日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

イオン銀行が仕掛ける、新しい「システム」

2015-12-31 21:00:16 | ビジネス

昨日、時事通信が「イオン銀行が、邦銀で初めて指紋認証のできるATMを実証試験として導入する」という、記事を掲載していた。
NHKでも、同様のニュースを流していたようなので、ご覧になられた方も多いかもしれない。
NHKニュース:指紋認証だけでATMの利用可能に イオン銀行

このニュースを聞いたとき、イオンが金融業界に揺さぶりをかけてきたように感じたコトと、発想が従来の銀行とは違う目線だな、という気がした。

ご存じのように、イオン銀行そのものは流通最大手のイオンが運営している銀行だが、市中に普通の銀行のように支店を設けているわけではない。いわゆる「ネット銀行」だ。もちろん、一部のイオンモールなどには「イオン銀行支店」があるようだが、基本的には「ネット銀行」だと考えるほうが良いだろう。

しかし、案外「イオン銀行」のATMを利用されている方は、多いのではないだろうか?
というのも名古屋の地下鉄など周辺には、「イオン銀行ATM」が設置されている所が多いからだ。
地下鉄を利用していると、案外この「イオン銀行ATM」を、利用されている方の姿を見かけるからだ。
その理由は、ATM利用提携銀行の数が多いコト。
東京三菱UFJ銀行などは、利用手数料が無料だ。
地下鉄駅周辺に設置されているのは、名古屋だけかもしれないが「ATM利用提携銀行」の数が多いというのは、利用者にとって便利であるコトには変わりないだろう。

そんな利便性を重視して、ATMを各所に設置している「イオン銀行」が、指紋認証によって利用できるようにする、というのは利用者側にとって、様々なメリットが考えられる。
一番のメリットは、記事にもある通り「災害時にお金を引き出しやすくなる」という点だろう。
東日本大震災をはじめ、今年の夏鬼怒川の堤防決壊などの自然災害(一部人災もあるとは思うが)により、着の身着のまま避難をしなくてはならない、ということがある。
と同時に、銀行そのもののが業務停止という状況に追い込まれるコトもある。
そのような場合、いくら銀行にお金を預け入れていてもいざという時に引き出すことができない、ということが起きてくる。
東日本大震災を教訓として、大垣共立銀行などはいち早く「指紋認証によるATM利用」ということを始めた(大垣共立銀行の場合、この「指紋認証ATM」のほかに「災害時車両を利用した移動ATMサービス」実施も発表)のだが、地方銀行ということもありこの東海圏では話題になることはあっても、全国的な話題になるコトはなかった(ように思う)。

もう一つのメリットは、「オレオレ詐欺」のような犯罪防止という点でも、「指紋認証」は役立つかもしれない。
というのも、口座開設時に指紋登録をする必要があるため、「出し子」と呼ばれるようなキャッシュカード1枚でお金を引き出すコトそのものが、難しくなるからだ。
口座開設時に指紋認証登録をし、その指紋を使ってATMからお金を引き出すというのは、リスクの高い犯罪だと思う。いくら使い走りの「出し子」であっても、そのようなリスクを負うだろうか?

このようなメリットを、提携銀行に強く言うことでイオン銀行が銀行のシステムそのものを変えていくコトが、できるかもしれない・・・と思ったのだ。
もちろん、今の指紋認証システムがどれほど高い精度を持っているのか?という点は不明だが、「新しい(社会)システムを創っていく」という、第一歩として考えれば、大きな一歩だと思う。

流通最大手が仕掛ける、新しい金融システム。果たしてどれだけの利用提携銀行が動くのだろうか?
そして、流通が銀行を飲み込むということが起きるのだろうか?

