日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

太っ腹企画というか・・・熊野市の観光キャンペーン

2013-10-31 14:51:25 | ビジネス

今朝FMを聞いていたら、突然「一億円キャンペーン」という言葉が飛び込んできた。
「エ!」とビックリしていたら、どうやら熊野市が行っている観光キャンペーンだということがわかった。
熊野市:高速開通!熊野!1億円キャンペーン

私が聞いていたラジオ番組のスポンサーが熊野市で、その中でこのキャンペーンの宣伝をしていた、と言う訳なのだ。

それにしても「1億円キャンペーン」とは、随分威勢が良い。
今や地方自治体は、緊縮財政だとばかり思っていたのだが大胆なキャンペーンだ。
それで気になって、キャンペーンサイトを見てみると、一般企業が行うような「総額○○○○円キャンペーン」というような内容とは違うようだ。
企業が行う金額を表示したキャンペーンは、商品購入によってそのキャンペーン参加ができるようになる、と言う一種の景品のようなキャンペーン。
熊野市の場合は、どうやら「高速道開通で、観光客誘致のために様々なイベントを1億円掛けて行いますよ」ということのようだ。
もちろん、観光客を呼ぶための「スタンプラリー」などでは、それ相応の景品が提供されるようだが、間違っても「スタンプラリーの景品総額が1億円」という訳ではない、と言うコトは理解する必要がありそうだ。

昨日エントリさせて頂いた「ホテルのレストランでの偽り表示」の問題が起きた背景には、海外、特に中国や韓国からの観光客誘致との関係がある、と言う指摘もあるようだ。
「安価なツアー代金で観光客を呼ぶ」ために、その目玉としてこの様なメニューが考えられた、と言うコトらしい。
「価格と価値」という点を見ていくと、新聞などに掲載される「安価なツアーには、この様なからくりがある」と考える必要があるだろうし、その様なツアーでは観光地となる自治体に落ちるお金は余り多くは無いだろう。

そう考えると、この熊野市の「1億円キャンペーン」は冒険的な試みだと思う。
イベントなどに関しては、随分内向きなモノもある様な気がするのだが、それでも行政自らが観光客誘致に動き出す、と言うのは余り例が無いのではないだろうか?
もちろん、「ゆるキャラ」などを作って自治体が何らかのキャンペーンをしたり、自治体そのもののネームバリューを上げると言うコトはしているが、取り立てて「ゆるキャラ」などを作ってキャンペーンをするコトもなく、ラジオ番組のスポンサーとなりこのキャンペーンを告知する、と言うのは、余り聞いたことがない。

もっとも、このキャンペーンの目的は「高速道路開通」という言葉で判るように、名古屋からの観光客誘致を狙ってのモノ。
キャンペーンのイベントに新鮮みが余りないだけに、果たして、この冒険的なキャンペーン成功するのだろうか?


ホテルのレストランに何を期待しているのだろう

2013-10-30 18:23:24 | アラカルト

先週末に発覚した「阪急阪神ホテルズ」内のレストランでのメニューとは異なる食材を使っていた、と言う事件。
全国各地のホテルに拡がりつつある。
中には、牛肉に牛脂を入れたステーキ肉の食事代が、3,000円を超す値段だったのには驚いた。
「牛脂を入れたステーキ肉」と言うと、私などが思い浮かぶのがスーパーなどで売られている「成形肉」と呼ばれるもので、とても3,000円を超すような材料とは思えないからだ。
ただ、正直に「牛脂入りステーキ肉」とメニューに書いて、注文をするお客様がいただろうか?

そもそも「ホテルのレストランで食事をする」と言うのは、どんな思いで食事をしているのだろうか?
例えば、由緒あるクラシックホテルなどで食事をするのと、シティーホテル(と、今でも言うのだろうか?)での食事とでは、利用する側の気持ちも全く違うと思う。

クラシックホテルでの食事となると、それなりの格式と雰囲気を楽しみながらの食事ということになると思う。
「宿泊まではできないが、その雰囲気だけでも食事を通して楽しみたい」と言う気持ちだ。とは言いつつ、その格式の高さに圧倒され、味も判らぬまま・・・と言う経験しかないのだが。

一方、シティーホテルなどでは、敷居もグッと下がり気軽な感じになる。
当然、「高級」と言われればそれだけの「期待」があるのだが、最近では「高級ホテルのレストラン」よりも安価で美味しい食事を提供するお店が、増えている。
宿泊客や結婚式などでの食事提供が中心で、その宿泊客も夕食などに関しては、ホテル内のレストランでの食事よりも、上述した通り外での食事をされる方が増えているのでは?と、想像するのだ。
言い換えれば、「ホテルで食事をする」ということに「何か特別な理由」が、必要な時代になってきているのではないだろうか?

