WWDJapanのサイトを見ていたら、「『Louis Vuitton』の親会社であるLVMH社は、Amazonへの出店はしない」と、発表をしている。
WWDJapan:「ルイ・ヴィトン」の親会社、19年度はついに売上6兆円を突破「アマゾンへは出店しない」
「ルイ・ヴィトン」の親会社であるLVMH社そのものが、グループ名の一部となっている「モエ」というシャンパンからファッションに至るまで、様々な高級ブランドを傘下に収めていることを考えれば、6兆円という売り上げはそれほど驚くような数字ではないのかもしれない。
日本や米国での売り上げが好調となってはいるが、やはり中国などの売り上げも忘れてはいけないと思う。
この見出しで注目すべき点は、「アマゾンに出店しない」ということだろう。
アマゾンが、ハイブランド商品特にファッション関連の商品を扱いたい、というのはサイトを見てもわかる。
その最たるハイブランドである「ルイ・ヴィトン」を将来的に、扱えるようになればこれまでとは違う顧客の獲得ができるのでは?という、考えがあってもおかしくはないだろう。
ファッションと言ってもサイズ展開の難しいアパレルではなく、「ルイ・ヴィトン」の代名詞となっているカバンとなれば、ますますアマゾン側としては取り込みたい、ということになるはずだ。
それを「ルイ・ヴィトン」の親会社であるLVMH社側は、これを拒否した、というのがこの見出しだ。
考えてみれば、LVMH社側としてはアマゾンに出店するメリットなどは、ほとんど感じられないはずだ。
何故なら、高級ファッションブランドだからこそ、苦戦を強いられていると思われている「路面店」が、大きな強みだからだ。
「ルイ・ヴィトン」のお店だけではなく、いわゆる高級宝飾店と言われる路面店に入るには、とても敷居が高いと感じる方は多いはずだ。
店内入口には、ガードマン兼ドアマンのような男性が立っており、庶民としては「それなりの覚悟」を持ってお店に入らなくてはいけない、という気分になるからだ。
この「敷居の高さ」があるからこそ、店側は自分たちが提供する商品やサービスに似合った顧客を選んでいる、ともいえる。
しかし一歩店内に入ると、そこは「非日常なハイクラスな空気感」があり、商品知識だけではなく接客などの経験豊かな店員が、にこやかに対応をしてくれる。まさに「別世界」にでもいるようなラグジュアリー感を体験できる場所でもあるのだ。
この「店舗空間」が、高級ブランドの魅力の一つでもあるからだ。
一方アマゾンのようなECサイトでは、このような「体験」はできない。
数多く表示される商品の中から、選ぶ楽しさはあるが「路面店」で体験できるような「特別感」が無いからだ。
本を選ぶ感覚で「ルイ・ヴィトン」のバッグを選びたい!という、生活者がどれほどいるのか?
「ルイ・ヴィトン」だけではなく、LVMH社が傘下に収めている高級ブランドの商品を、生活者が選ぶ時どんな場所で・接待を受けたいのか?と考えれば、やはりアマゾンのようなECサイトではない、ということがわかると思う。
むしろ「ルイ・ヴィトン」だからこそ、アマゾンのようなECサイトでの販売は、似つかわしくない、ということになるはずだ。
確かに、アマゾンをはじめとするECサイトでの買い物は、24時間いつでも好きな場所でできる、というメリットがある。
それは日常生活に溶け込んだ商品だからそこ、感じられるメリットなのだ。
「路面店」が苦戦しているのは確かだが、なんでもアマゾンで商品を買いたいわけではない、という生活者の気分を理解する必要があると思う。