日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「多様性のある組織」が企業価値を高める?

2023-06-29 19:54:49 | ビジネス

昨日エントリをした「人的資本の情報公開」について。
今日が、株主総会のピークだったようだ。
今日の株主総会で、初めて「人的資本の情報公開」という項目が、明記され公表した企業のピークであった、ともいえる。
参加した株主さんたちのうち、どれほどの人が「人的資本の情報公開」という項目に、注目されたかは分からないが数年後には定着し、企業経営の一つの指針と見られていくかもしれない。

昨日のエントリでは触れなかっただが、この「人的資本」の中には「多様性」ということも含まれているかもしれない。
というのも、「多様性のある企業は(企業経営の)健康度が高い」かもしれないからだ。
Huffpost:多様性を理解する脳は、健康度が高い?組織経営における3つのメリット【研究結果】 

日本の企業でも「多様性の重要性」のようなものは、随分前から言われてきたように思う。
その時代ごとに言葉は違ってきているが、最近までよく使われていた言葉が「ダイバーシティ」だろう。
そして、先日「問題が多い」と批判されながらも(強引に)成立した、「LGBTに関する法案」等も、「(建前として)日本も多様性のある社会になっている」という、コトを示す為だったのだろう。
NHK:LGBT法案 与党案の修正案衆院本会議で賛成多数で可決

とはいっても、現実はどうなのだろうか?
日本のジェンダーギャップは年々下落し続けている。
障害を持った人達が、自立した生活ができるような支援施設は数少なく、大手企業が雇用をしてはいるが、その実能力に合わせた働き方とは言い難い、という指摘が再三されてきている。
LGBTの人たちだけではなく、海外から「研修制度」で来日した人達に対しても、同様だろう。
そう考えると、日本の現実は「多様性」とか「ダイバーシティ」とは、随分離れている社会である、ということになる。

このような書き方をすると、「そんなことは無い!」と思われる方も、いらっしゃると思う。
問題なのは「制度」や「言葉」ではなく、これらの「多様性の本質を頭で理解し、心で納得し、行動するコトができているのか?」ということなのだ。
Huffpostの記事では、最初の「多様性の本質の理解=寛容性」と「行動」が、脳に良い影響を与える、ということを指摘しているのだ。
多様性を認める=他者に対する寛容性だと考えると、脳はフル回転で相手に興味・関心を持ち、理解しようとしているはずだ。
結果として、多様な視点が生まれたり、問題解決の糸口を見つける事ができる「柔軟性に富んだ脳」を動かすことができるようになる。
言葉や制度としての理解ではなく、脳と心の理解と納得が無くては、このような「柔軟性のある能」は、育たない(と思われる)。

先日、面白い記事を読んだ。
それは、江戸時代の日本人の識字率の高さについてだ。
Yahoo!トピックス(AERA dot.):「学年なし」「時間割りなし」だった江戸時代の教育、世界一識字率は「多様性」が支えていた 

一部では「寺子屋」がある地域では、識字率が高かったかもしれないが農村などでは、そのような状況ではなかった、という説もあるだろう。
ただ、「寺子屋」という日本独自の教育スタイルは、その後欧州の教育が熱心な国でも考えとしては取り入れられているのでは?
「児童生徒の学習速度に合わせた個別学習」という、考え方そのものだからだ。
そのような国の多くは、多様性のある国々であるということもご存じだろう。

あくまでも一つのヒントだが、「寺子屋」のような企業文化を持つことが、多様性を認め合え、より柔軟な知性が集まる組織となり、それがより企業価値を高める、ということになるのではないだろうか?
少なくとも、精神疾患で休職する人達が多い企業は、組織として硬くなっていると、考えた方が良いのかもしれない。


「人的資本の情報開示」と決算

2023-06-28 21:53:09 | アラカルト

先日、ラジオの情報番組を聞いていたら3月期決算から「人的資本の情報開示」が義務化された、という話題を取り上げていた。
3月期決算から義務化された、ということはこの5月~6月にかけての株主総会で提出されている決算報告書に、記載されるという内容ということになる。