今年も1年、ありがとうございました。
皆さま、良いお年をお迎えください。
来年もよろしくお願いいたします。





文化の違い?施設の違い?スターウォーズVS妖怪ウォッチ

2015-12-30 18:01:40 | アラカルト

12月18日公開された、2つの映画の興行収入などについて、話題になっている。
話題となっている映画というのは、ご存じ「スターウォーズ」と「妖怪ウォッチ」だ。

「スターウォーズ」は、全世界で大ヒット中。
当然興行収入も、前作を大きく上回る勢いらしい。
その「スターウォーズ」よりもヒットしている映画が、「妖怪ウォッチ」だ。
この現象そのものは、日本に限定される状況のようなので、世界での興行収入で考えればスターウォーズの圧勝、ということになると思う。

今回の「スターウォーズ」が「妖怪ウォッチ」に負けた?理由として、様々な指摘がされている。
その多くが「妖怪ウォッチ」が、ファミリー客を獲得した、という指摘がある。
「スターウォーズ」そのものが、第一作が制作されてからすでに40年近くなっている。
その後シリーズ化され、数年おき~10年位の間隔で制作されてきているのだが、第一作を初回公開当時見た人の多くは、50代になっているはずだ。
それに比べ「妖怪ウォッチ」は、今現在テレビ放送もされており、小学生を中心に人気がある。
上記指摘の通り、親子連れの観客が中心だろう。

それだけの理由だろうか?
例えば、地方に行くと映画館ではなく「シネマコンプレックス」という形態で、映画を見るコトが多くなる。
その「シネマコンプレックス」の多くは、イオンモールなどに併設されていることが多い。
映画を見に行く!気満々で、映画を見に行くというよりも、イオンに買い物に行くついでに子供の一緒に「妖怪ウォッチ」を見る、というケースも案外多いのではないだろうか?
失礼な言い方だが、お父さんが子供の相手に「妖怪ウォッチ」を見ている間に、お母さんが買い物をしている・・・ということだ。
一方、同じ「シネマコンプレックス」で上映されているても、「スターウォーズ」の場合は、最初から「スターウォーズ」を目的として、シネマコンプレックスに来ているのではないだろうか?

海外の場合、日本のような「シネマコンプレックス」が一般的なのか?ということはわからないが、「映画を観る」ことそのものが、大人を対象とした造りとなっていて、子供が見に行きやすいという雰囲気ではないのでは?
もちろん一昨年大ヒットしたディズニー映画「アナと雪の女王」のように、世界的に大ヒットした映画はある。
ただ「映画を観る」ということそのものが、大人を対象としたモノだとすれば、日本のようなケースは珍しい現象なのではないだろうか?

そのような違いが興行収入や観客動員数に、反映されているのでは?という、気がしたのだ。


「1DAY自動車保険」というニーズ

2015-12-28 19:13:52 | マーケティング

近所のコンビニの前を通ったら「1DAY自動車保険 500円」という、幟がはためいていた。
なるほど、このような需要があったのか?!と、感心した。

毎朝聞いているFM番組のラジオCMに、以下のような内容のものがある。
「私の1週間は、日曜日ドライブか買い物。月曜日から金曜日は車庫。土曜日買い物か車庫」という内容のラジオCM。
お分かりだと思うのだが、この「私」というのは自家用車のこと。
通勤などで、毎日自動車を使われる方がいる反面、上述したような週末だけしか使わない、という方も多いだろう。
特に都市部では、公共交通機関が十二分に整備されているので、自家用車を持っていても週末くらいしか運転をしない。週末だけでも運転をすればよいほうで、月のうち数えるほどしか運転をしない、という方もいらっしゃるだろう。

そのようなドライバーを意識して、「走行距離に応じた保険料」を謳う自動車保険が10年くらい前から登場している。
主に、ネット通販の自動車保険のようだが、ほとんど運転をしないのに以前からあるような自動車保険に対して、不満がある契約者がいてもおかしくはないだろう。
事実、いわゆる「カタカナ損保」と呼ばれる、外資系が主だった「走行距離に合わせた保険料」という自動車保険は、今では一般的に知られるようになってきた。

