日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

甘利さんの辞任で、思うこと

2016-01-29 19:46:51 | 徒然

昨日、甘利さんが経済再生大臣を辞任した。
辞任の切っ掛けとなったのは、週刊文春に掲載されたURに絡む建設会社から賄賂をもらった、ということだった。
この辞任劇を見て、時代が変わったな~と思ったのだ。

一つが、甘利さん自身があっさり?と、金銭授受を認めたことだった。
金額についても、報道通りの100万円。
そして、秘書にわたったとされる500万円についても、あっさり?と認めている。

甘利さん側としては、国会の会期中なので「党に迷惑をかけたくない」という、思いがあったのかもしれないが、あまりにもあっさりと認めてしまったことに、少し驚いている。
というのも、これまでこのようなことがあると、議員さんたちは「秘書に任せていたことなので」とか「記憶にございません」などという言葉で、逃げていたからだ。
それが「自分は100万円もらいました。適切に処理をするよう指示をした」と、言ってしまったのだ。
「適切に処理をするよう指示をしている」から問題がないのか?というと、決してそうではないはずだ。
にも拘わらず「適切に処理をするよう指示をしたから、問題ないでしょ」と、言い切ってしまっている。
もちろん「適切に処理をするよう指示をしたにも拘わらず、処理をしなかった秘書が悪い。その部分での監督責任を感じている」という説明になっているのだが、その前の「100万円、業者からもらいました」という、部分はどうなのだろう?
一番肝心な問題に、甘利さんご自身が気が付いていないのか?という、気がするほどの「あっさり認め感」なのだ。

それだけではなく「500万円のうち300万円を私的に使った」という、秘書の方もまた「あっさり認め感」がある。
40年前のロッキード事件以降、議員秘書の方々は「私の一存で・・・」とか「先生には、ご迷惑をかけました」などという遺書を残して自死されるケースが多かった。
「先生の汚点は、墓場まで持っていく」というような、感じがあった。
それが、良い・悪いというのではない。
ただ、国会議員としてのうしろめたさも、秘書として仕えるという「職業観」も、大きく変わっているのだな、という印象を受けたのだ。

秘書さんには、秘書さんの生き方があり、何も「滅私奉公」のように国会議員の先生に仕える必要はないと思う。
「先生の汚点は、墓場まで持っていく」という、発想そのものが「滅私奉公」的発想であり、そのために贈収賄事件の多くが、うやむやになってきたということもある。
その点では、今回の甘利さんの贈収賄は事件解明がしやすいのでは?という、期待感はある。

事件解明への期待感はありながらも、「口利き料」という賄賂を受け取るうしろめたさを感じないベテラン国会議員。
この「議員職」という仕事に対する、職業観が随分変わってきているのだな~という気がする。

甘利さんの後任である石原伸晃さんについても、福島第一原子力発電所事故で避難されている方々に対して「最後は、金目でしょ」という暴言があり、「金目でしょ」と言い切ってしまう人が、「経済再生」ができるのだろうか?


E-テレ・・・何気なく時代を先取り

2016-01-28 20:13:00 | トレンド

最近「テレビ番組が面白くない」と、盛んに言われている。
確かに新聞のテレビ欄を見ても、いわゆる「ゴールデンタイム」と呼ばれる時間帯のテレビ番組の多くは、似たり寄ったり、という印象を受ける時がある。
そんな中、やや「異質感」があるのが、NHKのE-テレだ。

「ゴールデンタイム」に、「ハートネットTV」など社会的ハンディのある人達や社会問題を、掘り下げるような番組があったり、夜の10時台になると「100分de名著」とか「うわさの保護者会」といった、おそらく民放では企画できないような番組がある。そのほかにも「亀田音楽専門学校」のような、一風変わった番組もある。
番組と番組の間にある「まる得マガジン」のような、知っておくと便利な番組もある。

おそらく番組制作としては、あまり費用が掛かっていないのでは?という気がするのだが、番組の内容そのものはとても充実している。
E-テレの番組そのものは、テキストを併用しながら番組を進めていくので、テキスト販売による利益が番組制作に反映できるのかもしれない。
地味ながら、充実した番組が多いのがE-テレの特徴かもしれない。

