナ支援・訳アリ商品情報 ご縁結び救済」
食べチョク」というECサイトもある。

上記のようなサイトを家族で見ながら、「アレがいいね。これが美味しそう」等と話すことも、家族団らんの楽しみになるだろうし、購入した商品が届き箱を開けた時の楽しみ、食べた時の美味しさ・・・このような、一つ一つが「自粛」という時だからこそ、家族で楽しめる機会なのではないだろうか?
尚且つ、「食品ロス」を減らし、「新型コロナウイルス」で大変な思いをしている生産者をサポートすることができる。
これは近江商人の言う「三方良し」の考え方の近いと思うのだ。

発想を変え、視点を少しズラすだけで、GWの楽しみ方も変わってくるのではないだろうか?


「新型コロナウイルス」が変える?、国と地方自治の力関係

2020-04-19 14:21:41 | アラカルト

「新型コロナウイルス」の感染拡大により、全国を対象に「緊急事態宣言」が発令された。
その結果、とても静かな週末となったのだが、この状況がGW明けまで続く。
このような状況の中で、安倍首相の支持の低下が目立ってきたようだ。
代わりに急上昇中なのが、大阪府知事の吉村洋文さんだ。

吉村府知事が注目されるのには訳がある。
それは「新型コロナウイルス」に対する、対応がとにかく早いからだ。
早いだけではない。
府民に対する発信力もある。
素早い行動力と力強い発信力、メッセージ力があることで、感染者数が減少している状況ではなくても、府民の方々が「吉村さんの言うことなら」と、支持をするようになってきているように感じるのだ。

それはSNSなどにも見受けられる。
「#吉村寝ろ」というのは、不眠不休で対策に奔走されている姿から出てきた、吉村さんを案じる「#」だ。
一方同じ「寝ろ」でも、愛知県知事の大村さんにつけられた「#大村寝ろ」は、(仕事をキチンとしないなら)「寝ていろ!」という、冷ややかな「#」だ。

東京都知事の小池さんも、「新型コロナウイルス」の対応については、政府がもたついている間に様々なメッセージを積極的に発信している。
この一連の発信力が、小池さんに対する支持を増やしているように感じている。

実は今回の「新型コロナウイルス」の感染拡大によって、政府の後手後手対策に対して、地方自治体の首長さんたちの積極的な行動が目立つようになってきているように感じるのだ。
おそらく、生活者と近い関係にある地方自治体の首長さんたちと、政府とで「危機感に対する温度差」のようなモノがあるのでは?という、気がしている。
生活者に近ければ近いほど、生活者が「今抱えている問題」が把握しやすい、ということはあるだろう。
ただ、それ以上の活躍をし、生活者に寄り添う姿勢を見せているのが、大阪府知事の吉村さんなのだ。

このような「有事」の時には、政府の動きが遅くなるのはある意味、仕方がないのかもしれない。
何故なら「関係する省庁が多すぎて、調整をする為の時間」が、必要となるからだ。
それに対して、地方自治においては首長さんの意思や考えで、組織全体を動かすことができる。
何より、上述した通り「生活者の姿」が見えるのが、地方自治体であり、「生活者の姿」が見えにくいのが政府だからだ。

地方自治体の首長さんが、裁量範囲で積極的に対策をとればとるほど、政府の動きの遅さが目立つようになってしまう。
とすれば、「政府の持っている裁量を地方自治体へ移せ」という議論が、これから先出てくるかもしれない。
それはとりもなおさず、頓挫した感のある「道州制」議論の復活、ということになるだろう。

もちろん、全国に大阪府知事のような人材が、いるわけではない。
ただ「新型コロナウイルス」の感染拡大により、「地方自治の裁量」を増やし、その地域にあった政策をしやすくなる議論が出てくるかもしれない。
むしろそのような議論が出てきてほしい。

「国民一人当たり10万円」という給付金などは国レベルでの話だが、「マスクの供給方法」や「医療者への手厚い支援」等は、現場に近い地方自治体が行ったほうがスピード感がある対応ができるのではないだろうか?
安倍さんは今回の「新型コロナウイルス対策」について、何度も「スピード感」という言葉を口にしたが、受け手となる生活者は「スピード感ね~???」という、感じだったはずだ。
その感覚の違いは「生活者に近い感覚を持っているのか?否か?」という部分が大きいと思う。
とすれば「スピード感」のある対策は、やはり地方自治の首長に任せる方が、良いのではないだろうか?