そのように考えると「自動車を運転する時だけ」という、保険の需要があってもおかしくはない。
車を所有すると、様々な税金や維持費がかかるが、カーシェアやレンタカーのように「必要な時だけ借りる」という方法であれば、そのための費用は随分抑えられる。
そしてこのような方法で、クルマを運転する人は少しづつ、増えてきているのではないだろうか?
近所にあるコインパーキングに置いてある「カーシェア用自動車」は、週末になると借り出されていることが多いらしく、あまり見るコトがないからだ。

おそらく、コンビニで見た幟の「1DAY自動車保険」というのは、このような利用者を対象としたもの、なのだと思う。
そして一般的な損害保険代理店ではなく、コンビニがこのような商品を扱うこともまた、当然なのかもしれない。
レンタカーであれば、レンタカー会社の窓口で一緒に申し込めば済むが、カーシェアのような場合は、利用者が管理会社に登録をしていても、いつ利用するのか?ということは、決まっていないからだ。
だからと言って、利用者が「任意の自動車保険」に入らないというのは、万が一の場合を考えると大きなリスクだ。でも、カーシェア利用代金よりも高い保険料は、払いたくない・・・という、気持ちもあるだろう。

「自動車を所有するのではなく、利用するだけ」という、需要が増えてきたからこそ「1DAY自動車保険」という、商品もまた登場するコトになった、と考えれば当然のことだろう。


町の本屋さんが、無くなる

2015-12-27 20:45:16 | アラカルト

名古屋に来て以来、ず~~~~~と利用していた書店がある。
地下鉄の駅そばにある書店だ。
その書店が、今月いっぱいで閉店するという。
ほぼ毎日のように、その書店へ出かけていた私としては大げさではなく、死活問題。
書店で平置きしてある本を眺めるだけでも、その時々の情報のようなものを知るコトができたからだ。
もちろん、雑誌の見出しタイトルを見るだけでも、十分その価値はあった。

今年、書籍取次企業の一つが倒産をした。
そして、Amazonが、本の値引き販売をすると、話題になっている。
Amazonの値引きは一部に限られるようだが、Amazonはすでに「古本」も扱っているので、値引き書籍といっても、利用者側から見れば「古本」程度にしか思っていないかもしれない。

そして、丸善とジュンク堂が一緒になったりして、書店そのものが大型化してきている。
大型書店と言えば、丸善+ジュンク堂、紀伊国屋書店、三省堂の3書店だろう。
もちろん、地方に行けばその地域の一番と言える書店もある。
そのような書店は、出版事業や教室運営なども行っており、地域の文化を担っているという場合も多い。

ところが「町の本屋さん」は、Amazonのように「古本」を扱っているわけではないし、地域の一番店のような出版事業を行っているわけでもない。
多くの本は、取次店から取り寄せ「委託」のような形で、販売をしている。
岩波新書のように、ほぼ買い取りという本も無いわけではないが、売れた本に対するマージンで設けている、というのが書店の経営になっている。
そのため、一時期「万引き」や「雑誌の一部を切り取る」という心無い客によって、問題になったコトがあった。

そのような苦難?を乗り越え、長い間「町の本屋さん」が無くなってしまう、というのは残念でしかない。
今回閉店する書店以外にも、ここ数年「町の本屋さん」が次々に無くなっている。
確かに、大型スーパーにも書店コーナーはあるし、Amazonで本を購入するコトだって、今では当たり前のコトになってきている。
Amazonと「町の本屋さん」とでは、取り扱っている書籍の量が雲泥の差だ。
それでも「町の本屋さん」というのは、その町の「文化的バロメーター」のような気がする。
決して閑古鳥が鳴いているような書店ではなく、いつもお客さんがいるような書店でも、時代の流れには抗うことができなかった、ということだろうか?