そのE-テレの番組の中でも「長寿番組」の一つが、「おかあさんといっしょ」なのではないだろうか?
1960年から番組がスタートしているのだから、半世紀以上続く番組であり「幼児教育番組」のはしりとなった番組でもある。
その「おかあさんといっしょ」だが、「幼児教育番組」だと侮ってはいけない。
「小学校での英語教育がスタートする」ということが話題になると、番組内で「えいごとあそぼう」というプログラムが登場したり、その時代の流れをキャッチし続けることで「長寿番組」と、なっているのだ。

その「おかあさんといっしょ」に、この春からロボットが登場するという。
朝日新聞: 「おかあさんといっしょ」にロボット登場へ 新人形劇

昨年秋ごろから、盛んに「人工知能」の話題が新聞などをにぎわすようになってきた。
今年のトレンドワードとして「ファナテック(=ファイナンスとテクノロジーを合わせた造語)」という言葉も、効かれるようになってきた。
そのような時代の変化に合わせ、幼児教育番組である「おかあさんといっしょ」にも、ロボットが登場するようになるということのようだ。

それで思い出したのだが、米国の幼児教育番組「セサミストリート」も、時代の変化とともに内容も変わってきている。
番組開始直後は、貧困家庭の子どもたち(多くは黒人家庭の子供たち)のための教育番組だったが、20年ほど前からは「非英語圏の子どもたち」への教育という内容が加わってきた。
と同時に、マイノリティーの子どもたちが登場し、ヒスパニックなどの言語が加わってきている。

「子供向け番組」程、時代の移り変わりを敏感にキャッチし、番組に反映させることが重要なのかもしれない。
だからこそ、E-テレは地味ながらもユニークで、視聴率を気にせずに時代を映す番組が作れるのかもしれない。



コンビニ統合で新商品開発は、どうなる?

2016-01-27 19:00:39 | ビジネス

以前から言われていた、「サークルKサンクス」と「ファミリーマート」の統合。
どうやら本格的な動きになってきたようだ。
朝日新聞:サークルKとサンクスの店名、ファミマに統合 3年かけ

3年かけて統合となると、随分長い時間をかけての統合という気がするのだが、おそらく調整する事柄が多いのだろう。
その一つと言っては変かもしれないが、これまで独自に開発をしてきた商品などは、一体どうなるのだろう?

ご存じのように、コンビニ各社は様々な商品を開発し、差別化をしてきた。
もちろん、昨今の「カフェブーム」のように、各社一斉に足並みをそろえる新商品や新サービスもあるのだが、コンビニ各社の差別化の一番は、いわゆる「ホットメニュー」と呼ばれる店内で調理されたものやおでん、中華まんなどだろう。
ここ10年くらいは、それらの「ホットメニュー」に加え、「スィーツ」が加わっている。
昨年、セブンイレブンがドーナッツを販売するようになると、コンビニ各社はパッケージ入りのドーナッツの販売を始めたりしている。
ドーナツだけではなく、近所のミニストップとサークルKを見ていると「ドーナッツ」に加え、「チーズタルト」も加わってきているようだ。

コンビニの新商品開発の中には、各地の高校や大学などと、共同で商品開発をしている場合も多い。
これら各地の高校や大学などと共同で開発した商品(多くは、惣菜パンや菓子パン、お弁当なのだが)は、全国同じと思われがちなコンビニに、地域性を持たせることになり、地元のファンを増やすことに一役買っているように思う。
そのような商品開発に積極的だったのが、サークルKサンクスとファミリーマートのような気がする。

コンビニに置かれている商品にPB商品が増えつつある、ということを考えると、食品だけではなく様々な部分での調整が必要になってくるのでは?と、考える。
そのための3年なのだとは思うのだが、サークルKサンクスらしさとファミリーマートらしさを残しつつ、PB商品を統合する、というのは互いのオリジナリティーを尊重しあう必要があり、上述したような地域性のある商品開発などに関しては、不安な部分のほうが大きいような気がする。

そしてPB商品を含め、ほかのコンビニ商品にも影響を与えるのだろうか?