そして「人的資本の情報開示」の内容というと、これまで人件費として計上されていた費用とは別に、従業員として働く人達一人ひとりを人財として考え、企業の資産とする、という考えだ。
問題となるのは、その「人財」としての企業の考え方であり、その評価・判断の基準ということになるはずだ。
分かりやすいのは「スキルアップシート」のようなものだろう。
企業が考える「職能スキル」により、より高い職能スキルを持っている人達=人財が多い、という考え方だ。
しかし、この「人的資本の情報開示」は、それほど簡単なことではないようだ。
Diamond on-line:3月期決算から義務化「人的資本の情報開示」のメリットと課題 

分かりやすく言えば、「職能スキル」の男女比の内訳を求められている、ということも含まれているということになる。
何故男女比が求められるのか?と言えば、「ジェンダーギャップの問題解消に取り組んでいる」、ということを示す必要があるためだ。
男性ばかりが多いということになれば、女性の能力活用をしていない、あるいは職能スキルを向上させる機会を与えていない、ということになるからだ。
他にも、男性の育児休暇取得率や産業医などによる労働環境判定なども、加わっているはずだ。
以前のような、企業の業績結果だけで「良い企業」か否かと判断される時代ではなくなってきている、ということだろう。

もう一つこのような「人的資本の情報開示」は、より企業にあった人財を集める事が可能になるかもしれない。
これまで一般的に言われていた「ホワイト企業」というよりも、「働く人一人ひとりが、充実感を持って仕事をしている」ということが、企業価値を上げる事に繋がるということだ。
企業価値を上げるということは、投資家にとっても一つの判断目安となる、ということでもある。
だからこそ、決算報告書に記載するコトになったはずだ。

もう一つは、求める人財を企業内でわかりやすくさせる、というメリットもあるかもしれない。
企業と働く人のミスマッチを減らし、労働力の流動化を図りやすくする、ということだ。
そう考えると、働く側も自分自身で職能スキルを向上させるだけではなく、育児や老親介護などにも積極的に取り組まなくてはならない、ということでもある。
もちろん、専門家のサポートも活用しながら、ということにはなるのだが、「人的資本」という言葉には、企業側の努力だけではないモノも多く含まれている、と知る必要があるかもしれない。



社会とWIN-WINな関係を築くことが、ブランド価値を上げる

2023-06-27 19:43:38 | マーケティング

Yahoo!のトピックスを見ていたら、「企業のブランド価値を上げる」参考例となりそうな記事があった。
Jcast News:介助必要な子の親から、感謝の声が…ユニクロが「160㎝サイズの子ども用ボディスーツを作ったきっかけ 

記事では「ボディスーツ」となっているが、商品名としては「ロンパース」になっている。
子育て中の方ならご存じだと思うのだが、活動が活発になり始めた赤ちゃんが着る普段着のようなモノで、上下一体となっている。
上下一体となっている為、活動が活発になった赤ちゃんでもお腹が出ないだけではなく、おむつなどを替えるのもしやすく、高い洗濯頻度にもある程度耐えうる、素材とデザインのものが多い。
もちろん、赤ちゃんの肌に直接触れるものなので、肌触りや吸水性なども素材選びとしては重要なポイントになっている。
いうなれば、「機能美」が優先されるデザインのベビー服の一つ、だと考えれば良いのかもしれない。

そのロンパースに違う市場があった、というのが今回の話だ。
上述したように、ロンパースそのものは赤ちゃんの時期に着るものなのだが、視点を変えたことで160㎝サイズという大人サイズのロンパースが、製造・販売されることになった、というのが記事の内容になる。

おそらく「160㎝サイズのロンパース」そのもの市場は、決して大きなものではないと思う。
何故なら、「ロンパース」を着るのは乳幼児だからだ。
いくら大きな赤ちゃんであっても、160㎝という体格で生まれるわけではない。
160㎝と言えば、日本女性の平均身長よりもやや高いくらいなのではないだろうか?
そう考えれば、「160㎝サイズのロンパース」そのものは、最初から新生児~1歳くらいの乳幼児を対象として、つくられてはいない、ということが分かる。