ローソンが参入して、どうなる電力販売

2015-12-25 20:28:06 | Weblog

コビニのローソンが、来春から始まる「電力販売事業」への参入する、ということがニュースで伝えられた。
TBSニュース: 「ローソン、家庭向け電力販売に参入へ」

これまで、家庭向け電力販売に参入を発表していたのは、いわゆる「エネルギー会社」が中心だった。
エネチェンジ:家庭向け電力自由化で新規電力の登録開始 初日は24社が申請
言い換えれば、もともと電力を発電する材料というか素材を持っている企業が、通信会社などと一緒に立ち上げた企業と石油会社などが中心と考えたほうが良いと思う。
そんな中、電力を発電する施設も原材料となる石油や石炭などを扱っていないローソンが、参入するということにやや驚いた。

もちろん、ローソンだけではなく三菱商事という商社との共同事業なのだが、施設もなければ送電のネットワークも持たないローソン。
一体どのような「ビジネスモデル」を、考えているのだろう?
その部分が、はっきりと見えてこない(のは私だけだろうか?)。

一方、地域活性化という視点で「電力販売」を考えたとき、ここの地域にあった「循環型発電システム+地域限定送電」という方法があるのではないか?と、考えている。
山間部の地域などでは「小規模水力発電」を中心に、木質系バイオマス発電などを加えるという方法があるだろう。
酪農などが盛んな地域であれば、牛などの排泄物を利用したメタンガスによる発電という方法もあるはずだ。
もちろん、都市部の下水道施設でも同様の方法で、発電することもできるだろう。

「電力の小売り自由化」というのは、これまでの地域独占の電力会社から上述した通り、地域に合わせたエネルギー政策の切っ掛けとなるのでは?と、考えていた。
残念なことに、このような動きではなく資本力がある企業が、事業者として手を上げているというのが現状のようだ。

ローソンのような、発電施設も何も持たない(という印象しかないのだが)事業者が参入するとなると、日本のエネルギー政策はどのような方向へと進むのだろう?
何より「何故、ローソンが家庭用電力の販売事業」に参入するのか?そのビジョンが見えないコトが、ローソンの本気度が感じられない不安な部分のように感じている。


フィランソロキャピタリストが、生まれない日本

2015-12-24 21:17:13 | 徒然

しばらく前、Facebookのザッカ―バーグが、お子さんが生まれてコトを切っ掛けに自身が持っているFacebookの株の99%を、社会的投資に使うため慈善団体をつくり、そこへ譲渡するという話題があった。
たとえ1%の株を持っていたとしても、その額は5000億という資産はザッカ―バーグの手元に残る。
ただ、保有しているFacebookの株のほとんどを、慈善団体へ譲渡するというのは想像できないコトだった。
そのため、一部からは「節税対策」などの指摘もされた。
「節税対策」という指摘に対して、ザッカ―バーグも反論をしている。
日経新聞:ザッカ―バーグ氏が反論、「寄付は節税ではない」

同様の指摘をされてコトがある人物がいる。
マイクロソフトのビル・ゲイツである。
ビル・ゲイツもまたお子さんの誕生によって、「ビル&メリンダゲイツ財団」という財団を起こしている。
その時も、今回のザッカ―バーグと同様に「節税対策のための財団つくり」とも言われた。

彼らのように、自分で起業し短期間で企業を成長させ、膨大な価値を生み出してしまった場合、このような「慈善団体」や「財団」をつくるという傾向が、米国などではある。
指摘している通り「節税対策」という部分もあると思うが、慈善団体や財団としての活動を見てみると、決して「節税対策」だけではない、という気がしている。
実際、「ビル&メリンダゲイツ財団」が関わっているのは、アフリカに対する医療支援、特に感染症予防や対策であったり、子供に対する支援であったりする。
ビル・ゲイツ自身も、すでにマイクロソフトの経営から身を引き、財団運営を中心に活動をしているという。
朝日新聞「GLOBE」:ビルゲイツ インタビュー(インタビューはPART3まであり。またPART1下にはインタビュー動画もあり)
このような「社会に対して積極的に投資する人」のコトを、フィランソロキャピタリストというらしい。

日本はどうなのか?と考えると、ビル・ゲイツやザッカ―バーグのような起業家は見当たらない。
それだけではなく、日本の文化的素地として「フィランソロキャピタル」という考えが、ないのかもしれない。
もう一つは、今の日本ではこのようなグローバルに成長させる起業家がいない、ということのほうが大きいように思う。
日本の大企業の経営トップを見ても、いわゆる「社員→社長」という経歴の方が、ほとんどだからだ。
ただ、これから先日本の起業家にも「フィランソロキャピタル」のような、活動が求められるのではないだろうか?