CMに見る、マツダの快進撃

2016-01-26 20:16:10 | ビジネス

自動車メーカーの中で、快進撃を続けているといえば、おそらくマツダだろう。
その快進撃さを良く表しているのが、テレビCMのような気がする。
とにかく「運転するコトが楽しい」というCMは、見ているこちらも楽しくなるような作りになっている。

その新作CMを見ていると、「クルマを楽しむのは、大人だけではない」と、言っているようだ。
マツダCM:MAZDA TVCM「Be a driver .2015 ATENZA」

男の子が(自分の)チャイルドシートを持ち出し、お父さんに内緒で運転席へ据え付け、アテンザのハンドルを嬉しそうに握る。
その姿を窓際で新聞を読んでいたお父さんは、しっかり見ている。
そして、家族でドライブに出かけるとき、子供のおもちゃの車のハンドルを用意し、チャイルドシートに座る子供に握らせる。
その時の子供の顔が、なんとも嬉しそう。
その嬉しそうな顔を見ている、お父さんも嬉しそうにほほ笑む。
というストーリーのCMなのだが、運転をする楽しさはドライバーだけのものではありませんよ。
ハンドルを握り楽しそうに運転をする姿を見ているお子さんにとっても、ドライブは楽しいことなのですよ。と訴えている内容だ。

これまで、家族が登場するクルマのテレビCMは、たくさんあった。
その多くは、「家族でドライブ」という提案はされていたが、ドライブする家族、特に子供からの視点を描いたCMというものは、あまり記憶がない。
随分前、トヨタが「ファミリーカーのトヨタと呼んでください」といった「パプリカ」のポスターには、子供が運転席でハンドルを握っている、というポスターが使われたと記憶しているのだが、「車を運転する楽しみ」は、運転免許を持っている大人の楽しみという、表現が多かったような気がする。

しかし、若い世代でのクルマ離れが進んでいることを考えると、今回のマツダ「アテンザ」のようなCMが登場してもおかしくはない。
なぜなら、「子供の頃、家族で出かけたドライブは楽しかったでしょ。その時、自分も大人になったら運転をしてみたい、と思ったのではありませんか?」というメッセージを含んでいるのでは?と、感じるからだ。
もちろん、今の家族に向けてのメッセージも含まれてはいると思うのだが、「運転をする楽しさ」は、大人だけのものではない、という点がこのCMのポイントなのではないだろうか。

このようなやや焦点を外したCMを出すことができる、ということが今のマツダの強さなのだと思う。
対照的だったのは、長い間マツダと提携関係にあり株式を保有していたフォードが、日本市場からの撤退を決めたというニュースがあったコトだ。
読売新聞:米フォード、日本事業から年内撤退の方針


外食産業一人負けのマクドナルド?

2016-01-25 18:41:16 | ビジネス

日経新聞のWEBサイトを見ていたら、15年の会食売り上げの記事が掲載されていた。
日経新聞:15年外食売上高0.1%増 ファミレス伸びる ファーストフードは低迷

ファミレスでは売り上げが伸びているが、ファーストフードが低迷した、という見出しになっているが、記事を読むと「洋風ファーストフードの売り上げの落ち込みが、大きかった」ということのようだ。
和風や麺類のファーストフードという表現は、気になるが「牛丼店やうどん店」などは、売り上げを伸ばしていたが洋風であるハンバーガーチェーン店での落ち込みが大きかった、ということだろう。
だからと言って、ハンバーガーチェーン店全体の売り上げが落ちたのか?というと、そうでもないらしい。
「異物混入」という言葉がある通り、おそらくマクドナルドの売上高の落ち込みが、他社の売上高よりも大きかった、ということだと読み取れる。