元々、ユニクロ側にこのような視点があったわけではなく、「140㎝サイズのロンパース」を利用していた障害児の親ごさんのTwitterが、拡散されたことによるもののようだ。
「SNSの力が企業を動かした」という、好例だともいえる。
まいどなニュース:売れないからって「廃番にしないで」→投稿理由を知ったユニクロが英断「声って届くんだ」「なくてはならない商品だった」と感動の声

よく言われる「お客様の声をきく」という活動の中にSNSを活用した、ということになるのだが、注目すべきは「自社の商品やサービスが、困っている人の助けになる」という視点だろう。
このような生活者と社会の問題解決を行うことで、企業のブランド価値は上がる。
ブランド価値が上がれば、当然企業価値は上がる。
結果として、社会と企業がWin=Winな関係ができ、より生活者からの信頼を勝ち取ることができる、という好例だと思う。



「ワグネルの反乱」の要因は何だろう(妄想)

2023-06-26 18:05:08 | 徒然

週末いきなり飛び込んできた(?)「ワグネル」というキーワード。
「ワグネルって何?」というところから始まり、「どうやら軍事産業の会社らしい」、「プーチン政権の黒い部分を担う軍部隊のような存在」と、様々な情報が出てきた。
「ワグネル」という企業の情報を持っていない私としては、ただただ頭に「???」が付く週末だった。

今日になって、いろいろな情報が出てきた中で、興味深いと感じたのが「ワグネルの反乱は、プーチン政権の終わりの始まり」という話だった。
朝日新聞:造反ブリゴジン氏に甘い対応 識者「プーチン体制の終わりの始まり」 

これまでの情報で分かっているのは、「ワグネル」という企業はプーチン政権において影の仕事を担っていたらしい、という点だ。
プーチン政権下で、プーチン氏に対して厳しい態度のジャーナリストやプーチン政権に反対をする政治家などが、怪死した事件などが過去何度もあった。
もしかしたら、このような事件を担っていたのが「ワグネル」という企業であったとすれば、プーチン氏にとっては「アキレス腱」のような存在なのでは?
自分の弱みを握っている相手、ということになるからだ。

それだけではなく、ロシア軍の不足分を「ワグネル」という企業が担っていたとすれば、ロシア軍の実力や武器装備などはこれまで伝えられていたようなモノではない、という可能性もある。
そのようなことが表沙汰になれば、今まで「マッチョ(精悍で力強い)プーチン」というイメージが崩れてしまう。
イメージが崩れるだけではなく、統率力という点でも難しい局面を迎えるかもしれない。
少なくとも、プーチン政権下における軍事的統制は、プーチン氏の力だけではなかった、とみられる可能性もあるのでは?

では、何故・今・この時期に「ワグネル」という軍事企業が、プーチン氏に反旗を翻るような行動に出たのか?ということを考える必要があると思う。
1.上述したように、今回の「ウクライナ侵攻」の実質的な指揮を執っていたのが「ワグネル」の代表・ブリゴジン氏であった。
2.ウクライナ侵攻の為の物資、特に石油関連の供給がされなくなった(もしくは、激減した)。
3。ロシア経済が既に破綻しており、ワグネルに対する支払いが滞っている。
等が考えられるのかな?と、妄想したのだ。
あくまでも、私の妄想なので、本当にプーチン政権とワグネルとの間で、何があったのかは分からない。

ただ一つ言えるのは、影の黒い仕事をさせてきた相手に対して、強硬措置をとっていないように見える事だ。
実際は、ブリゴジン氏は既に亡くなっているかもしれない。
なんといっても、彼は「プーチン氏の後ろ暗い部分を知りすぎた男」なのだ。
ブリゴジン氏を亡き者にすれば、それはそれで新たな「ワグネルとプーチン政権の関係」に対する疑惑のようなモノが、新たなプーチン政権の火種となる可能性もある。
「ワグネル」を叩いても、新たな疑問を抱かせるだけだ。
プーチン氏にとって、造反者であっても甘い対応をせざる得ない、ということなのかもしれない。