例えば今問題となっている「子供の貧困」。
「子供の貧困」は、今の子供たちが成人して社会に出たとき、今よりも悪い状況になっていく可能性が高いと考えられる。
貧困が貧困を生む社会になってしまうと、企業が様々な市場を創っていこうとしても市場そのものが、生まれないということになりかねない。
子どもたちの貧困をなくすというのは、企業にとってもプラス面があるはずなのだ。
ビル・ゲイツやザッカ―バークのような個人財団ではなく、企業や業界団体が「フィランソロキャピタル」のような活動をする、というほうが日本的かもしれない。

今日はクリスマスイブ。
美味しいケーキと食事、そしてプレゼント・・・すべての子供たちが笑顔で過ごせることを願っている。


CDの売り上げ=ヒット曲とは言えない時代

2015-12-23 12:53:28 | トレンド

今朝FMを聞いていたら、今年のCD売り上げ1位がAKB48だった、というニュースがあった。
ここ数年、毎年のようにCD売り上げ年間1位=AKB48という気がしているのだが、テレビを見ないので「そんなものかな~?」という気がしていた。
FMを聞いていると、ゲスの極み乙女とかSEKAI NO OWARI、家入レオ、秦基博のほうがよく聞いたような気がしている。
もちろんFM番組や放送局によっては「今月の一押し楽曲」と言われる、ヘビーローテーションされる楽曲があるので、FMでよく聞いた=ヒットした楽曲とは言い切れないのだが、AKB48の新しい楽曲に関してはほとんど聞いた記憶がない。
そんな疑問を持つのは、私だけではないようで、Yahoo!に同様の記事が掲載されていた。

Yahoo!トピックス(現代ビジネス):AKBより三代目JSB!? CD販売数ではもはやわからない「本当の流行歌」 「ヒット曲の方程式が変わった」

上述した通り、私にとっての主な音楽情報源がFMということもあり実は三代目JSBの楽曲もヒットした、という印象があまりない。
ただ、記事にある通り今のヒット曲を生み出すツールは、CDだけではない。
いわゆる「ダウンロード」という方法もある。
その一方で、いまだに「カセットテープ」も健在だ。
演歌歌手と言われる方々の多くは、実はCDよりも「カセットテープ」のほうが売れている、という話を聞いたコトがある。
おそらく、演歌を好まれる方の年齢と関係しているのだと思うのだが、おそらくCDよりも「カセットテープ」のほうが、扱いやすいのだと思う。
かと思えば、演歌歌手というカテゴリーに属する?小林幸子さんなどは、今年「ラスボス幸子」という名前で「ボーカロイド」アレンジした楽曲で、いきなり若い世代から支持されるようになった、というケースもある。
この場合は、youtubeのような動画サイトによる、ヒットと言えるかもしれない。
それだけ、音楽を楽しむツールと環境が多様化している、というのが今なのだと思う。

何より今年は「音楽配信」に関しては、様々なことがあった。
appleをはじめとして「定額制」を導入したことで、これまで1曲あたり〇〇円という利用料金を気にすることなく、自由に好きなだけダウンロードする、という音楽の聴き方が始まったのだ。
こうなると、実際ダウンロードされた楽曲に人気があったのか?とりあえずダウンロードされが楽曲なのか?区別がつかなくなってしまう。
これからは、かつてのような「国民的大ヒット曲」と呼ばれるような、時代を象徴するような誰もが知っている大ヒット曲は、無くなっていくのかもしれない。


サンフレッチェ広島にみる、地域の関係と人材育成

2015-12-21 19:08:18 | 徒然

昨日試合があった「サッカー世界クラブ選手権」。
優勝したのは、バルセロナ。
随分前から「異次元サッカー」と言われてきたバルセロナが、優勝したコトにはあまり驚かない。
もちろん、試合そのものは素晴らしい内容であったと思う。

