大晦日になりました。
本年もありがとうございました。
今年、一緒に仕事をさせていただいた方の訃報が、重なりました。
「そのような年齢になった」といえば確かにそうですが、一緒に仕事をさせていただいた方、仕事のご指導を頂いた方の訃報というのは、やはりショックな出来事でした。
亡くなられた時期が重なったこともあり、思いのほか精神的疲労を伴うものだ、ということを実感した年でもあります。
さて、FM番組に「感じて漢字の世界」という10分足らずの番組がある。
「白川文字学」などから、漢字の成り立ちなどを解説し、解説の内容から「漢字」のイメージを膨らませ一つの物語を作る、という構成の番組なのだが、今回は来年の干支から「猪」という漢字が取り上げられていた。
「猪」から思い浮かぶ「猪突猛進」という言葉とは裏腹に、「猪」という漢字には「肉がたっぷりと充実した動物」という意味が含まれているらしい(以下、番組のスクリプト)
「感じて・・・、漢字の世界」。
今日の漢字は「猪」。
新しい年の干支にあてはめられた動物の漢字をひもときます。
「猪」という漢字はけものへんに「者」と書きます。
けものへんは「犬」という漢字が変形してできた部首で、
おもに、犬に似た動物や野性的な行動などを
意味する漢字に使われます。
一方の「者」という漢字にはいくつかの意味がありますが、
「猪」という字に使う場合は、
多くのものが集まっている様子や
充実している状態を表しているといいます。
つまり、けものへんに「者」と書く「猪」は、
肉がたっぷりと充実した動物、という意味をもつのです。
猪と日本人の関わりは縄文時代にさかのぼります。
いにしえの人々は、クマ、シカなどと並んで、
イノシシを主要な狩猟の対象としていました。
縄文時代から今にいたるまで、食用として親しまれてきた猪の肉。
仏教伝来の折、獣の肉を食べることが禁じられたものの、
人々は隠語を使い、隠れて獣の肉を手に入れて
味わっていたといいます。
イノシシそのものは「山鯨」、その赤身の肉は「ぼたん」。
ぼたん鍋を出す料理店では、
肉を牡丹の花のように飾り付けた大皿が出されます。
ともに煮込むのはダイコン、ニンジン、ゴボウ、セリ。
少し濃いめの味噌仕立ての汁で、ゆっくり煮込んでいただきます。
甘味のある脂身の肉は、冬の味覚にぴったりです。
いにしえの人々もまた、
捕まえてきたイノシシを、煮込んで食べていました。
群馬県の神保植松(じんぼうえまつ)遺跡には、
イノシシの顔が縁に飾られた土器が発掘されています。
男たちが仕留めてさばいたイノシシの肉と、
女たちが摘んできた山菜や野草、子どもたちが運んできた清流の水。
まとめて土器に入れてじっくり煮こんで、家族で囲む寒い夜。
三千年のときを経ても、幸福な日の風景は今と同じです。
「十二支」は古代中国・殷の時代から使われてきた暦のひとつ。
季節の巡りと再生を文字に置き換えて覚えやすくした、
十二の動物です。
「亥年(いどし)」、イノシシの年は一番最後、
十二番目にあたり、万物が再生するための「核」を象徴しています。
それは、生命の力が種子の中に閉じ込められている状態。
中国の暦において亥年とは、
命が芽生えるその手前、準備の時期にあたるのです。
「猪突猛進」もいいけれど、
地に足をつけて学ぼう、誰かとじっくり話をしよう。
充実した心と身体で、新しい自分に生まれ変わるその日まで。
このスプリクトにあるように、来年は充実した心と身体で、地に足をつけ学び、コミュニケーションが必要な年になるかもしれません。
何故なら、AIにできないことは言語化できない人の気持ちを汲み取ることだから。
年末寒波で、全国的に寒い大晦日のようです。
心だけは温かく、新しい年をお迎えください。
本年もありがとうございました。