毎日新聞に「新型コロナによる景気後退は、リーマンショックを超える」という、内容の記事があった。
毎日新聞:政府の20年度成長率見通し、マイナス4.5% 大幅下方修正で「リーマン」超え
今回の「新型コロナウイルス」の世界的感染拡大により、世界経済が大きく後退しているのはご存じの通りだ。
世界経済が大きく後退した要因の一つは、ウイルス感染拡大防止の為に、人の行動の制限やビジネスの縮小を行わざる得なかったからだ。
その中でも大打撃を受けたのは、「3密」という「感染しやすい環境」を作りやすいエンターテイメント業界や「不要不急」と考えられたアパレルを中心とした小売り業界だった。
そもそも、このような社会的雰囲気の中では、新しい服を買ったり、楽しいエンターテイメントを見に出かける気分にはなれない、という方も多かったのではないだろうか?
景気後退の比較として取り上げられている「リーマンショック」の場合、その原因となったのは「お金がない人に無理やりお金を貸し付けたり、住宅ローンを組ませ住宅購入をさせた」という、企業側の「歪んだ自己利益追求」に端を発していた。
そのため、このような業界とはさほど関係のない人たちにとっては、「景気後退感」はあってもどこか他人事のような感覚もあったような気がしている。
このような「景気後退」の原因が違うものを並べられても、「景気後退理由」が全く違う為に必要とされる対策は、全く違うモノになるはずだ。
「リーマンショック」の場合は、歪んだ自己益追求をした結果だったので、米国では関連企業のトップが公聴会に呼ばれ、責任を追及された。
「余波が日本にも影響した」という点では、「リーマンショック」は企業の経営健全化ができれば、長期的景気後退とはならなかったはずだ。
それに対して今回の「新型コロナ」による景気後退は、感染症である「新型コロナ」の感染拡大が終息しなくては、経済の立て直しなどできない。
確かに一部の製薬企業などは、治療薬の開発やワクチンの開発などへの期待感から株価が上昇する、ということはあるが、生活者の消費マインドそのものが大きく後退していることを考えれば、「景気対策=感染拡大防止+治療薬やワクチンの開発・使用」ということになる。
「リーマンショック」のような、ある特定の企業だけの問題ではない、ということなのだ。
確かに「景気指標」を表す数字だけを見れば、「リーマンショックを超える景気後退」ということになるが、その数字だけを見て「景気後退」という一部分だけを見ると、「景気対策」そのものを見誤る危険がある。
何よりも、今政府が始めている「Go Toキャンペーン」等は、キャンペーン開始時期が違う!という生活者からの指摘が多々ある(その指摘は、とても的を得ていると思う)。
にもかかわらず、キャンペーンを展開してしまうのは「景気後退策」という言葉でしか、「新型コロナ」に対する経済対策を考えていないからだろう。
多くの人が指摘しているように「新型コロナが終息するまでの、中小企業に対する経済支援策」のほうが、雇用という点を含めても効果的な対策だと思う。
しかし、先日も政府は「布マスク8000万枚配布」ということを言いだしたりしていることを考えると、状況分析どころか、その問題の本質すら理解していないような気がしてきた。
このような状況だからこそ、ビジネスパーソンは「問題の要因と分析、状況分析と判断」を、しっかりする必要があると思うのだ。