床のリフォーム。
俺たち親の寝室は、畳敷きの和室だ。
しかし、俺は畳のハウスダストにアレルギーがある。一時収まっていたのだが、10年位前に再発し、毎晩布団に入るときが辛かった。
なので、この部屋はフローリングにしてしまうのだ。
和室のテイストを残すべく、ここは奮発して、杉の無垢板を張ることにした。
自分でやれば工賃タダだからな。
購入したのは、135mm X 15mm X4000mmの、抜け節に埋め木処理してあるフローリング材。
これは生き節。
これは節穴の埋め木。
出雲の杉らしい。
ここから購入したわけでなく、シンリン共同株式会社さんに発注したら、ここから届いたのだ。
杉は束になっても軽い。普段、仕事で生のミズナラとか扱ってると、冗談みたいな軽さだ。
畳をすべて上げて、荒床にした。
荒床はざっと掃除する。
畳表の切れっ端が落ちていた。
まずは下地になる捨て張りをする。
根太になる小垂木と、断熱材のスタイロフォーム、それに捨て張り用の12ミリ合板。
畳の厚さは2寸なので、フローリングの15ミリ、下地の12ミリを引いて、33ミリが根太の高さになる。近似値で、1寸、すなわち30ミリになる、1寸X1寸5分の小垂木を、1寸の面が高さ方向になるように使う。
スタイロフォームは30ミリ厚。
これで、元の畳の面より3ミリほど低くなるだけで、敷居にも段差というほどの段差はできないはずだ。
根太を並べていく。
荒床の下の根太と直交する方向にしないと、固定できない。
間隔は、30センチ。両端にも置く。最後の1箇所は必ずしも30センチ間隔にならないが、それはそれでいいのだ。
根太は、スクリューで荒床の下の根太に固定する。
小垂木は荒材なので、反りや曲がりがあったりするが、締めこんで黙らせてしまう。
後の床鳴りが心配なら、ボンド併用がいいのかもしれない。しかし、40年物の荒床を、接着が効く状態までキレイにするのはゆるくなさすぎとみて、俺はスクリューのみで固定した。
手回しドライバーだと負荷が大きすぎるから、クラッチ付きのドリルドライバーを使った。スクリュの頭が少し沈むくらいまで締めるので、クラッチは最強にセットした。
根太を打ち終わったら、スタイロフォームを根太の間に入るようにカットして、嵌めこむ。
少しきつめくらいでちょうどよかろう。
スタイロフォームは、カッターで切れる。
合板を仮置きして、寸法を合わせる。
俺は2X4工法に使われる、構造用合板を使った。
硬いので、電動丸鋸を駆使する。
微妙なサイズ調整に小鉋を使ったら、刃が欠けてしまった。この合板はそのくらい硬い。
古い家だし、必ずしも直角や並行があっているとは限らないから、この仮合わせは重要だ。
仮合わせしたら、板の位置と向きを、このようにメモっておく。
8畳なので、板は8枚。俺は、方位と位置を書き入れていた。
捨て張り合板は、床鳴り防止のために接着を併用する。
ウグイス張りが好きな向きは、釘だけで打てば、まもなく緩んでくることだろう。
これはフロア専用接着剤だが、途中で尽きてしまい、近所で調達できた普通の木工ボンドも使った。
根太にボンドを塗って、板を載せ、当て木とハンマーできちんと端に寄せて、全部並べてから、スクリュで固定する。
根太の位置を板の表にマークしとかないと、たぶんスクリュは打てないだろう。
スクリュは数打つほど強固に固定できるのは確かだが、30センチとか45センチ間隔くらいで上等だと思う。
スクリュの頭は少し沈める。
いよいよフローリング材を張るのだが、部屋は必ずしも真四角ではないから、張るべき位置に合わせて材を切り、位置を間違えないようにする。
この部屋では、場所によって3ミリ程度の差があり、長さの変化する部分では直角もずれていた。
細かい調整が必要なので、手挽きの鋸で慎重に切り出す。
また、部屋の大きさと板の幅によっては、最後の1枚に半端サイズが必要になったり、無垢材では板の間にわずかに隙間を空けたほうがよかったり、といった問題も出てくる。
この部屋の場合、135ミリの板を1ミリずつあけてやればちょうどになった。
縁にテープを貼って、板の番号と合わせ位置をマークして、それに合わせて張り込んだ。
シロートなので、このくらい隙間ができたりできなかったりする。
幅木かなんかで隠せば見てくれはいいが、部屋が狭くなるし、漆喰壁なので、気にしないことにする。
張ってるところ。フローリングの張り方は、ググればたくさん見つかる。
フロアー釘という専用の釘を使うのだが、杉は柔らかいので、釘打ちは注意が必要だった。
いよいよあと1枚。
いや、2枚か。
板の断面で、隣の板と噛み合うように「サネ」という凹凸がある。
張り始めは♀、すなわち凹側を壁に向けてスタートするので、張り終わりは凸側が壁に来ることになる。
最後の1枚では、♂サネはジャマになるので、鋸で切り落として、鉋で仕上げておく。
ボンドを塗って、ラスト一枚を叩き込む。
最初の一枚の壁側と最後の一枚は、サネの角にフロアー釘を打てない。
だから、このように頭の潰れた釘を使う。
自分で頭を潰したわけでなく、出来合いだ。
頭は薄いが硬く焼きが入っていて、抜けてこないように軸には鉄筋のような凹凸が付けられている。
頭の潰れを木目に合わせて、頭が沈むまで打ち込むのだ。
んーいいカンジ。
白木用のワックスを塗って、乾かす。
3回以上塗らないと艶が出ない、とあったので、4回塗った。
鈍い艶だが、落ち着きがあっていんでないかな。
クリーム色の漆喰壁に、白木の杉の床。
和風フローリングの出来上がり。
あー疲れた。床の作業は腰に来るな。