産経新聞のWEBサイトに、「自民党本部職員全員にPCR検査を受けさせる(予定)」という内容の記事があった。
Sankei Biz:自民党本部職員全員にPCR検査 コロナ抑制で
自民党の派閥の領袖である石原伸晃氏が、無症状の状態でPCR検査を受け陽性と判明したため、即日入院をした、というニュースがあった。
このニュースが報道され、相当自民党や石原伸晃氏本人に向け、批判が出ていたと思う。
拙ブログでも、「上級国民=政府与党の議員」という趣旨のことを、書かせていただいた。
それほど、違和感を感じるほどの対応だったのだが、どうやら派閥の領袖だけではなく「コロナ抑制」という理由で自民党本部の職員全員に対して、PCR検査を実施するというのは、この政党には「自分たち」と「それ以外の人達」という、明快な区別があるようだ。
WHOが昨年の夏前から「積極的なPCR検査を実施し、クラスターの抑制をする」という勧告のような指導が出ていたはずだ。
しかし「PCR検査を症状の有無に関係なく実施すると、医療崩壊を招きかねない」とか「 (保健所を管轄する)自治体に負担がかかり過ぎる」等の理由によって、積極的なPCR検査をしてこなかったという経緯があったはずだ。
それが昨年秋ごろから「新型コロナ感染陽性者」爆発的に増加し、同時に重症者の急増、変異株が見つかったことで、新たな対策が求められるようになってきた。
このような状況になり、広島県など一部自治体では、政府の及び腰のPCR検査の拡充を発表するようになった。
中国新聞WEB:広島市中心部大規模PCR、専門家の声は「感染減、費用対効果に懸念」「偽陽性での隔離心配」
専門家と言われる方の懸念材料の一つ「偽陽性での隔離心配」というのは、十分理解できる。
今月「新型コロナ」陽性になった女性が、「職場や家族に迷惑をかけた」と自死をされたからだ。
このような「(自分が陽性者となったことで)家族や職場に迷惑をかけた」と感じる背景には、「陽性者となった人を批難する」という傾向が、日本では強いからだろう。
いくら「陽性者が悪いのではなく、新型コロナが悪い」と、繰り返し指摘され広報活動の対象となっても「新型コロナにかかるような行動をした人が悪い」という、社会認識があるからだろう。
そのような社会認識を強めているのが、政治家や著名人による「会食後の感染発覚」なのではないだろうか?
いくら一般生活者や飲食店、エンターテイメント業など「3密」をつくりやすい業種に「自粛」や「営業時間の短縮」、「人数制限」等の対策を求めても、政治家自らがその約束事を守らず、感染陽性者となっているのだ。
説得力の無さ(いや、逆に陽性者行動事例となるのか?)に、「新型コロナ恐怖症」に陥っている人たちから、一般陽性者が非難の的となってしまう、という悪循環が一般生活者の中に蔓延している、ということのように思えるのだ。
石原伸晃氏よりも前に、症状が出ていながらPCR検査を受けるために出かけた途中で容体が急変し亡くなられた野党の羽田さんのような状況が、多くの国民が置かれているような状況なのだ。
にもかかわらず「コロナ収束」の為に、自民党本部職員全員にPCR検査を実施する、というのはいかがなものだろう?
制度化して、民間の中規模病院でも検査ができるような体制を整えるほうが、優先事項だと思うのだ。
このような「身贔屓」をするのが今の自民党の本質なのかもしれない。