そして、戦争そのものは莫大なお金を要する。
最初は数か月以内で収束させるつもりのウクライナ侵攻が、長期化するに従いロシア経済そのものも大きく傷んでいるはずだ。
となると、かつてBRICSと呼ばれた頃のような経済発展は期待できないどころか、後退をしている、と考えるべきだろう。
ロシア産原油の高騰は、欧州諸国を中心に、相当大きなダメージを与えてきているが、それ以上の経済的ダメージをロシアは受けている、と考える必要がある。

これらは、あくまでも私の妄想である、ということだけはしっかりわかって欲しい。


「暴走列車」には乗りたくない‐マイナンバーカードに対する政府の対応‐

2023-06-23 19:04:45 | 徒然

「マイナンバーカード」のトラブル解消が見えてこない、という状況が続いている。
政府は、「マイナンバー情報総点検本部」を設置して、問題解決策を探るようだが、そもそもこのような「対策本部」が立ち上がること自体、おかしな話だ。
首相官邸HP:令和5年6月21日「マイナンバー情報総点検本部」 

私のような一市民から、ツッコまれたくないと思うのだが、対策本部のネーミングが気になる。
今回問題になっているのは「マイナンバーカード」であって、「マイナンバー」ではない。
元々の情報に「マイナンバーカード」を作成するにあたり、様々な情報を付け加えてしまったコトで、起きた問題のはずだ。
その部分を見誤ってしまうと、「マイナンバー」そのものが問題ということになる。
思わず、「大丈夫だろうか?」と、心配をしてしまう。

このような問題が次々と発覚しているにもかかわらず、政府からは「一時的マイナンバーカードの発行停止」などのアナウンスがされていない。
今日も、「マイナンバーカードを作ってください」の推進キャンペーンは展開されている、と考えた方が良いのだろう。

このような「混乱中のマイナンバーカード」だが、官房副長官がテレビ局に出演し「紙の健康保険証の取りやめは考えていない」という趣旨の話をしている。
TBS DIGITAL:木原官房副長官「紙の健康保険証の廃止のとりやめは考えていない」マイナ保険証一本化で 子ども財源は”国債に頼る考え”にじませ(動画あり)

ここまでの政府の「マイナンバーカード」に対する思い入れが激しすぎて、まるで「暴走列車」のようだ。
「とにかくやると決めたら、絶対にやる!」という決意の表れなのだろうか?
トラブルが起きようとも、とにかく推進するのみ!!という、考えが個人的には怖すぎる。
今暴走している列車に、ブレーキをかける術を持たない人が乗り込むとでも思っているのだろうか?
生活者がブレーキをかける事ができるとすれば、選挙でその意思を表明するしかない。
その選挙も、見送られてしまった現在、抵抗するとすれば「マイナンバーカードを作らない」という方法しかないだろう。
既に作ってしまった人は「保険証代わりにマイナンバーカードを使わない」という方法しかないのでは?

それにしても政府は何故、意固地になって「マイナンバーカード」を推し進めようとしているのだろう?
一連のトラブルを完全に解消させてからでは、遅いのだろうか?
一般企業の場合、このようなトラブルが発生したときは、全ての工程を一旦止め、問題点の洗い出しを行い、解決策を考え、実行する。
それでトラブルが全て解消した時点で、新たな方法で再スタートをさせる。
一見時間と労力、費用の無駄のように思えるが、トラブルをこれ以上拡げさせない為には、このような方法しかない(と思う)。
にもかかわらず、走り出したら止まらない「暴走列車」のように、進み続けるのは、トップやその周辺の人たちの判断力の低下という、気がする。

個人的には、「岸田暴走列車」に乗りたくないのだが・・・。


「糟糠の妻」や「良妻賢母」に縛られてはいないか?