そのバルセロナの優勝の陰に隠れてしまった感があるが、3位決定戦で見事逆転で広州恒大に勝ったサンフレッチェ広島も、素晴らしい試合運びだったと思う。
というのも、サンフレッチェ広島は同じJリーグのチームの中でも、決して潤沢な資金があるチームというわけではなく、いわゆる「育成型」のチームだからだ。
メンバーの多くは、他チームから移籍してきた選手であっても、サンフレッチェ広島で長い間活躍している選手が多い。
今年、Jリーグ通算得点記録がトップタイとなった佐藤寿人選手などは、その象徴的選手かもしれない。

監督をしている森保一さんは、サンフレッチェ広島出身で、選手時代は「ドーハ組」と呼ばれる日本代表経験がある人物。
その後、チームの若年世代の指導者として監督経験をスタートさせ、ユースチーム監督時代には日本一に導いた経験を持っている。
言い換えれば、監督自身がサンフレッチェ広島というチームを十分に知っているだけではなく、今のチームの基礎をトップチームの監督前からしていた、と言えるかもしれない。

今回優勝したバルセロナなどは、同じスペインリーグのレアルマドリードと肩を並べるほど、「お金持ちチーム」だ。
優勝した試合で活躍した前3人の選手たちの年棒を見れば、日本のJリーグチームとは桁違いの資金力を持っている、ということがわかる。
3位決定戦で対戦した広州恒大なども、サンフレッチェ広島とは比べものにならないほどの資金力を持っているからこそ、ルイス・フェリペというW杯優勝監督を招聘するコトができたはずだ。

そんなサンフレッチェ広島を支えているのは、ユニフォームの前に広告を出している「エディオン」であったり、地元の企業の支援が大きいように感じている。
今では「エディオン」という名前になっているが、「エディオン」そのものは名古屋の「栄電社(その後「エイデン」と社名変更)」と広島の「第一産業(その後「デオデオ」と社名変更)」が一緒になってできた、家電量販店会社。
その後、業界最大手であるヤマダ電機に対抗するように、ローカル家電量販店をグループ化してきた企業だ。

好調なマツダを支えているのは、企業規模や業種を超えた広島の地元企業によるところが大きい、という話がある。
そのマツダと同じように、サンフレッチェ広島もまた、地元地域のサポートがあってこそのチームだという気がしている。
おそらく広島およびその周辺地域以外のサンフレッチェ広島サポーターは、あまりいないと思う。
代わりに広島のサッカーファンの多くは、サンフレッチェ広島の熱心なファンなのでは?
新潟のアルビレックスもまた、老若男女関係ない熱心な地元サポーターに支えられたチームとして、有名なチーム。

このようなチームが活躍するコトができたことを考えると、これからの一つの「地域と企業、スポーツ」のモデルケースとなるかもしれない。



マックは、復活するコトができるのか?

2015-12-19 19:33:02 | ビジネス

昨日、マクドナルドのサラ・カサノバ社長が今年「全国行脚」を終えた、という記事が新聞に掲載されていた。
日経と朝日とは、記事の印象が随分違うように感じる。

日経新聞:マクドナルド、ネット注文を来年から カサノバ社長、全国行脚を完了
朝日新聞:マック再生、厳しい道 客数31ヵ月連続前年割れ

日経新聞のほうは、「タウンミーティング全国行脚」をした結果、顧客からの意見で新しい「ネット注文」というサービスを開始する予定である、という内容になっている。
一方、朝日新聞のほうは「全国行脚」の結果というよりも、その効果はどれほどであったのか?という点を、書いている。

カサノバ社長の「全国行脚」は、決して無駄ではなかったと思っている。
というのも、企業のトップが顧客から直接話を聞く、という姿勢は、ある程度顧客から好意的にみられる行動だからだ。
もう一つは、実際の現場を見て歩く、コトで見えてくる問題点があるからだ。
特にカサノバ社長が打ち出してきたメニュープランなどは、どうしてもアメリカ本社に向いているのでは?という気がしていたこと。米国と日本とでは「食」に対する生活者の感覚や考え方が違う。その違いを見つけるという点では、企業のトップであるカサノバ社長が、現場に行ってお客様の姿を見るということ自体、「違いを知る」良い切っ掛けとなってのではなか?という、気がしているからだ。