確かに、繁華街を歩いていると以前マクドナルドの店舗があったところが、違うお店になっていたりすることが多くなったような気がする。
ただ今まで店舗が多すぎたのでは?という、気もしているのだ。
というのも、名古屋の繁華街を100mも歩いていると、マクドナルドの店舗を見かける、という状況が長く続いていた。
丁度、日本でのマクドナルドの創業者・藤田田さんから、米国本社へと経営が移った頃、急激に増えたような気がする。
実際、昨年後半からマクドナルドの店舗が、次々と閉店している、と話題になった。
そう考えると、外食産業の一人負け状態になっているのは、マクドナルドということになるのだろう。

そのマクドナルドだが、再起のチャンスはあるのだろうか?
もちろん、無いとは思わないし、再起をしてほしいと思っている。
とすれば、メニューの見直しというよりも「おいしさの見直し」が、必要なのでは?という気がする。

我が家近くにある、モスバーガーとマクドナルドとでは、モスバーガーのほうが店舗も小さく、集客力があるとは思えない。だが、店舗の前をいつと思ってもお客さんがいるのだ。
モスバーガーとマクドナルドとではモスバーガーのほうが、商品単価は高い。
セットメニューにしても、ちょっとした定食屋さんくらいの値段になる。
この違いは、何だろう?と考えると、モスバーガーのメニューで目立つのは「国産」という言葉であったり、「食に対する思い」のメッセージだと思う。
違う言い方をするなら「米国テイストではなく、日本テイスト」を重視しているように思えるのだ。

売り上げを伸ばしたファミレスも牛丼店やうどん店なども、季節折々の「日本のおいしさ」を打ち出しているという点も忘れてはいけないかもしれない。
「おいしさの見直し」という点では、ファミレスのごはんも美味しくしてほしいとは、感じているのだが・・・。
果たして、マクドナルドはどのように再起するのだろう?



「原油安」は、メリットばかりではない

2016-01-24 17:55:50 | ビジネス

今年は、「冬らしい寒さがない」と思っていたら、先週・今週と強烈な寒さが日本列島を襲っている。
今日は、「奄美大島では115年ぶりに雪が降った」という、ニュースまであった。
その前には、沖縄近海の海では「寒さのあまり仮死状態になってしまった魚」という、話題もあった。

これほど寒くなると、外に出るよりも家の中で暖かく過ごしたい。
幸い、今年は原油安ということで、灯油などもガソリン同様に、昨年よりもやや安い。
この寒さでは、ありがたい「原油安」といったところだろう。

しかし「原油安」だからといって、手放しで喜べない部分もある。
そんな話題が、今日の朝日新聞の「天声人語」に、掲載されていた。
「原油安」となっている一つの原因は、「シェールガス」の存在だ。
非効率というイメージが強い「シェースガス」だが、取り出す技術などが進み、比較的安価に取り出せるようになってきた。
それが、石油産出国に影響を与えているという。
その中でも石油産出国としては最大規模ともいわれるサウジアラビアとイランが、対立し始めている。
元々、石油以外の資源がある訳ではなく、国の主な産業そのものが石油輸出に依存している国なので、その「石油=原油」の値下がりは、大きなダメージを受ける。
それだけではなく、サウジアラビアなどが持っている世界の市場からお金を引き上げることで、株価が急落するということも起きている。
今起きているのは「逆石油ショックなのではないか?」というのが、天声人語の指摘である。

このような心配をしているのは、「天声人語」だけではない。
京都でチョコレート専門店「ダリK」のオーナのブログでも、同様の指摘をしている。
同様の指摘というよりも、より詳しく書いていらっしゃる。
DariK HP(下へスクロールをしbloginformation⇒1.18「経済のハナシ」をご覧ください)。
元々、このチョコレート専門店のオーナさんは、金融機関で仕事をされていた経験を持っていらっしゃるので、このブログはわかりやすく経済の話しをまとめていると思う。
チョコレート専門店なので、カカオ豆の話が中心なのだが、「原油安」だからと言って、手放しで喜べる状況ではない、ということがわかる。