2023-06-22 20:12:07 | ライフスタイル

「国際婦人年」を前に、毎年発表される「ジェンダーギャップ」。
今年の日本は、過去最低の125位だったようだ。
朝日新聞:男女平等、日本は世界125位で過去最低 ジェンダーギャップ報告 

これまでも日本のジェンダーギャップについては、先進諸国の中でも低い順位にあった。
そして、毎年のように下がっていった、という印象を持っている。
順位が下がった理由は、おそらく諸外国の改善努力の結果なのでは?という、気がしている。
言い換えれば、この「ジェンダーギャップ報告」がされるようになってから、日本は男女平等について努力をさほどしてきていない、ということなのだと思う。

では何故、ジェンダーギャップ報告が毎年され、問題点の多くが指摘されながら改善されないのか?という点が、一番の問題なのではないだろうか?
その背景にあるのが「糟糠の妻」や「良妻賢母」という、結婚した女性に対する理想像を未だに社会が信じている、ということのような気がする。

「糟糠の妻」というのは、経済的に豊かではなくても、しっかり家計を運用する能力の高さを示す意味がある。
いかに少ない収入であっても、無駄を出さず、家計をやりくりできる、優秀な主婦像だ。
このような、少ない収入であっても家計をやりくりできる能力があれば、今の時代多くの企業の経営陣が必要としている能力のようなものだ。
それは、赤字国債を発行し続け、これと言った経済政策を打つことができない政治家や官僚についても、求められる能力かもしれない。
「良妻賢母」についても、良きパートナーであり、賢い養育者と考えれば、その能力は今の社会に求められている能力だと言えそうだ。
それらの言葉を家庭と結びつけ、縛り付けているのだとしたら、社会的損出だろう。

にもかかわらず、それらの優秀な能力を活用できないのは、ある種の固定観念に縛られているからなのでは?
一つは、主婦は社会参加の対象者ではない、という思い込みだろう。
もう一つは、これらの言葉の中には「無償」が含まれている、という点だろう。
それは「父権主義」という社会文化の中だったからこそ、暗黙の了解として、認められてきただけに過ぎない。

いずれにしても「糟糠の妻」も「良妻賢母」も、家庭という場に限定して使われる言葉だ。
確かに、社会経験のない主婦が、いきなり企業で仕事を始めても、戸惑うばかりで仕事にならない、ということは度々起こるだろう。
それは「企業で働く」という、経験の無さからきていることなのだが、年功序列的な感覚でいえば、「歳だけ取った未経験者」は労働力として下に見られても当然、という暗黙の了解があり、十分なスキルアップのチャンスさえ与えられていない、という場合も多々あるのでは?

上述したように、「糟糠の妻」や「良妻賢母」と言った能力は、むしろ性別を問わず経営者や政治家に求められる能力の一つ、なのではないだろうか?
男性優位、権力主義的「父権主義」に固執する思考が続けば、日本の力(特に経済面)が低下し続けるような気がするのだ。
まぁ、(か弱い)女性の一生を庇護し続けてくれる男性を求める女性がいる、ということも確かだとは思うのだが…。




「糟糠の妻」や「良妻賢母」に縛られてはいないか?

2023-06-22 20:12:07 | ライフスタイル

「国際婦人年」を前に、毎年発表される「ジェンダーギャップ」。
今年の日本は、過去最低の125位だったようだ。
朝日新聞:男女平等、日本は世界125位で過去最低 ジェンダーギャップ報告 

これまでも日本のジェンダーギャップについては、先進諸国の中でも低い順位にあった。
そして、毎年のように下がっていった、という印象を持っている。
順位が下がった理由は、おそらく諸外国の改善努力の結果なのでは?という、気がしている。
言い換えれば、この「ジェンダーギャップ報告」がされるようになってから、日本は男女平等について努力をさほどしてきていない、ということなのだと思う。