これまで、カサノバ社長になって以来、マクドナルドは様々なキャンペーンを展開してきた。
それはメニューであったり、お客様を待たせないなどのサービス面でのキャンペーンだったりした。
残念ながら、それが客数を増やし、客単価を上げるコトにはならなかった。
朝日新聞の見出しでもある通り、昨年の「鶏肉偽装事件」よりも前から客数は減ってきており、拍車をかけたのが「鶏肉偽装事件」であったということだということがわかる。

「鶏肉偽装事件」ショックが、いまだに尾を引き売り上げが、落ち続けているわけではないはずだ。
確かに「食品」を扱う企業にとって、「鶏肉偽装事件」はダメージの大きいモノだった。
ただ、それより以前から始まっていた「マック離れ」を分析し、新しい施策を打ち出すためには「生活者にとってのマクドナルド」ということから、考えなくてはならない。そのヒントは社長室にあるわけではない。お客様が持っている不満や不安、良い評価・悪い評価を聞くことしかないはずだ。

お客様は一体マクドナルドに対して、何を期待して店舗に来るのか?ファーストフード店の中でも好調なモスバーガーにあって、マクドナルドにはないモノはなにか?
そのような分析から、お客様の一つ一つの声を丁寧に拾い上げるコトで、V字回復まではいかなくても、ある程度の復活の光が見えてくると思う。
そのような行動を起こしたカサノバ社長は、まだまだマクドナルドをあきらめていないという気がする。


クリスマスギフト広告を見て感じるコト

2015-12-17 19:06:20 | ビジネス

11月の末あたりからだろうか?カルティエの「クリスマスギフト広告」が、Yahoo!のバナー広告として、頻繁に表示されるようになった。
昨年までは、カルティエの象徴であるパンテールが登場する内容だったと思う。
それが今年は、「Diamonds are a girl's best friend」になり、出来上がったCM(というよりも、カルティエの場合、ショートムービーのような感じだ)は、マリリン・モンローのオマージュのような感じにも見える。
実際「七年目の浮気」などのワンシーンを彷彿とさせる場面がある。
確かに、クリスマスプレゼントに「ダイアモンドが欲しい!」と思っている女性は、多いとは思うのだがカルティエのような豪華さを期待するには、難しい(人のほうが多い)だろう。

豪華さでは一際目を引くカルティエだが、ルイ・ヴィトンも負けてはいない。
日本では、海外の有名ブランドとして圧倒的な人気を持つブランドだけに、「女性向け・男性向け」とわかりやすい見せ方をしている。
タイトルも「A TIME FOR GIVING」と、とてもダイレクトだ。

ルイ・ヴィトンの広告が、比較的商品を前面に打ち出しているとはいえ、2つの広告はそのブランドイメージとあっているように思う。
「(商品を)買いたい!」と思わせる部分も多少はあるが、「クリスマス」という多くの人が心躍るようなイメージを大切にしている。

一方、日本の企業はどうだろう?
残念ながら、「クリスマスシーズン(あるいは「ホリデーシーズン」)」という、華やかさを感じさせる広告を、見るコトがほとんどない。
確かに、カルティエやルイ・ヴィトンのような「ラグジュアリーブランド」そのものが、日本にはほとんどないというのが大きな理由だとは思うのだが、Yahoo!のバナーに表示される日本企業の広告が「自動車」などの「実用的」な商品ばかりでは、なんとなくさみしさを感じる。
それだけではなく、日本企業は「モノづくり」は得意でも、「ラグジュアリー」というか「優美さ」とか「優雅さ」のような「コト」を「モノづくり」に足すことが、苦手なのでは?という、気がしてくる。
それは「機能美」とは別の、「シンプルな余白」ということなのかもしれない。