私と同世代(昭和30年代半ば生まれの方)以上は、1972年に起きた「オイルショック」のことを、よく覚えていらっしゃると思う。
あのころは、石油製品全般が影響を受け、様々な商品が値上がりをした。
値上がりだけではなく、商品そのものも店頭から消え去ったこともあった。
そのためか?「原油安」と聞くと、どこか安心してしまう部分があるように思う。

今回のような「逆オイルショック」のような状態では、「オイルショック」の時と真逆のことが起きると思うのは、間違いかもしれない。
というのも、「逆オイルショック」という状況はグローバルな経済活動が、当たり前になってきた今では、思わぬところに影響を及ぼすことがあるからだ。

「原油安」と、喜ぶ前に金融のグローバル化によって起きることを、洗い出してみる必要があるかもしれない。


「適正価格」を知る

2016-01-22 18:59:33 | ビジネス

先々週におきた、大学生たちを乗せたスキーバスの転落事故。
現在事故検証が行われているので、少しずつ事故の全貌がわかり始めている。
事故当初、このスキーツアーが利用するバス会社が、事故を起こす2,3日前に「行政処分を受けていた」という、報道があった。
「行政処分」を受けながら、バスの運行を決めたことそのものに、問題があったのでは?という気がしているのだが、代替えのバス会社が見つからなかったのかもしれないし、バス会社が「行政処分」を受けていることを隠していたのかもしれない。
もし「行政処分」を受けていたことを隠していたのだとすると、随分悪質な会社ということになると思う。

今回の事故だけではなく、事故を起こすバスツアーがここ数年増えてきている。
利用するバスそのものが大型化しているので、事故を起こすと亡くなる方、大怪我をする人などが増えてくる。
そしてこのような事故が起きるたびに、何等かの規制がされるのだが、その規制をかいくぐって事業を行っている企業がまだまだある、ということなのだろう。
これらの事故を起こしたバス会社に共通している一つが、「格安」だ。
確かに「交通費にあまりお金をかけずに、現地でたっぷり遊びたい」という気持ちは、よく理解できる。

しかし「適正価格」と思われる価格よりも、異様に安い価格というものには「何等かの理由がある」はずだ。
いくら原油(「ガソリンの値段」と置き換えても良いと思う)が安くなっているからと言って、ツアーの値段が格段に安くなることはない。
価格そのものが異様に安い、ということは、どこかで無理をしているはずだ。
わかりやすく言えば、車両が古いとか整備費や人件費を削っている・・・などの理由がなければ、「格安」という料金は設定できないはずなのだ。
逆に言えば、あまりにも安い価格には疑ってみたほうが良い、ということになるかもしれない。

ただ一方で「規制緩和が、このような事故を招く一因だ」という方も、多くいらっしゃる。
バスツアーを運営できるほどの企業規模でもないのに、規制緩和で参入をしのでは?という、指摘だ。
確かにこの指摘は、間違っていないと思う。
問題なのは、参入をしてみたが運営できないと分かっても、撤退しにくいということもあるのでは?という、気がしている。
参入条件を厳しくすれば「規制緩和の意味がない」という考えもあると思うが、「規制緩和をしたのだから、撤退する自由もある」という、「撤退のしやすさ」ということも重要なのではないだろうか?
「撤退を決める時」が、事故を起こした後では意味がない。

日本の企業の体質?として、一旦新規事業に進出し、業績が芳しくないにも関わらず、ズルズルと事業を継続し、本体事業にまで悪影響を及ぼす、というケースがままとしてる。
とすれば、「撤退の目安」となるような指針も必要なのでは?という気がするのだ。
特に過去バスツアーで事故を起こした企業などの、事業規模を考えると業界全体として「ツアーの適正価格」と「事業撤退の目安」のようなものを作ったほうが、辞め時がわかりやすいのではないだろうか?