では何故、ジェンダーギャップ報告が毎年され、問題点の多くが指摘されながら改善されないのか?という点が、一番の問題なのではないだろうか?
その背景にあるのが「糟糠の妻」や「良妻賢母」という、結婚した女性に対する理想像を未だに社会が信じている、ということのような気がする。

「糟糠の妻」というのは、経済的に豊かではなくても、しっかり家計を運用する能力の高さを示す意味がある。
いかに少ない収入であっても、無駄を出さず、家計をやりくりできる、優秀な主婦像だ。
このような、少ない収入であっても家計をやりくりできる能力があれば、今の時代多くの企業の経営陣が必要としている能力のようなものだ。
それは、赤字国債を発行し続け、これと言った経済政策を打つことができない政治家や官僚についても、求められる能力かもしれない。
「良妻賢母」についても、良きパートナーであり、賢い養育者と考えれば、その能力は今の社会に求められている能力だと言えそうだ。
それらの言葉を家庭と結びつけ、縛り付けているのだとしたら、社会的損出だろう。

にもかかわらず、それらの優秀な能力を活用できないのは、ある種の固定観念に縛られているからなのでは?
一つは、主婦は社会参加の対象者ではない、という思い込みだろう。
もう一つは、これらの言葉の中には「無償」が含まれている、という点だろう。
それは「父権主義」という社会文化の中だったからこそ、暗黙の了解として、認められてきただけに過ぎない。

いずれにしても「糟糠の妻」も「良妻賢母」も、家庭という場に限定して使われる言葉だ。
確かに、社会経験のない主婦が、いきなり企業で仕事を始めても、戸惑うばかりで仕事にならない、ということは度々起こるだろう。
それは「企業で働く」という、経験の無さからきていることなのだが、年功序列的な感覚でいえば、「歳だけ取った未経験者」は労働力として下に見られても当然、という暗黙の了解があり、十分なスキルアップのチャンスさえ与えられていない、という場合も多々あるのでは?

上述したように、「糟糠の妻」や「良妻賢母」と言った能力は、むしろ性別を問わず経営者や政治家に求められる能力の一つ、なのではないだろうか?
男性優位、権力主義的「父権主義」に固執する思考が続けば、日本の力(特に経済面)が低下し続けるような気がするのだ。
まぁ、(か弱い)女性の一生を庇護し続けてくれる男性を求める女性がいる、ということも確かだとは思うのだが…。




「訳あり品」販売は、大手にも広がり始めている

2023-06-21 20:54:49 | マーケティング

Huffpostに、「時代だな~」と感じる記事があった。
Huffpost:「訳ありムーンライト」森永製菓が発表。製造時に割れたクッキーを無駄にせず商品化 

森永製菓が発売しているクッキーは何種類かある。
その中で、ムーンライトが選ばれたのは、製造途中で割れたり、欠けたりする製品が多いからだろう。
他にもチョイスやパイ生地のリーフなども割れたり、欠けたりしやすいお菓子なのでは?と、思っている。
そのような「割れたり・欠けたり」したお菓子を「訳あり品」として、販売するということは良いことだと思うし、何故今までなかったのか?と、思ってしまう。

日本では、「久助せんべい」と呼ばれる、お煎餅やおかきなどの不ぞろい品をまとめて、格安で販売をする、という商習慣があった。
「久助せんべい」というのは、特定のブランド名ではなく、いわゆる「割れせん」をまとめて格安で販売している袋菓子のことだ。
他にもお菓子の製造販売会社が独自で「訳あり品」として格安で販売をすることは、以前からあり今では、ネット販売の人気商品となっている。
日本では「訳あり品」に対しての抵抗感が少ない、という社会文化が以前からあった、ということになる。

そう考えると、森永製菓の「ムーンライト訳あり品」の販売は、決して早いわけではない。
ポイントとなるのは、大手製菓会社が全国で展開をする、という点だろう。
意外に思われる方もいらっしゃると思うのだが、実は「訳あり品」としてではなく、ここ数年「〇〇だけ集めました」という、お菓子が増えているのをご存じだろうか?
例えば、不二家のホームパイのみみだけを集めた「ホームパイみみ」という商品がある。
「ホームパイのみみ」だけを焼いて、パッケージをしているのか?と考えると、元々は違うのでは?という気がしている。
今回の森永製菓の「訳ありムーンライト」が、発売される前からこのような「商品として流通できないもの」を集めて、販売をするという製菓会社はあった、ということになるのでは?と、考えている。