90年代ぐらいまでは、確かに「ホテルで食事をする」ということだけで、ある程度の満足感を生活者に与えることができた、と思う。
「ホテルのレストラン」とは、どのような意味(と言うと、大袈裟だが)をもっているのか?と言うコトを、ホテル側に考えさせるような事件という気がする。


趣味を仕事の延長線に

2013-10-29 13:27:45 | ビジネス

以前、拙ブログでも紹介をさせて頂いた、朝日新聞WEBサイトに不定期掲載されている「へぇな会社」。
これまで多かったのは、会社に制度的な部分だったのだが、今回は社員そのものにクローズアップした内容だった。
朝日新聞WEB:へぇな会社「オタクが生む憧れツアー」

取り上げられた企業が、日本旅行。
元々旅行好きな人達が集まった会社だから、当然!と思われるかも知れないのだが、ツアーの内容そのものは、相当コアというかオタク度が高い気がする。
オタク度が高いからこそ、ツアーの着眼点がユニークで面白いと言うこともあると思う。
ただそれだけで、人気になるのか?というと、どうなのだろう?

オタク度が高いツアーということは、広く一般的なツアーを企画してもなかなか集まらない人達が集まる、逆に言えばピンポイントの客層しか相手にしない、と言うツアーだと言える。
広告をするにしても、旅行代理店のスタンドにカタログを置くのではなく、その様な嗜好の人達が集まる場所(ネットなども含む)で、こっそりと告知するという限定的な方法になる。
元々オタク度が高い人が企画するのだから、その様な情報網は既にもっている。
企業側としては、広告費をさほどかける必要もなく、ある一定の参加者が見込めるツアーとなる。
何より、企画者本人が一番楽しんで仕事をしていると思う。

この様な趣味の延長線のような仕事、と言うコトが最近注目?されている。
例えば、アウトドアウェアなどを製造・販売している「モンベル」は、創業者自身が登山好きが高じて創った企業だ。
当然アウトドアや登山が趣味という社員も多く、店舗で仕事をしている社員の中には「トレッキングツアー」などを自主的に企画し、顧客と一緒に休日を過ごすと言うコトも珍しいことでは無い、と言う話を聞いたコトがある。

あらゆる企業に勤めている人達が、この様な趣味の延長線で仕事が出来る、と言う訳では無いが、仕事とは全く関係の無い分野について興味や感心を持つことは、とても重要なことだと思う。
フッとした時に、それまで当たり前だと思っていたこととは全く違う視点で、考えられるきっかけとなるコトも多いからだ。

「製品」という形ある「物づくり」から、体験などを通して得られる「モノづくり」という時代になりつつある日本を考えれば、旧来型?の「仕事とプライベートは切り離す」から、「プライベートから仕事のアイディアをもらう」時代へと変わりつつあるのではないだろうか。


医療費と薬剤の輸入

2013-10-28 17:57:21 | アラカルト

「がん」という病気になって、それまで知らなかったコトを知る機会が増えた。
専門医などによる市民公開講座などへ、出席するようになった、と言うのが大きな理由だ。

このところ話題になっているTPPの問題の中に、医療の分野がある。
いわゆる「混合診療」の問題なのだが、この問題が話題になるとセットのように「外資系生保の為」というようなことが言われる。
外資系生保と言った場合、多くはアメリカの生保のことを指すのだが、その代表格であるアフラックなどに関して言えば、既に本国アメリカの保険料収入よりも日本からの保険収入のほうが多い、と言われて久しい。
アメリカの生保=多くは「がん保険」に関して言えば、日本という市場無しでは経営が考えられない程の市場規模を既に日本でもっている、と言うコトなのだ。

そう考えると、TPPで問題になる「医療分野」というのは別の問題があるのでは?と言う気がしてくる。
それは何か?と言うと、「新薬」と言う気がする。
何故なら、薬価が高い抗がん剤や分子標的薬などは、海外からの輸入がほとんどで、いわゆる「輸入超過」という状況が続いている。
日経新聞:医薬品の輸入超過 11年2.4兆円 10年連続拡大(2012年8月21日掲載)