その結果として「格安」ではない「適正価格」の、ツアーが組まれるようになり、ツアーそのものが安心して楽しめるモノになると思う。


COCOイチの廃棄カツ流用を考える

2016-01-20 11:20:48 | アラカルト

カレーの「COCO壱番」で使用予定であったが、異物が混入していたため廃棄予定であった冷凍ビーフカツなどが、横流しされていた事件。
「COCO壱番」のカツ類だけではなく、様々な飲食店で使用され廃棄予定であった冷凍食品が、横流しされていたようだ。

廃棄予定の冷凍食品を横流しするというのは、「廃棄処分」を依頼した企業から処分費用を取り、横流しをした企業に販売をしているということになる。一つの商品に対して利益の二重取りをしていることになる。
この点を指摘している記事を見かけないのは、一番の問題点が「異物混入のために廃棄処分対象」となった、食品を横流ししていたという点だと思うのだが、一部報道では、一度解凍された物が、再冷凍されていた物もあったようだ。
横流しされた商品だと知らずに仕入れた業者側も、いくら安くても商品としての価値はないし、そのような商品を扱うこと自体問題だろう。

ニュースなどでは、このような点ばかりに注目されてしまっているようだが、廃棄される食品の量の多さにも、注目する必要があるのではないだろうか?
確かに、全国チェーン展開をしている「COCO壱番」にとって、廃棄処分予定であったカツ類の数量は販売数量からすると、決して多い数字ではないかもしれない。
他の横流しされた冷凍食品についても、同じことが言えるのかもしれない。
だが、これらの加工された食品は、「食べられるために加工された物」ということを考えると、どこか空しいというかかわいそうな気がするのだ。
加工された牛や豚、鶏だって、廃棄処分されるために、と畜されたわけではない。
その加工に携わった人たちも、「食べてもらうコト」を前提に仕事をしていたと思う。
それだけの労力を考えると、「廃棄処分」以外の利用を考える必要があるのでは?という、気がするのだ。
もちろん、事件の発端となった「COCO壱番」の「異物混入ビーフカツ」は別だ。

例えば、最近問題になっている「子供の貧困」。
貧困家庭の子供たちの多くは、夕食などをきちんと食べることができないケースが多い、と言われている。
そのため全国各地に、「こども食堂」を運営するNPOができてきている。
毎日ではないが、月数回このような「こども食堂」で同じような境遇の子供たちと、スタッフの大人が一緒に食事をすることで、子供たちを守ろうという動きだ。
このような活動をするNPOの問題は、その活動費や食品を集めることだ。
それをサポートする「フードバンク」などもできてきているようだが、なかなか上手くいっていないという話を聞く。

であれば、冷凍食品の廃棄を出す飲食店や小売などが、フードバンクに登録をし、定期的に廃棄前の食品を提供する、という方法は考えられないだろうか?
今や食品にかかわる問題は、「食の安全・安心」だけではなく、「食品廃棄」もクローズアップされてきている。
先日も、大阪の学校給食の廃棄にかかる費用が5億円分であった、という報道があった。
読売新聞:「冷たい」・・・大阪市の給食食べ残し、年間5億円
食べ残しの理由は、いろいろあるとは思うのだが、それにしても大きな額だ。

「食品廃棄」の問題は、「貧困」だけではなく「経済の問題」でもあると思う。



「SMAP」騒動で、だれが一番ダメージを受けたのか?

2016-01-19 16:42:15 | アラカルト

昨日の「SMAP✖SMAP」で、ご本人たちが登場し解散騒動についての「謝罪」があった。
と言っても、テレビ番組を見ていたわけではないので、その詳細は不明なので「謝罪」について、あれこれ言えないのだが、今回の一連の騒動で、「だれが一番ダメージを受けたのか?」と、考えてみると「SMAP」本人たちではないのでは?という、気がしている。

表面的には「SMAP」の育ての親と言われる、敏腕マネージャーが退社し「SMAP」本人たちからの謝罪があったので、ジャニーズ事務所側が「矛を収めた」というようなカタチとなっている。
表面的にはジャニーズ事務所側の「勝利(と言っては、変だが)」になっている。
一番の「勝利をおさめた」のはジャニーズ事務所ではなく、「SMAP」のファンの方々だっただろう。
ファンが「存続」を希望し、様々な運動や働きかけをすることで、「SMAP」がすでに自分たちだけのものではないと、心動かされたという部分が大きいと思うからだ。