以前からこのような「訳あり品」を商品化している企業があり、社会にも受け入れられていたのに、何故今なのか?ということを考える必要がある。
考えられるのは「フードロス」への取り組みだろう。
「フードロス」と言った時、多くの人が思い浮かべるのだが「コンビニのお弁当」なのでは?
しかし「フードロス」にもいろいろな段階があり、「コンビニのお弁当」の他には製造過程で出てくる「製造ロス」や購入食品の消費期限までに使いきれなかった「フードロス」、野菜などの過剰な豊作による出荷前に価格維持の為の「フードロス」等がある。
それらの様々な段階で、少しづつ「ロスを減らす」、「加工などによる製品化」、「堆肥化」という方法をとる必要がある。

その取り組みの一つとして、定番の人気商品を取り上げる事で、フードロスに取り組んでいる、SDGsの取り組み、あるいは環境問題への取り組みが、生活者と企業と社会の「Win‐Win-Win」という関係になる、という企業イメージのアップにも繋がっていくという狙いもあるのではないだろうか?


人海戦力でもなかった、マイナンバーカードトラブル

2023-06-20 22:31:12 | アラカルト

昨日エントリをした「マイナンバーカード」に対する、カード普及の為に「マイナポイント」という目先の利益という「人参作戦」を展開した結果のトラブル。
その要因の一つが判明したような記事があった。
朝日新聞:6千人の個人情報、5人でパソコンに手入力・・・マイナンバーカード混乱の現場 

この見出しを見た時「嘘でしょ!」と、驚いた。
6千人の個人情報を5人で、どれだけの時間と日数をかけ入力をしたのかは、不明なのだが、いつまで日本は「人海作戦」という、気合と根性型の社会から抜け出せるのだろう?

ご存じのように、今の事務作業はデータ入力を手入力からスキャニングなどの方法へと変わりつつある。
例えば、家計簿などもレシート読み取りスキャナーのようなモノで管理できるようになっている。
実際、家計簿を付けられる方がこのような道具を使っているのかは、不明だがネット通販などでは当たり前のように販売されている商品になっている。
その理由の一つが、「確定申告」時の作業効率化。
企業や個人事業主などにとっては、来年から実施される「電子帳簿保存法(「インボイス制度」)」に対応するため、このようなスキャナー導入が進められているようだ。

とすれば、何故手入力ではなくこのようなスキャナーを活用しなかったのだろう?
家計簿とマイナンバーとでは、情報内容が違うことは重々承知しているが、スキャナーという機能については同じはずだ。
申請書類をスキャナーする手間と時間、その為の人件費と、パソコンに手入力する手間のと時間、人件費の差は、どれほどあるのだろう。
まして、スキャナーで読み取る場合と、パソコンで手入力する場合とでは、その担当者の習熟度の違いもあるはずだ。
当然、今回問題になったような入力ミスなども、手入力ではありがちなミスだ。
入力する人の能力というのではなく、人が行う作業として避けられないミスだと、考えた方が良いと思う。

そのような様々な条件や状況、政府が打ち上げた「普及速度」等を考えれば、「人海戦力」で対応するにも限度があり、人的ミスというリスクもわかっていなくてはいけなかったはずだ。
手入力に代わる方法がないのであれば、作業をする人を増やすしかない。
作業をする人を増やさず、ミスを少なくするというのであれば、既にある技術で対応できるモノを活用するしかないはずだ。

その両方をケチった結果、今のような状況を生み出しているのであれば、「マイナンバーカード」の普及推進をした政府側が「マイナンバー」そのものを軽く見ていた、ということになるのでは?
となると、デジタル庁は一体何を考えていたのだろう?
デジタル化する為に、「ミスなく・素早く・管理しやすい」という方法を、考える必要があったのではないだろうか?