現在の「輸入超過」の状況で、TPPが実施されれば「海外で承認されているのだから」、と言う理由で今の薬価よりも高い価格で輸入し易くなるのでは?と言う気がしたからだ。

残念なコトに、欧米人に効果的であっても、日本人には強い副作用が発現するばかりで、欧米と同じ効果が認められ無い、と言う可能性もあるのが今の新薬にはある。
それが肺がんの分子標的薬「イレッサ」で、問題となった点だ。
「イレッサ」は、肺腺がんのアジア系・非喫煙者・女性に対して効果が高いのだが、それ以外の人にとっては副作用が強く、効果は余り期待できない、と言うコトが発売以降に判り、社会的問題となった。
この様なリスクが、TPPによって再びクローズアップされてくる可能性もあるのでは?と言う気が、先日あるセミナーを受けていて感じたのだった。

それだけではなく、日本の場合医療分野における基礎研究は世界第4位でありながら、新薬の開発となると25位と中国や韓国よりも下位にあるのが現実だ。
もし、基礎研究ほどではないにせよ、ある程度の上位であれば「医療費の削減」というメリットもあるはずなのだ。

「新薬」と言う分野は、それこそ「グローバル市場」だと言える。
国が、成長分野の一つとして位置づけても良いはずの実力はあるはずなのに、それができない理由もふくめ、これからの医療は経済という視点でも戦略的に考える必要がある・・・と言うコトも感じたのだった。



「社会の雰囲気」か・・・

2013-10-27 06:06:35 | 徒然

タレントのみのもんたさんが、息子さんの起こした事件で出演をしていた番組を降板した。
昨日、その記者会見が行われたのはご存じの通りだ。
その記者会見で、みのさんご自身は「番組を降板したく無い」という思いがありながら、「社会の雰囲気が『辞めろ』と言っているように感じた」と、話している。
讀賣新聞:みのさん「辞めなければ収まらない風潮を感じた」

みのもんたさんを初めて知ったのは、中学生の頃。
みのさんが、文化放送でラジオ番組をされていた頃だ。
軽妙なおしゃべりで、なかなか楽しいラジオ番組だったように思う。
その後テレビに移られ、主婦層を中心に人気者になられたのだが、時折テレビで見る「みのもんた」というタレントさんに、違和感というか押しつけ感を感じる様になったのも、この頃だと思う。

お昼の番組で、この番組で「健康食材」と紹介されると、スーパーの店頭からその食材が売り切れる!と言われた程の主婦には人気の番組だったのだが・・・番組内で主婦に向かってやたらと「お嬢さん」と話しかけたりする言葉に違和感もあった。
「いつまで経っても、若く見られたい」と言う、女心に応えたおしゃべりだったのかも知れないのだが、その話ぶりにわざとらしさのような、「こういう話し方をすれば、主婦は満足できるでしょう」という感覚が見え隠れしているような感じがしたのだ。
その感覚は、社会というか場の雰囲気を読み取り、上手に話しに生かすことができる、と言う才があるのだと思う。

そのみのさんが「辞める」ことになったのも、社会の雰囲気というのが皮肉な気がするが、今その「社会の雰囲気」がとても嫌な方向へ向かっているように感じる。
みのもんたさんが番組を降板した「社会の雰囲気」ではなく、違う「社会の雰囲気」だ。

その一つが、一昨日閣議決定をした「特定秘密保護法案」だ。
これから国会へ論議の場が移るのだが、そもそもこの「特定秘密保護法案」が生まれたきっかけは、何だったのか?と言うと、2010年の尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁との衝突事件の映像公開だったと記憶している。
確かに、秘密保持を課せられている公務員の映像公開というのは、衝撃的ではあったが、問題とすべき点は、何故一公務員が映像公開をするに至ったのか?と言う点ではないだろうか?
そこを議論するのではなく、時の政府に都合の悪そうなことに蓋をしてしまうような法案だとう気がするのだが、社会全体の雰囲気として「経済優先で気にしていない」という感じを受けるのだ。
生活者の多くが「経済優先」で、「特別秘密保護法」に感心を持たないと言う「社会的雰囲気」が、とても嫌な感じとして受け止めているのは、私だけでは無いと思うのだが、生活者側から大きな声として出てこない。それもまた「嫌な社会的雰囲気」でもある。