むしろ一方一番ダメージを受けたのは、ジャニーズ事務所だったのではないだろうか?
ジャニーズ事務所+会社幹部たちといったほうが良いかもしれない。
というのも、スポーツ新聞などで報道される内容が事務所寄りの内容であればあるほど、ネットなどでは「ブラックなジャニーズ事務所」という趣旨の言葉が、飛び交うようになったからだ。
その中でも特に酷い表現をされていたのが、現在の副社長2人だった。

何より、これらの一連の報道で世間では知られていない「芸能事務所」の内幕のようなものが、次々と表に出てきてしまった。
例えば、事務所の一番の稼ぎ頭である「SMAP」が、今でも事務所内では冷遇された立場であるということ。
実力とは別に副社長のお気に入りになれば、実力や一般社会での評価とは関係なく「幹部扱いされている」ということなど、次々と出てきてしまったからだ。
事務所内では当たり前であったコトかもしれないが、一般社会と相当乖離した考えを持っているということが、社会に知らされてしまったコトで、「ジャニーズ事務所」のイメージそのものが悪くなってしまったのではないだろうか。
何より、テレビの生放送で「(新聞報道で知りえた範囲のことですが)事務所側に謝罪の言葉を述べさせた」というのは、決定的なイメージダウンを招くことになるのでは、ないだろうか?

一芸能事務所が今後どのようになろうとも、日本経済そのものに与える影響は「SMAP解散」よりも、少ないかもしれない。
問題なのは、そのコトに当事者である事務所側が認識していない、という点かもしれない。


「需要」とは、何か?

2016-01-18 10:57:29 | マーケティング

毎日新聞のWEBサイトを見ていたら、「パキスタン★12歳まで飲まれる粉ミルク 明治」という、記事があった。
毎日新聞:パキスタン★12歳まで飲まれる粉ミルク 明治

記事を読むと、なぜ12歳まで粉ミルクなのか?という、理由がわかり「そのような需要があるのか!」と、納得した次第だった。

日本では、粉ミルクそのものを利用するのはある一定年齢まで、と決めてしまいがちだが、「粉」という状態であるコトを考えれば、年齢に合わせた栄養素を加えることはしやすいかもしれない。
何より「保存性」という点は、飲料水よりもはるかに勝る。
パキスタンという、衛生環境が日本と比べあまり良くない国であれば、この「保存性」が大きな需要となるのだろう。

マーケティングにとって、「需要を知る」ということはとても重要なことだ。
そのためには、この記事の明治のようにその地域に根差し、評価を受け続けること(明治製品で大きくなった子供は「メイジ・ベビー」と呼ばれるという記事内容は、その一例だろう)で、ブランドという社会的信頼を得ることができる。
これらがそろうことで、おそらく明治は「12歳まで飲める粉ミルク」という、日本では考えられない商品をつくり出すコトができたのだと思う。

その「需要」という視点でこの商品を見てみると、パキスタンよりも衛生環境が過酷な国や地域が世界中には、たくさんあるコトに気づく。
今現在国連のWFP(国連世界食糧計画)が中心になって、食糧支援をしているような地域だ。
このような地域は、主に子供たちへの栄養支援を目的としているが、もっと視点を変えると「高齢者」という需要も考えられる。

「飽食の時代」と言われて久しい日本だが、一部高齢者の中には「栄養失調」の傾向がみられると、言われている。
昨年、父が心筋梗塞で倒れ、入院をしていた時も担当主治医が心配したことは「高齢者の栄養失調」だった。
「高齢者の栄養失調」というのは、食べるものがない栄養失調ではなく、食べられる量が少なくなる栄養失調という点で、おそらく高齢者社会になりつつある先進諸国で起こりつつある問題という気がしている。
事実明治は、高齢者向けの栄養飲料「メイバランス」という商品を出している。

一つの商品の需要から、様々な社会的問題を解決するために「需要」を見つける、ということもまた企業にとっては、とても大切なことだ。
そのような「需要を見つける視点(=社会的問題の解決を見つける)」を、持ち続けることが大切なのだということを、この記事は教えてくれている。