酒気帯び運転
酒気帯び運転となるのは,呼気中アルコール濃度が0.15mg/L以上の場合です。これは血中アルコール濃度0.03%に相当します。
呼気中アルコール濃度と血中アルコール濃度との関係は、
呼気中アルコール濃度(mg/L) = 5 * 血中アルコール濃度(%) です。
酒に強いか弱いかは関係なく、運転への影響はアルコール濃度で決まる
私は全くお酒が飲めず、「飲んだら乗る」などころではなく、飲んだら歩くのもきつくなります。したがって、お酒に弱い人の方がアルコールの運転への影響が大きいと思っていましたが、必ずしもそうではないようです。
JAF Mate 2006/12 によれば、飲まないとき0.51秒のアクセル操作反応時間が、呼気中のアルコール濃度0.21mg/Lで、酒に弱い人が0.54 秒に伸びたのに対し、酒に強い人も0.54秒と同じで、アルコール濃度0.3mg/Lでも、弱い人が0.56秒で、強い人も0.57秒とほぼ同じという結果が得られています。つまり、運転への影響は酒に強い弱いではなく、血中アルコール濃度(呼気中アルコール濃度)で決まるようです。
アルコール濃度(呼気中アルコール濃度)0.25mg/L (0.05%)で事故率2倍、0.50mg/L (0.10%)で7倍というデータもあるそうです。
お酒の量とアルコール濃度
日本酒(~1合)、ビール(大瓶~1本)、ウイスキー(シングル~2杯)飲むと、0.02~0.04%になるそうですが、下戸の人も同じなのかどうかはわかりません。自分で実験しようにも、ビール1本飲むのもきついもので。
アルコールの分解される時間
単位時間当たりのアルコール分解速度は、体重10Kgあたりアルコール1g/ 時間で、例えば70Kgの人なら,アルコール分解速度は1時間当たり7gということになります.
ビール大瓶1本(633mL)なら,633 x 0.05 =31gのアルコール摂取になるので,完全消失までには31/7 = 4.5時間必要ということになります。
アルコール分解の仕組み
アルコールはまずADH(アルコール脱水素酵素)という酵素の作用によりアセトアルデヒドになります。さらにアセトアルデヒドはALDH(アルデヒド脱水素酵素)という酵素の作用により酢酸へと変化します。
アセトアルデヒドは、毒性の強い物質として知られており、赤面、吐き気、頭痛、脈拍数の上昇などの症状の原因となります。
アセトアルデヒドを酢酸に変える酵素ALDHには、アセトアルデヒドの濃度が低い時に働くALDH2と、アセトアルデヒドが高濃度のときに働くALDH1があります。
日本人を含むモンゴロイドには、このALDH2が生まれつき弱いか、欠けている人がいます。このような人(私のことです)はアセトアルデヒドを分解する能力が弱いため、少量のアルコールで顔が赤くなり悪酔します。このような人は日本人では約半分ですが、欧米人には全くいません。
オーストラリアのWA州での基準
オーストラリアのWA州での基準(州により異なる)は以下のようになっています。
血中アルコール含有率(BAC - Blood Alcohol Content)が、0.05%以下で運転しなければなりません。ただし、仮免許(L-Plate) 、実技テスト合格者の初心者免許証(P-plate) やプロの運転手は0か0.02 %以下でなければなりません。
実際は、レストランや、ワイナリーの前は車が一杯ですし、実状はビール一杯、ワイン一杯ぐらいを飲んでの運転は普通に行われています。
ただし、罰は厳しく、0.05%-0.06% : $250-500 、3箇月免許停止から、0.15%以上:1回目は$800-2500、1箇月、たびたびだと$2000-5000、18ヶ月以下の刑務所か永久免許停止と何段階にも決められています。
http://www.police.wa.gov.au/Services/Traffic/DrinkDriving.asp