社会全体に「自分の思い通りにならないと、満足できない」という意識が、強くなってきている様な気がする。
それが、テレビ番組に影響された?「土下座」かも知れない。
ブームだとは思わないが、「土下座」は易々させるモノではないし、するモノでもない。
にも関わらず、易々と人にさせたがる人が増え始めている・・・。

「特別秘密保護法案」と共通する「嫌な雰囲気」というのは、問題の本質を見ることなく、表面的なことだけ自分の都合を優先させる、そんな社会の雰囲気が生まれはじめているような気がするこの頃だ。



ホンダと菜園。意外だけど訳があった

2013-10-25 18:16:16 | ビジネス

ホンダのニュースレターの会員になっている。
会員になった理由は、何かのプレゼント企画に応募したからだと思うのだが、理由はハッキリ覚えていない。
ただ、運転免許を持たない私が見ても、楽しい!と感じるコンテンツになっているので、配信停止もせずに、見ている。

そんなホンダのニュースレターに「八ヶ岳HONDA菜園」というコンテンツがある。
ホンダのニュースレターのコンテンツは、レギュラーとなる企業情報やリコールなどの情報とは別に、「外遊び」や「釣り」という、遊びのコンテンツが定期的に紹介される。
今回は「八ヶ岳菜園」だった。

「八ヶ岳HONDA菜園」

最初「ホンダが八ヶ岳で菜園経営?!」と思ったのだが、コンテンツ内を見て納得した。
「ホンダ=自動車」と考えていると、結びつかないが「ホンダ=モーター事業」と考えれば、家庭用耕耘機や家庭用除雪機などの商品が、違和感なく見えてくる。
かつて「ホンダの製品が、1家庭に複数ある様になりたい」と、言う話を本田宗一郎がした、とか、しなかったとか?と言う話を聞いたコトがある。
日本ではなく、アメリカ市場での話だったのだが、「クルマ」を複数所有するのではなく、「ホンダ製品を、クルマだけではなく家庭用草刈り機や除雪機など増えて欲しい」ということだった。

「何故八ヶ岳なのか?」という疑問はさておき、この「八ヶ岳HONDA菜園」、別にホンダが「菜園経営」をしている訳ではないようだ。
ただ、都会から八ヶ岳に引っ越して家庭菜園よりも大きな規模でありながら、本格的農家というほどではない規模で農家をしている人達と、農業指導ができる地元農家さんや地元で人気のあるアイリッシュバーのオーナーさんなどの協力を得て、お料理レシピなどを公開したり、菜園にライブカメラを設置して、菜園内の野菜の成長がWEBを通して菜園とは関係のない人も見られる様になっている。

耕耘機云々と言うよりも、田舎暮らしを楽しむ提案という雰囲気がある。
テレビCMのように、「家庭用耕耘機を作っています」という直接的なアプローチではなく、「田舎暮らしで菜園を作るなら、家庭用耕耘機は必要ですよ」という提案型といえる。
WEBを使うのだから、製品の紹介もWEB向けに双方向型にして、中心となる製品ではないものをキチンと紹介しよう、と言う考えがある様だ。

おそらく、ホンダの売り上げの中で、家庭用汎用製品というのは決して大きな売り上げではないと思う。
やはり、売り上げというか収益の中心は、クルマだと思う。
そのクルマではないからこそ、利用者とのコミュニケーションを紹介するコトで、新たなユーザーを創ろうとしているように思えるのだ。


家電メーカーではなかったから生まれた布団乾燥機?

2013-10-24 21:13:26 | アラカルト

日経新聞のWEBサイトにある新商品紹介をチェックしていたら、「ホースもマットも使わない布団乾燥機」という象印の商品の紹介があった。
これまでの布団乾燥機はホースは必須で、マットの代わりに他のアタッチメントを使うことで、チョットした乾燥機としても使える、と言うのがセールスポイントだった。
そのホースを必要としない、と言う布団乾燥機とはどのような商品なのか?と、興味がわき象印のサイトをチェックした。
象印:布団乾燥機スマートドライ

確かに、ホースもなければ敷き布団と掛け布団の間に入れるマットもない。
使い方を説明した動画を見れば、納得できる。
とすれば、「何故、今までホースとマットが必要だったのだろう?」という疑問が、わいてくる。

おそらく、先発家電メーカーが「布団乾燥機」を開発する過程で、一番効率良く乾燥でき、上述したようなアタッチメントを変えるコトで応用できる、と考えたのだろう。
それに「右へならへ」と言う感覚で、基本同じようなしくみの「布団乾燥機」ができあがったのではないだろうか?
ところが、象印は元々家電メーカーではない。
確かに炊飯器は作っているが、元々は「ジャー」という「ごはんの保温用のポット」と言うベースに、電気炊飯器という機能を加えた、と言う感覚が始まりなのだと想像している。
それに対して、布団乾燥機というのは象印にとっては分野違いなため、家電メーカーとは違う発想が持てたのではないだろうか?

