僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

美術館『えき』KYOTO~【ピカソ 版画をめぐる冒険】~

2018-10-05 06:45:45 | アート・ライブ・読書
 「日本のゴーギャン」と呼ばれる田中一村は移住した奄美で生涯無名のまま人生を終えたといいます。
一村は南国の風景に魅せられ、50歳を過ぎてから奄美に移住し、奄美の野鳥や植物・植物・熱帯の魚類などを精巧な筆致で描いた画家になります。

その田中一村は奄美へ移り住んだ時に「ピカソ画集」を携え、何度も読み返し、また時にピカソの絵について語ったといいます。(西日本新聞社編「日本のゴーギャン 田中一村」より)
奄美の自然を描く孤高の画家・一村はなぜピカソに思い入れを感じたのでしょう?

京都伊勢丹の美術館『えき』で開催されていた「ピカソ 版画をめぐる冒険」でピカソの多数の作品を観てもその理由は全く分かりませんでした。
月並みな言葉で書くと“天才は天才を知る”ということなのでしょう。



美術展は「第1章 版画家ピカソの主題」「第2章 過去の巨匠たちへの賛辞」に分かれ、それぞれの章のセクションでテーマが分類される構成となっていました。
セクション1「肖像画」では同じ題材の人物画でありながら、写実的な絵とキュビズムの影響下にある作品の対比が印象的。
セクション2「静物画と動物の表象」は牝牛・ロブスター・フクロウ・ハトなどが黒1色で描かれているリトグラフには思わず“これがピカソ?”と思うような作品が並びます。


ポストカードより・・・展示はなし

第1章はセクション3「芸術家とモデル」セクション4「裸体画」と続きますが、裸体画では精密の描かれた絵とアールブリュット作品のようなものまであるのが興味深い。
セクション5「神話と古代」では題材が牧神や神話からとっているにも関わらず、黒のみで描かれたその絵には東洋画のような雰囲気さえあります。



第2章へ入ると、過去の巨匠たちの絵をある意味“茶化したような”絵が続きます。
“過去の芸術を破壊する・偶像破壊の芸術家”と解説されていたピカソのこれらの絵からは“下品なデフォルメのなぐり書き”といった印象しか受けませんでした。

過去の芸術の再解釈ということになるようですが、理解するのは難しそうです。
むしろ、よりシンプルでミニマム。ポップで色彩の美しい作品の方に興味がひかれたように思います。



美術展を出てショップを見て回っている時に目に飛び込んできた絵(ポストカード)が1枚。
“○○さんの絵がある!”と驚いたのですが、下の絵はもちろんピカソの絵です。

“○○さんはピカソからの影響も受けていたんだ”と思わずにはいられない発見に、妻と2人で納得する次第でした。
絵師はいろいろな過去の絵画から影響やインスピレーションを得て、自分の独自作品の世界を表現されていくのでしょうね。



田中一村はピカソの女性像の絵を見て、“この鼻の線の1本が素晴らしい”“しかし髪の毛の1本が気に入らない”と話したといいます。
全く作風の違うピカソに対して、一村は何を読み取ろうとしていたのでしょう。
天才たちの世界は素人には計り知れないものがありそうです。



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