目先の利益を優先させてはいないか?

2023-06-19 18:58:22 | アラカルト

このところ何かと話題になっている、ChatGPT。
海外諸国の対応を見ると、EU諸国だけではなく米国も慎重な姿勢を示している。
それに対して、日本はWelcome状態、という感じだろうか?

欧米で慎重な態度を示しているから、日本も同じように慎重になれ!と、言う気はない。
ただ、今の日本政府にChatGPTというモノが、どれだけ理解されているのだろうか?とか、産業振興として考える為の問題点の洗い出し、リスクなどをどれだけ把握しているのだろう?という、様々な疑問がわいている。
というのも、先日朝日新聞にChatGPTの開発企業のCEOが「日本を拠点に」という趣旨のインタビュー記事が、掲載されていたからだ。
朝日新聞:チャットGPT、日本に拠点「加速」アルトマンCEOインタビュー 

このインタビュー記事の見出しを見た時、「そりゃそうでしょう、欧米諸国がチャットGPTに対して様々な法的規制を掛けようとしているのに、日本は何もしていないのだから」という感想を持った。という上述した通り、欧米諸国ではChatGPTに対する、社会的理解と議論、法的整備ができていないなどの理由で、消極的というか慎重な立場をとっている。
それに対して、日本では「新しいIT技術」として連日、話題として取り上げている。
ChatGPTに対する理解が十分でない私が見ても、「何かメリットがあるIT技術」という取り上げられ方がされているように感じるほどだ。
「メリットには必ず、リスクとなるモノがある」はずなのだが、そのリスクとなる話題そのものが、数少ないように思えるのだ。

そして今日の朝日新聞に「ChatGPTに関するリスクの一つ」について、記事があった。
朝日新聞: 「日本は個人情報集めやすい」ChatGPTを使うサービスの注意点 

この記事を読んで、今まさに問題となっている「マイナンバーカード」を思い浮かべた方もいらっしゃるのでは?
拙ブログで指摘しているが、今回の「マイナンバーカードに対する問題」は、「マイナンバー制度」に対しての問題ではなく、「マイナポイント」等を使って急速に「マイナンバーカード保有者を増やしたい」という、政府の思惑通りになった一つの結果だと考えている。
おそらく、「マイナンバーカード」を作った人達の多くは「マイナポイント」と呼ばれる、還元金目的でつくったのではないだろうか?
「目先の利益を求め、結果大きなリスクを負ってしまった」ということなのだと思う。

だからと言って、今回「マイナンバーカード」を作った人達を揶揄する気はない。
そのように持って行ったのが、政府だったからだ。
「マイナンバーカード」推進に当たって、政府はとても積極的な広告を打っていた。
そこにあるのは、「メリット」ばかりでその裏(というか?)にある「デメリットやリスク」についての説明などは、ほとんどなかったのではないだろうか?
あったとしても、とても小さな文字で書いてあり「デメリットやリスクの説明はしている」と言う体をとっている、だけだったのではないだろうか?

「個人情報保護法」が制定された直後、やたらと「個人情報なので」という方がいらっしゃった。
しかし、私たちが当たり前に認識している「個人情報」よりも、より重要な個人情報が今回の「マイナンバーカード」のトラブルで流出している、ということが判明した。
そのような状況になって初めて、騒ぎ出すのは仕方ないことかもしれないが、目先の利益に走った結果でもあるという反省もまた必要だと思う。

ChatGPTは、マイナンバーカードよりもより深い個人情報を集める事が容易だろう。
だからこそ、ChatGPTのCEOは「日本を拠点としたい」と言っているのだ。
新しく革新的技術は、私たちの生活を豊かにする可能性を秘めている。
反面、私たちの生活を脅かす存在でもある、ということを十分理解する必要があるだろうし、そのような理解の上で産業振興を考える必要があるのではないだろうか?