もしかしたら、象印の布団乾燥機が新しい布団乾燥機のベースとなるかも知れない。
そう感じる程、今までとは違う発想のような気がする。

実は、ここ1、2年異業種だから違い発想で商品が生まれたのでは?と感じる商品が増えている。
昨年大ヒットしたバルミューダ社の「グリーンファン」も、家電メーカーではないから生まれた発想という気がする。
そして、家庭用洗濯洗剤の「チョイス」という非石油系洗剤を作ったのは、ノンシリコンシャンプーなど美容関連の製品を手がけている企業が作っている。
大手洗剤メーカーが、除菌や抗菌、香りなどに気を取られている間に、非石油系という全く違った発想でキチンと洗濯洗剤として使える商品を作り出している。

異業種、専門外だからこそ生まれる製品・商品が、既存のメーカーを刺激し市場を活性化する・・・そんな傾向が少し見られる様になってきた気がしている。


社食の風景が変わるのかな?-「いいとも」終了-

2013-10-22 20:42:40 | 徒然

Yahooのトピックスに、フジテレビのお昼の看板番組「笑っていいとも」が来年の3月で終了、と言うニュースがピックアップされていた。

私が、社会人になったころ位から始まった番組だと思うので、随分長寿番組だったことになる。
会社員時代、社員食堂に置いてあるテレビでは、NHKのニュースの後は大体、誰かがチャンネルを変え、「笑っていいとも」が流れていたような気がする。
会社員を辞め、しばらく派遣社員として仕事をしていた頃も、社食がある企業では同じ光景が見られた。
それほどまでに、「国民的番組」だったと思う。
その番組が終了するとなると、後継番組は大変だろうな~と思うのと同時に、お昼の社食はどのように変わるのだろう?と、想像してしまう。

私が会社員だった頃、社食そのものが廃れた時代があった。
バブル経済の頃は、社員の利用率が低下し、お財布を持って近くのカフェでランチ!と言うのが、定番だった頃だ。
その後、バブルが崩壊し、今度は企業側が福利厚生の経費カットのために、社食そのものを廃止する時代もあった。

その後、「社員の健康管理」と目的として、一部の企業で社食が復活。
「タニタの社員食堂」というレシピ本の大ヒットを受け、「美味しく・健康的な社員食堂」が、再びクローズアップされた。
おそらくその様な社食でも、「笑っていいとも」を流していたトコロが多かったのでは?と、想像している。

番組が始まった頃に比べ、番組内容もマンネリ化し日替わりゲストとして登場する「テレフォンショッキング」も、半ば新番組や映画の宣伝のようなトコロが見え隠れするようになり、それでも何となく「笑っていいとも」に落ち着いていたのは、個人の家では、自分の好きな、あるいは興味のある番組を選択できるが、社食となると「誰からも不満がでない番組」を選択するコトになる。
それが「長寿番組」の強さであり、マンネリ化が番組に安心感を与えていたような気がする。

今のおしゃれな社食にテレビがあるのかはわからないが、番組終了で少し風景が変わるかも知れない。


天野祐吉さんと広告

2013-10-21 15:59:03 | 徒然

雑誌「広告批評」の元編集長で、コラムニストであった天野祐吉さんが、亡くなられた。
この訃報に驚いたのは、言うまでも無い。
先週水曜日には、朝日新聞の「CM天気図」という連載コラムを掲載していらっしゃったからだ。

子どもの頃から、テレビCMや広告というものは好きだったのだが、広告代理店などへ就職する気はさらさらなく、広告は「遊ぶ話題のネタ」だと思っていた。
もっとも私が就職活動をしていた頃は、女性が広告代理店に就職するためには、就職試験よりも、コネ!!!と言う時代だったので、強力なコネをもたない私などにとっては、検討の余地などあるはずも無かった。

それが、ひょんなことからマーケティングという分野の仕事をする様になり、広告の端っこをかじる様になった。
その時、勉強として参考としたのが「広告批評」だった。
広告を批評する雑誌を読むことで、「広告とは何か?何を生活者に伝えるのか?」ということだけではなく、広告にユーモアのエッセンスが必要だと言うコトも教えてもらった。
もちろん、「言葉やヴィジュアルの表現」と言う部分でも、随分勉強をさせて頂いた。

その「広告批評」が廃刊となったのは、時代の流れだったと思うのだがその出版を手がけていらっしゃった天野祐吉さんが亡くなられたと知り、これから「広告」という時代を映す媒体を通して、社会や政治、企業や私達生活者に、様々な問いかけをしてくれる方がいなくなってしまったような気がする。

お亡くなりになってから知った、天野さんのブログには今の政治や社会に対する、問いかけと言う内容になっている。
天野祐吉のあんころじ:とにかく死ぬのはヤだもんね
そして、今与党が推し進めている「特定秘密保護法」などについても、キレの良い言葉とユーモアで批評されたのでは?と、思っている。

的を射る視点とユーモアのセンスが合致した時、時代を動かし、時代を超える広告となる・・・そう教えてくれた天野さん。
広告のこと、いろいろ勉強させて頂き、ありがとうございました。
まだまだ勉強不足で、これからもっと教えて頂きたかった・・・。
ご冥福をお祈りいたします。


「生まれよりも・・・」大切なコト

2013-10-20 07:15:05 | アラカルト

週末の朝、楽しみにしているFM番組がある。
「感じて漢字の世界」という、わずか5分程度の番組だ。
Facebook:感じて漢字の世界
今回取り上げられた漢字は、「食」。
詳細は、Facebookをご覧頂きたいのだが、「食欲の秋」にはチョット考えさせられた。

ところで、今朝の朝日新聞の一面は「デザイナーベビー近づく」という見出しだった。
朝日新聞:デザイナーベビー近づく
人のゲノム(=遺伝子)が総て解明されたのが、2003年だったと思う。
60兆個もあるヒトの細胞。
その中にある遺伝子、それが解明されたことで、この「デザイナーベビー」は可能となったのだが、倫理的な問題は当然のコトながら、人はその「ゲノム」だけに左右されて成長する訳ではないと思う。

今年の夏、ネットから問題となった人物がいる。
東日本大震災直後から、「復興は無駄」などと自分のブログに書きつづっていた、経産省のキャリア官僚だ。
彼は、東大を卒業し官僚の中でもトップの一つと言われる経産省に入省している、いわば「頭の良い人物」だ。
ゲノム的な視点で見れば、おそらく「学力的にはとても優秀な遺伝子が集まった人」だのだと思う。
しかし、思いやりのない言葉、コミュニケーション能力としての疑問・・・この様な「生まれ」とは別に成長過程で身につく力が、身についていなかったのではないだろうか?

確かに、八頭身で手足が長く、小顔で誰からも愛されそうな容姿と、学力優秀な子どもは、「デザイナーベビー」として、誕生するかもしれない。
しかし、成長過程で形成される能力というモノも数多くある。
実際、ビジネスの場面で一番重要とされる能力は「コミュニケーション能力」だと言われている。

その「コミュニケーション能力」、実は社会の最小単位である「家族」の存在が大きいのではないだろうか?
「感じて漢字の世界」で紹介されていた「食」。
「体に良いモノを選び、一緒になってたべる」と言うコトを表している、と言われているコトを考えると、食卓を囲んでの食事は家族のコミュニケーションの場だろう。
職場で同僚とおしゃべりをしながら食べるランチも、情報交換の場と言うだけではなく、互いに理解し合うと言う場だと思う。
果たして「デザイナーベビー」として生まれただけでは、この様な能力は身につくのだろうか?
おそらく無理だと思う。

外見が見目麗しく、学力優秀、がんなどの病気リスクが少なく、長寿・・・と言う条件で誕生しても、コミュニケーション能力や人を思いやる力が無ければ、とても悲しく寂しい人であり、人生ではないだろうか?
旬の食材を囲み、いろいろな話をしながら家族や友人と一緒に食卓を囲む・・・それが「食」の始まりであり、コミュニケーション力や人を思いやる力などを身に付ける場なのではないだろうか?

そんなことを考えた、週末の朝だった。